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「あかつき」

【第57回】 「あかつき」


「あかつき」という名称は、夜が明けようとする時を意味する「暁」が由来で、いかにも寝台特急らしい愛称名といえる。その名は戦前は朝鮮半島の名門急行に名付けられ、昭和18(1943)年まで運転されていた。戦後は昭和33(1958)年に日本に再登場し、昭和40(1965)年からは関西発着の代表的な九州特急として君臨した。

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寝台列車として新幹線開業前夜の東海道を華々しく飾った急行時代

デアゴスティーニ編集部

現在の「あかつき」は「彗星」との併結運転となっており、併結区間ではヘッドマークも列車名が併記されている。

昭和40(1965)年10月1日改正で東海道新幹線に連絡する新大阪〜西鹿児島、長崎間の寝台特急として登場した「あかつき」は、東海道新幹線が開業する以前は東京と大阪を結ぶ寝台急行にその名が付けられていた。その急行「あかつき」は、東海道本線の輸送力が年々増加しつつあった昭和33(1958)年10月1日改正で不定期列車として登場している。ダイヤは1015列車/東京20時30分→大阪7時00分、1016列車/大阪22時40分→東京9時42分で、その当時は輸送力列車の位置づけで全車座席車で運転されたが、翌年9月22日改正では急行「彗星」の補完列車として寝台列車化され、いきなりグレードアップした。この「あかつき」は不定期列車ながら頻繁に運転され、それなりの需要を得ていたが、昭和36(1961)年10月1日改正では、並行する「銀河」「月光」「金星」が寝台列車化されたため廃止された。しかし、それも束の間のことで、翌年6月10日改正で「あかつき」の名が復活する。これは、山陽本線広島電化に伴い、急行型の153系電車を急行「宮島」へ転用するにあたり、不定期電車急行「第2六甲」を客車化したためで、このときも寝台列車となり、同年10月1日改正では定期列車に昇格、東海道本線の寝台急行群の一員として新幹線開業前の東海道の夜を華やかに飾った。
東海道新幹線が開業した昭和39(1964)年10月1日改正では、新幹線と並行する東京〜大阪、神戸間の夜行客車急行が大幅に整理され、「あかつき」は「彗星」「すばる」とともに廃止、「銀河」「明星」「金星」「月光」の4列車が残るのみとなった。この4列車も昭和40(1965)年10月1日改正では「銀河」「明星」のみとなり、かつては7本の客車急行が夜を飾った東京〜大阪、神戸間は見る影もなくなった。一方で、当時の新幹線の終点・新大阪から西へはまだまだ夜行列車の需要が旺盛で、慢性的な混雑が続いていた。東海道新幹線開業当時、関西発着の九州方面の定期夜行列車は「日向」「ひのくに」「玄海」「天草」「平戸」といった急行があったが、寝台特急の方はすべて東京発着で、大阪付近を深夜に発着するダイヤだったため利用しやすいものとはいえなかった。東海道新幹線開業を契機に、関西発着で利便性の高い寝台列車の登場が叫ばれたのも当然で、ここに新大阪〜西鹿児島、長崎間の特急「あかつき」が誕生したのだった。

関西発着の九州特急が大幅に増発された「ヨン・サン・トオ」改正

デアゴスティーニ編集部

ED76を先頭に肥前山口〜白石間を行く「あかつき」。九州特急になった以降、熊本や西鹿児島にも足を延ばしたが、関西〜長崎間の輸送は一貫して受け持ってきた。

特急「あかつき」は、初の関西発着の九州行き寝台特急であり、編成は向日町運転所の20系客車15両が充当された。個室寝台車がないことを除けば、東京発着の寝台特急群にひけをとらない姿で、当時のダイヤは、11列車(〜2011列車)/新大阪18時30分→西鹿児島10時33分(長崎7時45分)、(2012列車〜)12列車/(長崎22時00分)西鹿児島19時25分→新大阪11時40分だった。西鹿児島編成と長崎編成は鳥栖で分割され、電源車は西鹿児島編成に連結されたため、長崎編成の鳥栖〜長崎間にはオハシ30やスハ32から改造されたマヤ20が連結された。
昭和42(1967)年10月1日改正では、画期的な昼夜兼用の581系特急型電車がデビューし、夜行では新大阪〜博多間の特急「月光」に充当された。昼は座席特急、夜は寝台特急と効率よく働く581系は、2等寝台のベッド幅が広がったこともあって乗客から大変歓迎された。「月光」の成功は、関西発着の寝台特急増発に拍車をかけることになり、「ヨン・サン・トオ」と呼ばれる昭和43(1968)年10月1日改正では、電化区間の列車は581系電車、非電化区間へ直通する列車は20系客車とし、前者は「月光」(新大阪〜博多)、「明星」(新設・新大阪〜熊本)、「金星」(新設・名古屋〜博多)、後者は「あかつき」(新大阪〜西鹿児島、長崎)、「彗星」(新設・新大阪〜宮崎)とし、新幹線接続の九州特急が整備された。この改正で「あかつき」は、東京〜佐世保間を結んでいたかつての名門急行「西海」の東京〜大阪間を廃止して、大阪以西のスジを受け継ぐことにより新大阪〜西鹿児島、佐世保間の1往復が増発され、2往復となっている。これにより「さくら」を含めて2本の特急が佐世保に姿を現すことになった。
昭和40年代後半になると「あかつき」は、関西〜九州間の寝台特急の顏として大躍進を遂げる。山陽新幹線が岡山まで開業した昭和47(1972)年3月15日改正では、新大阪〜熊本、長崎間の1往復が増発されて3往復となり、すべて20系客車による運転だったが、翌年10月1日改正では、新鋭の24系24型客車と14系客車が投入され6往復となり、長崎、佐世保双方への単独列車や併結列車が登場した。さらに、2段式の新しいB寝台車である24系25型客車が投入された昭和49(1974)年4月25日改正では7往復を数えるようになり、次のような陣容となった。
・あかつき1・7号(21・22列車)
 新大阪〜西鹿児島、長崎/20系15両
・あかつき2・5号(23・24列車)
 新大阪〜西鹿児島/14系14両
・あかつき7・6号(35・36列車)
 新大阪〜長崎、佐世保/14系14両
・あかつき6・2号(33・34列車)
 新大阪〜熊本/24系25型13両
・あかつき5・3号(31・32列車)
 新大阪〜佐世保/14系8両(新大阪〜
 門司間は「彗星3・2号」と併結し14両)
・あかつき4・4号(29・30列車)
 新大阪〜西鹿児島/24系24型14両
・あかつき3・1号(25・26列車)
 新大阪〜長崎/24系25型12両
 「5・3号」では現在でも行なわれている「彗星」との併結が開始されたほか、20系が7往復中わずか1往復となり、新形式客車の躍進が目立った改正となった。

並行する高速バスに対抗するためサービスが充実したJR時代

デアゴスティーニ編集部

固定編成という方式を採ることで、夜行列車の大幅なサービス向上を実現した20系客車。現在も夜行列車の大半は客車列車であることを見ても、いかに20系が先進的だったかが伺える。

山陽新幹線博多開業を迎えた昭和50(1975)年3月10日改正では、山陽本線の昼行特急が全廃された。関西発着の九州寝台特急も影響を受け、「あかつき」の西鹿児島、熊本編成は「明星」に編入されることになり、前年の改正から一転して長崎、佐世保行きのみの3往復に激減した。このうち2往復は「明星」との併結となり、20系客車とマヤ20型が姿を消している。以来、関西発着の九州行き寝台特急の利用者数は新幹線への乗客移転により激減し、衰退の道をたどる。昭和53(1978)年10月2日改正で「あかつき」は2往復にまで減少してしまうが、乗客減の副産物か、2往復とも定員の少ない2段B寝台の14系15型が投入され、サービスアップが図られた。またこの改正では、佐世保行きの1往復が筑豊本線経由となり、原田〜肥前山口間では同じ愛称名で同じ号数の列車が二度やってくるという珍現象をもたらした。「明星」との併結はこの改正でいったん解消するが、昭和59(1984)年2月1日改正で1往復が復活している。また1往復の筑豊本線経由による運転は昭和60(1985)年3月14日改正で廃止された。
国鉄最後の改正となった昭和61(1986)年11月1日改正では、JR移行を睨んだ合理化ダイヤが組まれ、「あかつき」はついに新大阪〜長崎、佐世保間の1往復のみとなり、「明星」との併結は再び中止された。このときから佐世保編成に14系座席車が1両連結されるようになったが、年々充実する高速バスに対抗するため、平成2(1990)年3月10日改正では、独立3列シートを備えた豪華なオハ14型300番代「レガートシート」に置き換えられ、長崎編成に連結されている。さらに平成4(1992)年3月14日改正では1人用B個室「ソロ」の連結を、平成10(1998)年10月3日改正では、特急「出雲」から捻出された1人用A個室「シングルDX」、2人用B個室「シングルツイン」の連結をそれぞれ開始し、寝台サービスの充実が図られた。
運転開始以来、永らく新大阪、大阪発着だった「あかつき」は、平成3(1991)年3月16日改正で京都発着に改められたほか、最近の動きとしては平成12(2000)年3月11日改正で佐世保編成が廃止され、長崎編成のみとなり「彗星」との併結が復活したものの、2008年3月15日にその歴史に終止符を打った。

※この記事は、週刊『鉄道データファイル』(デアゴスティーニ・ジャパン刊)を基に構成したものです。

公開日 2017/09/14


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