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イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の奇跡 その3

2017/03/20 19:20

イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の奇跡 その3

  ブラボーとは

さて、前回ジョルジェットを一例として、写真と絵画を比較してみましたが…


では件のイレーヌ自身はどうだったのか。



上段はイレーヌの妹たちの肖像「エリザベス(右・2歳年下)とアリス(左・4歳年下)」。
(ルノワール作・イレーヌの肖像の翌年に完成)

その下がエリザベス(右)とアリス(左)本人の成人写真です。

エリザベスはアウシュヴィッツで亡くなる晩年の写真ですが、妹のアリスは20代の写真でとても貴重です。

三段目の黒いドレスはイレーヌの母・モゥパーゴの若かりし頃の肖像。
これはフランス画家デュランによるもの。娘のアリスとそっくりで、絵画の写実性は顕著です。

隣のモノクロ写真は真ん中がイレーヌの夫・カモンド。
左がイレーヌの娘ベアトリーチェ、右が優秀なパイロットだったイレーヌの息子・ニッシム。
残念ながら第一次大戦時、ムルト・エ・モゼル周辺で空中戦にて戦死します。

娘のベアトリーチェはあらゆる生活援助を母・イレーヌに対して行った方ですが、しかしエリザベスと同じくアウシュヴィッツで亡くなった方です。

最下段はそのベアトリーチェの息子・バートランド。現代的な顔つきの若者ですが、彼と彼の妹もアウシュヴィッツの毒牙にかかり若くして亡くなります。




さて…ここまで記して気がついた方もいるでしょう。

イレーヌ周辺の人間の写真や絵画はかなりの数残っている…
けれど、イレーヌ本人の写真がない。


そしてもうひとつ。

イレーヌの血縁者は戦争のために亡くなった方が多いこと。
(書ききれませんが他にもアウシュヴィッツで亡くなっています)

時代もありますが、最大の理由は悲しくもユダヤの血を引く人々だったからでしょう。

イレーヌの父が裕福な銀行家・ユダヤ人であったこと、またイレーヌ自身が19歳のとき政略結婚で嫁いだカモンド家も、さらに巨大な資産家のスペイン系ユダヤ人であったこと…


けれどイレーヌは1963年まで生存していた女性です。

息子は戦死、娘もそして妹、甥、姪もアウシュヴィッツの毒牙にさらされているのに、彼女だけは何故か生き残ってしまう……。

それらは密接に、戦争の非業と恩讐がイレーヌ本人へと覆いかぶさっていくのです。

つづく。


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