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16番ゲージ

16番ゲージ とは、日本における鉄道模型の縮尺と軌間を示す規格名称のひとつ。単に「16番」と呼ばれる事もある。

概要

1942年に雑誌「科学と模型」誌上にて山崎喜陽によって発表された規格名称である。

軌間16.5mmの鉄道模型には、1920年代に登場したOOゲージとその後OOゲージから派生したHOゲージの2つの規格が並行して存在していた。日本でも軌間16.5mmの鉄道模型に対し、山崎喜陽を中心としてOOとHOを内包する規格として、1942年に16番ゲージが発表された。しかしながら戦時体制下であったため、休止期間を経て、1946年に山崎喜陽が創刊した「鉄道模型趣味」誌上にて16番は広く提唱、展開され、一時は日本の鉄道模型規格の主流となった。

縮尺の規格は1/76 – 1/90と幅が広いが、国鉄形を代表とする日本の車両は縮尺1/80とされ、縮尺1/76はイギリスの車両、縮尺1/87は南北アメリカやヨーロッパ大陸の車両、縮尺1/90は南満州鉄道や朝鮮総督府鉄道の車両に用いるとされた。しかし実際に広く展開されたのは満州国や朝鮮総督府が消滅した1946年以降であるため、現在では縮尺1/76 – 1/87を16番とすることが多い。
縮尺1/80
日本の鉄道の多くはナローゲージである軌間1067mm (ケープゲージ・3フィート半) を採用しているため、上記のとおり縮尺1/80として軌間16.5mmとする場合、車体の大きさに対して下回りの幅が広すぎて、正面から見た際に「ガニマタ」となるものが多い。逆に、軌間1435mm (標準軌) を採用しているものは、縮尺を1/80とすると軌間は17.98mmとなり、16.5mmでは「頭でっかち」となってしまう。軌間1372mm (馬車軌間) では軌間17.15mmとなり、16.5mmに近似した姿となる。

標準軌車両を再現するために軌間を17.98mmとしたものや、馬車軌間車両を再現するために軌間17.15mmとしたものは製品化されていないが、縮尺1/80のまま軌間1067mm (ケープゲージ) 以下の狭軌車両を再現するため軌間を13mm (ケープゲージ)、9mm (2フィート半) とするものは製品化されている。

軌間1435mm (標準軌)を採用している新幹線は輸出を考慮し、縮尺1/87のHOスケールにて製品化された。また縮尺1/80の日本型鉄道模型を指して「HO」と称するメーカー・愛好者も存在するが、誤りである。日本では縮尺 (スケール) と軌間 (ゲージ) に関して混同する者が少なくないため注意が必要である。

歴史

1942年、山崎喜陽らによって科学と模型誌1月号で発表され、その後同誌にて16番ゲージの工作記事などが掲載された。

1946年、山崎喜陽により鉄道模型趣味誌 (以下 TMS と記す) が創刊され、16番ゲージの普及に努めた。当時のメーカーはアメリカ向けの輸出用HOゲージの線路や車輪等を流用して日本の鉄道車両を作る際に、16番ゲージ規格に則って製品を製作したので、次第に愛好者の間に16番ゲージ規格は製品とともに浸透していった。その一方、名称については日本型の縮尺1/80であってもメーカー自身が「HOゲージ」と呼ぶことが少なくなかったため、16番ゲージの名称は製品ほどには浸透しなかった。

近年では縮尺1/80・軌間13mm (13mmゲージ)や軌間9mm (16番ナロー) の日本型車両が登場した。縮尺1/80・軌間16.5mmの鉄道模型の呼称をJスケールにしようとする動きが一部の出版社などに散見されたが、普及には至っていない。

Nゲージの登場後、それまで鉄道模型の代名詞として広く普及していた16番は端へ追いやられ、2010年現在、日本では鉄道模型といえばNゲージが一般的となっている。

規格

縮尺1/80以外のものは原則として標準軌を模型化したものである。縮尺1/80である日本型では多くが狭軌 (ケープゲージ・3フィート半) の車両であるため、縮尺どおりとすると13.34mm (標準軌車両は17.98mm) となり、下回りを中心として縮尺・軌間の関係が正しくなくなる。また、縮尺1/76であるイギリス型では縮尺どおりとすると18.83mmとなるが、16.5mmを使用するため車体に対して下回りが狭い状態となり、縮尺・軌間の関係が正しくない。

縮尺1/80を基準とする軌間は16番ゲージ規格とは異なる。
3.8mmスケール
日本以外においては縮尺1/80に近似する製品について「3.8mmスケール」と表記される事がある。主にヨーロッパ大陸において標準軌車両をHOスケールで製造することが技術的に困難であった時代の製品に多く見られ、製造技術向上によりHOスケールでの製造が可能になった後も製造・発売されているものもある。メーカーによっては縮尺1/80・軌間16.5mmであっても「HO」と呼称して発売している事があるため注意が必要である。また、HOゲージとOOゲージを別々に採用している愛好者向けに、どちらでも使用可能なように縮尺1/80に近似させた製品を発売するメーカーも存在する。

16番規格
・軌間16.5mm
・縮尺1/76・・・・・イギリスなど。 (OOゲージ)
・縮尺1/80・・・・・日本。
・縮尺1/87・・・・・欧州大陸、アメリカ、日本の新幹線など。 (HOゲージ)
・縮尺1/90・・・・・南満州鉄道、朝鮮総督府鉄道。現在では縮尺1/90は死文化しており、縮尺1/87で製作される。

縮尺1/80を基準とする軌間 (用例)
・1524mm・・・・・・19.05mm (5フィート、On3ゲージの19.1mmが使用可能)
・1435mm・・・・・・17.98mm (標準軌、EMゲージの18.2mmが使用可能)
・1372mm・・・・・・17.15mm (馬車軌間・4フィート半、HO・OOゲージの16.5mmが使用可能)
・1067mm・・・・・・13.34mm (ケープゲージ・3フィート半、13mmが使用可能)
・762mm・・・・・・・9.53mm (2フィート半、Nゲージの9mmが使用可能)
・610mm・・・・・・・7.63mm (2フィート、Zゲージの6.5mmが使用可能)

駆動・制御方式

16番ゲージの車両の多くは、電気モーターを使った直流二線式と呼ばれる方式を採用している。この方式は最大電圧12ボルトの直流を2本あるレールのうち片方を正極、もう片方を負極として流し、レールと接する金属車輪を通じて集電し、電気モーターを駆動して模型車両を走行させる。また、正極または負極のどちらかを架線に流し、パンタグラフなどにより電力を取得する架線集電システムも存在する。

速度の加減は、正極・負極間の電位差を0ボルトから12ボルトまで変化させて行い、進行方向はレール (または架線) のプラス電位とマイナス電位を逆転させることにより切り換える。これらの運転制御は、家庭用電源 (日本では交流100ボルト) からの降圧、直流への変換とともに電源装置により行なわれる。この方式は世界中の多くのメーカーが採用している標準的なもので、日本国内では全てのメーカーが採用している。

メルクリンHOの大半と、かつてのトリックスOOや一部のHO製品は交流14ボルトの三線式である。三線式のメルクリンシステムで使用可能な車両製品が他社から製品化されている事があるため、購入時には注意が必要なものもある。
DCC:デジタルコマンドコントロール
2000年代以降、エレクトロニクス技術の応用で新しい制御方式が誕生している。デジタルコマンドコントロール (DCC) と呼ばれる制御方式は、12ボルト電源を採用しながらも、線路上にデジタル信号を送信して車両ごとの運転操作やライトの制御、サウンド制御を行うことができる。また、線路に流れる電圧は、12ボルトで一定なので、ライトの明るさは模型列車の速度の影響を受けない。

製品

車両、線路、電源装置 (コントローラー、パワーパック、トランス等) などを生産する大手メーカーから、車両やストラクチャーなどの単一分野のみを手がける中小メーカー、個人が生産するガレージキットメーカーまで、数多くのメーカーが存在する。

これらの製品は、百貨店、量販店、模型店、玩具店、鉄道模型専門店や通信販売で購入することができる。

・車両
16番ゲージの完成品は、創世記から長い間、少・中量生産に適した、プレス加工やエッチングによる真鍮製 (ブラスモデル) が主流であったが、1990年代以降、Nゲージ大手メーカーの参入によって欧米並みの射出成形によるプラスチック製の普及価格帯製品が登場し、以降、旧来各社の追従もあり、販売数では中心となっている。この他、特に重量が必要な機関車においては亜鉛ダイカストによる一体成型車体のものや、廉価な金属モデルにはブリキ製のものもある。

また、プラモデル同様に自分で接着剤を使って組み立て、塗装するプラスチック製キットや、ハンダ付けで組み立てる真鍮製キット、ペーパー製キット、ホワイトメタル製キットなども発売されている。

動力は基本的には電気モーターで、主に金属製の線路から、車輪を通じて集電して走行する。日本ではブラスモデル自体が高価なため、運転よりもコレクションに比重が置かれる事が多く、欧州各社の製品に見られる、架線集電に対応した製品はほとんど無かった。

・線路
レールの材質は、以前は真鍮も多く見られたが、現在は洋白が一般的である。

構造上では「道床付き線路」と、「道床無し線路」に分けられる。両者の違いは、「道床なし線路」がレールとはしご状に作られた枕木部分だけで構成されているのに対し、「道床付き線路」は枕木の下のバラスト部分も一体となっている点である。分岐器やクロッシングなどの特殊線路もそれぞれに対応した製品がある。

使用上では、曲線半径と円弧の角度、および直線の長さがあらかじめ決まっている「組み立て式線路」と、道正なしで水平方向へ自在に曲げることのできる「フレキシブル線路」に分けられる。

分岐器には、開通している方向のみに通電する「選択式」と、常時両方に通電する「非選択式」とがある。非選択式で分岐側の双方に動力車を置く場合、それらが同時に動かないよう、絶縁ジョイナーの使用や線路自体の切断で「ギャップ」を設け、ブロック (区間) スイッチで通電する側を選択する必要がある。

発売メーカー:道床付き線路は、エンドウや関水金属、メルクリンから、道床なし線路は篠原模型店やPecoなどから発売されている。

・電源装置
パワーパック、パワーユニット、トランスとも呼ばれる制御機器 (コントローラー) で、入門向けの低価格製品から大容量かつ高機能製品にいたるまで豊富な種類が発売されている。模型メーカーによる既製品も数多く販売されて来たが、鉄道模型雑誌の影響で、車両同様、電源装置も個人で自作することが珍しくなかった。

創世記はタップ切り替え式の電圧制御が普及し、その後は可変抵抗を用いた連続速度制御が主流として長く君臨し、現在でも残っている。動力車のモーターが巻線界磁から永久磁石を用いた小型のマグネットモーターに置き換わるにつれ、可変抵抗制御では起動時にスローが効かず、飛び出し感 (ラビットスタート) が目立つようになったことから、小型のスライダックによる一時側の電圧制御、半波整流やサイリスタ、トライアックを用いた簡単な固定パルス制御電源などの工作記事も鉄道模型雑誌で紹介されるようになった。並行してトランジスタ・コントローラも販売され、近年はより高度なパルス変調制御のものも登場している。

また、1990年頃からDCC関連製品の輸入が始まり、現在では無線LANを介したiPhoneやiPadのタッチ操作によるサウンド制御や運転も可能となっている。

・ストラクチャー
金属製キットやペーパー製キット (通称カードキット) 、木製キット (通称割箸キット) 、射出成形によらないウレタン樹脂成形のキットなど、さまざまな素材でさまざまな種類の建物が製品化されている。HOスケールやOOスケールの製品を流用することも可能である。

・アクセサリー
自動車、人形など鉄道車両・ストラクチャー以外の16番ゲージの模型製品全般を指し、主にレイアウト・ジオラマの製作に使われる。道路上の車両は、バス、トラック、乗用車から自転車まで、人形は鉄道員、一般の通行人から牛、犬など動物まで製品化されているほか、電柱、看板、ドラム缶、やかんなど様々なものが模型化されている。

・シーナリー用品
レイアウト・ジオラマの製作に使われる素材や用品のことで、地形や植生を表現するために用いられる。HOスケールやOOスケールの製品を流用することも可能である。

レイアウト・ジオラマ上で、実際よりも奥行き感を出すために、縮尺1/80よりも小さい縮尺のものを、遠景の情景としてレイアウト・ジオラマの奥側に置くことがある。その際はNゲージやTTゲージのストラクチャーやアクセサリー、縮尺1/100や1/200などのプラモデルなどが利用される。

楽しみ方

16番ゲージには様々な楽しみ方があるが、大きく分けると次のようになる。

・運転を楽しむ
鉄道模型を楽しむ上で外せないのが、運転する楽しみである。組み立て式線路では簡単に線路が敷設でき、安定した走行が得られる道床付き線路を使うことにより、テーブルの上や床の上でも手軽に運転を楽しむことができる。このようにテーブルや床の上に線路を仮設して楽しむ運転は「お座敷運転」等と呼ばれている。

情景のついたレイアウト・ジオラマ上で車両を走らせれば、さらなる満足感を味わうことができる。レイアウト・ジオラマは愛好者自身が製作・保有する場合が多いが、特注により製作を代行する業者もある。日本の模型店の中には、サービスの一環として備え付けのレイアウト・ジオラマを来店客に開放している店もあり、レイアウトを有料で時間貸しするレンタルレイアウトもある。

・車両を収集する
16番ゲージで製品化された車両は非常に数が多い。これをミニカーのように収集する楽しみ方もある。人によって集め方は様々で、自分の好きな地域、年代、鉄道会社、模型メーカー、車種、列車、形式などテーマを決めて車両を集める。収集やコレクションというと、完成品を購入して観賞するというイメージがあるが、鉄道模型の場合、欲しい車両を改造・自作する場合もあり、テーマにあわせたレイアウトを作り、コレクションを走らせる楽しみ方もある。

・車両工作を楽しむ
鉄道模型も含めた模型趣味の楽しみ方の基本的なものとして、模型工作がある。16番ゲージは誕生時から自作をおこなうが愛好者が多く、鉄道模型雑誌には工作記事が数多く掲載された。

車両工作といっても多種多様であるが、模型車両をより実車に即した形態になるよう手を加える細密化加工、元の車両から別の形式や仕様を作り出す車両改造、キットやエッチング板の組み立て、素材と部品 (パーツ) から車両をつくりあげるスクラッチビルド (全自作) に大別される。

・レイアウトを製作する
鉄道模型においてもう一つの模型工作として、レイアウト・ジオラマの製作がある。日本では住宅事情から、鉄道模型クラブにおいてメンバー共同で集合式や分割式のレイアウト・ジオラマを製作しているところがある。個人では実現が難しい長大編成列車も、このような方法をとれば実現が可能である。

このほかにも、メーカーやクラブなどが開催するイベントや運転会を見学したり、製品について出来栄えや使い勝手などの感想を交換したり、スワップミートと呼ばれる交換会・中古市に参加するといった楽しみ方もある。

デフォルメ・短縮

かつては入門用の車両としてデフォルメ・短縮 (ショーティー) 化した鉄道模型が多く発売されていたが、現在はフルスケールのものが主流である。デフォルメ・短縮化することで、価格を抑えることができる、通過できる曲線の最小半径を小さくできる、編成を長くできる、などのメリットがあり、かつては一般的であった。
[Wikipediaから引用]