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「はつかり」

【第4回】「はつかり」


「はつかり」は、東北地方初の特急列車だ。愛称名の「はつかり」は、東北地方に、秋になって初めて北から渡ってくる雁(かり)を意味するもので、ヘッドマークには3羽の雁が描かれていた。運転開始当初の「はつかり」は蒸気機関車牽引の古めかしい客車特急だったが、昭和30年代中盤〜40年代にかけて気動車化、電車化が進み、昭和50年代は東北特急のエースとして君臨。平成14(2002)年の東北新幹線八戸開業により、惜しくもその名は消えている。

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戦前よりも遠かった北海道への道のり

デアゴスティーニ編集部

食堂車を含む堂々13両編成の583系「はつかり」。

昭和30年代初頭、首都圏から北海道への旅は、現在の海外旅行よりも遠く長い道のりだった。
「はつかり」が誕生する以前、北海道へのインターバルだった上野〜仙台〜青森間の優等列車はわずか6往復で、それもすべて急行だった。そのなかで上野〜札幌間を最速で結ぶ下りの乗継ぎパターンは、急行「北斗」〜青函航路17便〜急行「まりも」で、25時間25分を要した。これは、昭和9(1934)年12月1日改正でマークされた24時間40分よりも劣るもので、全線が電化され、スピードアップにしのぎを削っている東海道本線の状況と比べると、あまりにも前時代的な水準だった。

北海道連絡を意識した東北特急「はつかり」

デアゴスティーニ編集部

蒸機牽引の客車列車でスタートした「はつかり」は、「かもめ」から臨時「さくら」を経て転用されてきたスハ44をはじめとする特急用客車が使用され、ブルーに白いストライプの専用塗色も施された。

そんな中、昭和33(1958)年は、国鉄にとっては記念すべき出来事が続いた。10月1日には東京〜博多間の「あさかぜ」に20系客車がデビュー、翌月には国鉄初の電車特急「こだま」の登場を控えていた。このように東海道本線における優等列車の近代化は着実に進んでいたが、その一方で置き去りにされていたのがみちのくの鉄道だった。先にも述べたように、当時、上野〜青森間を直通する優等列車は「北斗」「北上」「十和田」といった夜行急行が主力で、蒸気機関車が旧型客車を牽引して14〜15時間を要していた。急行がまだ贅沢な乗り物で、上野〜青森間といえども普通列車を利用してもおかしくない時代だった。
このような状況であったから、近代化していく東海道を尻目に「おらが町にも特急を」という東北地方の人の声があがったのは当然の成り行きだったといえる。そんな背景の下に昭和33(1958)年10月10日に誕生したのが東北初の特急「はつかり」だった。
「はつかり」運転開始当初のダイヤは1列車/上野12時20分→青森0時20分、2列車/青森5時00分→上野17時00分で、全区間を12時間で結んだ。東北地方を走る特急ではあるが、このダイヤからわかるとおり、青函連絡船の深夜便を介し、北海道側で急行「大雪」と接続するパターンが組まれていた。東北はもとより、北海道を意識した列車といえる。

トラブルに泣かされた日本初の特急型気動車

デアゴスティーニ編集部

ボンネット型のキハ81を先頭に走る「はつかり」は、日本初の気動車特急だった。

「はつかり」は当初、蒸気機関車牽引の客車列車だったが、国鉄の動力近代化の方針にのっとり、昭和35(1960)年12月10日に気動車化された。投入されたのは「はつかり」用に新製されたボンネット型の先頭車・キハ81型を含む80系で、非電化線区のスピードアップはもちろんのこと、車内設備を東海道本線の151系に準じたものにすることで、客車時代からの大幅なサービス向上を果たした。
気動車化当時のダイヤは1D/上野12時30分→青森23時58分、2D/青森5時00分→上野16時30分で、当初は客車時代と同じダイヤで運転(翌年3月1日から45分スピードアップ)。北海道連絡を意識したダイヤに変わりはなく、昭和36(1961)年10月1日改正からは北海道側の接続列車が80系の特急「おおぞら」となり、上野〜札幌間では2時間程度のスピードアップを果たしている。
「はつかり」用の80系は、日本で初めてとなる特急型気動車だったが、それだけに、初物には付きものの初期故障に悩まされた。デビューの1週間後には早くも逆転機の故障により途中駅で運転不能となり、翌年にかけてもエンジン火災など10回以上ものトラブルを起こしている。このため、あえて遅れるのを承知で徐行運転や途中駅での点検停車を実施するなどして対処、当時の国鉄技術陣の改善への努力が続いたといわれている。その末に登場したのが昭和36(1961)年10月白紙大改正から運転を開始した先頭車・キハ82型を含む80系2次車だった。

583系投入で駿足特急の仲間入り

デアゴスティーニ編集部

「はつかり」といえば583系というイメージが強いという人は非常に多いのではないだろうか。同系は臨時列車を含めれば43.10改正から02.12改正までの約34年間「はつかり」で活躍し、全盛期は昼夜兼用で東北、常磐線を駆け抜けた。

気動車「はつかり」は上野〜岩沼間を常磐線経由で運転していたが、これは東北本線と比べて平坦区間の割合が高かったためだ。北海道連絡という使命からすれば、途中駅の事情を多少無視しても可能な限りスピードアップすればよかったが、昭和40年代に入って東北本線の複線化・電化が進展すると単線が多い常磐線は逆に不利となり、「はつかり」を主要都市が固まっている東北本線経由にすることは当然の帰結でもあった。
そんな折、昭和42(1967)年10月1日には、新大阪〜博多間に新鋭581系による初の電車寝台特急「月光」が誕生、昼夜兼用のオールマイティさが受けて一気に時代の寵児に躍り出た。この581系を、全線複線電化を控えた東北本線に投入し、最先端の幹線に変貌させるべく登場したのが、581系を50Hz/60Hz両用とした583系で、「はつかり」はもちろんのこと、寝台特急「ゆうづる」の一部と「はくつる」も置き換え、昼夜兼用の一体運用とすることで、東北特急を高速かつ効率的な体系につくり変えることが企図された。
こうして「はつかり」は、暫定措置として昭和43(1968)年9月9日から気動車時代の時刻のまま電車化された。そして同年10月1日に実施された白紙ダイヤ改正で、晴れて東北本線経由の特急「はつかり」が誕生している。この電車化当時のダイヤは、1M/上野15時40分→青森0時10分、2M/青森4時40分→上野13時10分で、気動車時代に比べ2時間程度のスピードアップを果たした。同時に2021M・2022Mの1往復も増発され、「はつかり」は運転開始以来、初めて2往復体制となった。

東北新幹線開業でローカル特急に徹する

デアゴスティーニ編集部

電車化以来、583系のイメージが強かった「はつかり」だが、盛岡以遠へ封じ込められて以降は、485系1000番代が「はつかり」の顔となった。

電車化以降の「はつかり」は増発に次ぐ増発を重ね、昭和53(1978)年10月2日改正時点では6往復を数えるようになっていた。臨時列車ながら昭和48(1973)年3月1日からは485系も運用に加わっている。そんな「はつかり」に転機が訪れたのは昭和57(1982)年の東北新幹線開業だった。新幹線が開業すると、原則として並行する在来線優等列車は廃止される運命にあり、「はつかり」も例外ではなかった。ただし、東北新幹線は盛岡までの開業であったため、昭和57(1982)年11月15日改正で「はつかり」は盛岡〜青森間の新幹線接続特急として第二の人生を歩むことになった。
東北新幹線開業時点の「はつかり」は、新幹線の接続を受けることから、その運転本数は11往復に増大したが、大半は485系によるもので、583系はわずか2往復とその勢力に陰りが見え始めている。また、この改正では、1往復が週末に限り青森〜弘前間の延長運転を実施しており、「はつかり」が初めて奥羽本線に姿を見せている。

E751系を投入するも2002年11月に消滅

デアゴスティーニ編集部

「はつかり」のニューウェーブとして登場したE751系は「スーパーはつかり」を名乗り、「はつかり」グループの半数を占めた。

JR移行後の昭和63(1988)年3月13日改正では、青函トンネルを含む海峡線が開業したことにより、2往復の「はつかり」が初めて津軽海峡を越えて北海道に姿を見せるようになった。その一方で青函ATCを搭載しない583系は徐々に「はつかり」から離脱していき、平成5(1993)年12月1日改正で「はつかり」の583系定期運用が消滅、平成8(1996)年4月21日からは485系をリニューアルした485系3000番代が登場し、車両の新陳代謝が急速に進んだ。その完成形ともいえるのが、平成12(2000)年3月11日改正で「はつかり」14往復中7往復に投入された交流専用電車E751系で、同系使用列車は列車名が「スーパーはつかり」に改められた。
このように40年以上に渡って変転を重ねてきた「はつかり」だったが、平成14(2002)年12月1日の東北新幹線八戸開業により、東北本線の鉄道地図が大幅に激変、新幹線に接続する在来線特急は八戸〜青森〜弘前間が特急「つがる」、八戸〜青森〜函館間が特急「白鳥」「スーパー白鳥」に再編され、「はつかり」の名は消えた。運転最終日の11月30日には、青森〜一ノ関間で583系による臨時列車「さよならはつかり583」が運転され、数多くのファンが別れを惜しんだ。

※この記事は、週刊『鉄道データファイル』(デアゴスティーニ・ジャパン刊)を基に構成したものです。

公開日 2013/04/22


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