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「北斗星」

【第8回】「北斗星」


世紀の大事業であった青函トンネルの開通と同時に、「夢」といわれ続けた上野〜札幌間のブルートレインが実現した。一般公募で「北斗星」と名付けられたこの列車用のデラックス車両は、24系25型を改造してJR北海道とJR東日本が「競作」。寝台券が「プラチナチケット」と化すほどのブームを巻き起こしたのである。

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上野〜札幌間3往復が設定された運転開始当初の「北斗星」

デアゴスティーニ編集部

初の北海道直通特急としてデビューした「北斗星」のJR東日本編成。JR北海道編成に比べると大きな変化はないが、ロイヤル+ソロのオロハネが1両のみの連結である。当初は専用塗色機もなく、国鉄型ファンをも熱狂させた。

「北斗星」が登場する以前は、東京都内を夕方に起ち、札幌に朝到着するパターンとしては「やまびこ」→「はつかり」→青函連絡船→「北斗」があったが、青森と函館での深夜・早朝の乗換えは辛いものがあった。東京〜札幌間を乗換えなしで、しかも寝ている間に移動できるということは、鉄道に関心がある者のみならず多くの人にとっての長年の夢だった。それを実現したのが「北斗星」なのである。
昭和63(1988)年3月13日、運転開始当初の「北斗星」は3往復が設定され、うち1往復は季節運転だった。ダイヤは次のようになっていた。
1列車/上野16時50分→札幌8時53分
2列車/札幌17時18分→上野9時17分
6003列車/上野17時54分→札幌10時06分
6004列車/札幌18時10分→上野10時12分
5列車/上野19時03分→札幌10時57分
6列車/札幌19時19分→上野11時12分
車両はおもに24系25型が充当されたが、1・2列車(「北斗星1・2号」)がJR北海道札幌運転所、5・6列車(「北斗星5・6号」)がJR東日本尾久客車区の受持ちとなっていた。また、季節運転の6003・6004列車(「北斗星3・4号」)は両社が隔日で受け持った。

豪華食堂車「グランシャリオ」やロビーカーで旅の楽しさを演出

デアゴスティーニ編集部

「グランシャリオ」の愛称を持つ食堂車スシ24 500はJR北海道、JR東日本で異なる内装となった。写真はJR北海道のもので、2+1の座席配列とテーブルの赤いランプシェードが特徴的。

北斗星の「1・2・5・6号」は、1人用A個室「ロイヤル」や2人用A個室「ツインDX」といった豪華個室寝台車を2〜3両備えた豪華編成だったが、季節運転の「3・4号」は全車開放B寝台車だった。また「1・2・5・6号」には食堂車「グランシャリオ」やシャワー室付きのロビーカーも連結され、乗ってしまえば後は退屈だった長距離夜行列車の憩いの場としてたちまち人気の的となった。特に食堂車は、寝台特急の食堂車が斜陽化していくなかで、豪華なメニューと完全予約制という新しいシステムにより絶大な支持を得て、運転開始当初は「北斗星」の食堂車利用券は、A個室の「ロイヤル」とともにプラチナチケットとさえいわれた。
ちなみに「北斗星」が運転を開始した昭和63(1988)年3月13日は、青函連絡船もまだ運航されていた。連絡船の廃止は翌3月14日で、青森〜函館間では片道を青函連絡船、片道を快速「海峡」(または特急「はつかり」)に乗り、去る者/生まれる者の両方の旅が1日だけ楽しめた。その後、6月3日からは青函博の関連で一時的に青函連絡船「十和田丸」「羊蹄丸」が復活し、実質的には9月18日に最終運航を迎えた。

「北斗星」のサポート役としてモノクラスの「エルム」が登場

デアゴスティーニ編集部

「北斗星」に使用される電源車は、種車の違いで3タイプが存在するカニ24型500番代のほかに、マニ50を改造して誕生したマニ24型500番代がある。写真はカニ24型0番代後期型を改造したカニ24 502、503、507〜509。

東京〜札幌間の交通シェアは1980年代に入って完全に航空機に奪われていたが、それにもめげず「北斗星」の人気はうなぎのぼりだった。こうした需要増に応じて、オールB寝台だった「3・4号」は、昭和63(1988)年の夏臨から「ロイヤル」「ツインDX」「デュエット」といった個室寝台車や食堂車の連結を開始、平成元(1989)年3月11日改正で定期化された。客車もJR東日本・北海道で1編成ずつ受け持つことになり、両社が独自に趣向を凝らした車両が登場することになった。これにともない、従来車の「北斗星」用への改造が進められ、JR北海道では余剰気味だった14系を次々に改造し24系へ編入するなど、複雑な番代区分を持つ車両が登場した。
この「北斗星3・4号」に代わり波動用列車として同年夏臨から登場したのが「エルム」だった。8007・8008列車の予定臨時列車として運転され、編成はJR東日本尾久客車区の24系25型によるオール開放B寝台のモノクラスで、「北斗星」3往復と比べると札幌着が午後、上野着が正午頃とともに遅く、時間帯的に利用しづらい列車ではあったが、それでも繁忙期には満席になることが多く、平成元(1989)年の冬臨では「エルム81・82号」が初めて運転された。ちなみに、8007・8008列車のスジは「エルム」が運転されない間は修学旅行列車としても運転され、年間を通して運転される機会が多かった。

臨時「北斗星」には豪華寝台車「夢空間」も

デアゴスティーニ編集部

「北斗星」用の24系ではブルートレインとして初めてシャワー設備が設けられた。ロイヤルでは各室にシャワーを設置したほか、共同のシャワー室がスハネ25 501〜503、オハ25 501〜504、551に設けられた。

1990年代に入ると「北斗星」は航空機とは正反対の豪華な魅力を持つ移動手段として認知されていく。まだバブル期だったこともあり、エコノミーさよりも豪華さが優先される風潮も追い風となった。それを象徴するのがJR東日本が平成元(1989)年に開催された横浜博覧会で初めて展示した24系「夢空間」だった。「夢空間」は展望タイプの食堂車「ダイニングカー」とピアノの設備がある「ラウンジカー」、定員わずか6名の豪華寝台車「デラックススリーパー」の3両で構成され、すでに運転を開始していた大阪〜札幌間の「トワイライトエクスプレス」と並ぶ超豪華車両として話題を撒いた。この「夢空間」が初めて一般の営業列車に登場したのは、平成3(1991)年1月10日から横浜〜トマム間で運転された「北斗星トマムスキー号」で、現在は「夢空間北斗星」の名で運転されている。
一方「北斗星」の方は、上野駅の騒音対策のため平成3(1991)年3月16日改正で上野発時点で電源車の位置が青森寄りになるように編成の方向転換が実施された。また、人気の高い個室寝台車への比重も徐々に高め、この年の8月から「1・2号」の1人用B個室「ソロ」、2人用B個室「デュエット」が順次増強された。
この編成の個室化はその後も推進され、平成10(1998)年3月1日に「1・2号」の全車個室化が完了している。

乗車記念にもなる個室寝台用のカードキー

デアゴスティーニ編集部

シャワー室利用時に渡される専用のカードキー。指定利用時間がカード面に書き込まれる。

北斗星」が寝台特急の代名詞として完全に定着した1990年代後半、寝台車イコール個室寝台というイメージも定着し、最低でも「ソロ」に乗らなければ「北斗星」に乗った気がしないという人が増えてきた。
1人用B個室「ソロ」と開放式B寝台の下段料金は同じだし、個室ならプライバシーが守られるので、置いた荷物の心配をせずに済む。しかし、「北斗星」の運転開始当初はそもそも個室寝台車の連結両数が少なく、その寝台券を確保するのは至難の技だった。
個室に使う鍵だが、これにはカードキーを差して使うタイプとテンキーで数字を登録してロックさせるタイプがあり、カードキータイプは車内改札時に車掌からカードが手渡される。これは返却する必要はなく、手許に残るので、「北斗星」に乗車したよい記念品となった。
また「北斗星」ではシャワー室を利用するときにもカードが必要で、これは食堂車「グランシャリオ」で購入できた。このとき利用時間も指定される。このカードを脱衣場にある差込み口に入れて初めてお湯が出るわけだが、これも個室のキーと同様、手許に残る。
ちなみにこのシャワーだが1回6分となっている。この6分間というのは、お湯が出ている時間なので、蛇口を締めれば給水時間としてカウントされることはない。シャワー室の脱衣場にはドライヤーがあるが、こちらは使用時間の制限を受けることなく使用できた。

「カシオペア」が登場するも現在も1日1往復で運行

デアゴスティーニ編集部

噴火湾を見ながら走る90年代の東日本編成。オロハネ25型は初期の500番代が連結されているのがわかる。

航空路線の低価格競争の影響で、東京〜札幌間は航空機が、時間のみならず運賃でも在来線特急+新幹線利用より有利になるという現象もあり、この区間を鉄道で旅するということ自体が一種の贅沢ともいえる状況になっていた。
そんな背景の下、平成11(1999)7月16日、臨時列車の扱いながら上野〜札幌間に新製のE26系客車を使ったオールA個室寝台の豪華寝台特急「カシオペア」が運転を開始した。「カシオペア」はツインベッドを備えた展望タイプの「カシオペアスイート」やエクストラベッドが利用できる「カシオペアデラックス」、「カシオペアツイン」といった豪華個室寝台を備えていたが、いずれも利用人数は2名以上となっており、当初は1名で乗るには1名分の運賃と2名分の料金が必要だった。後に空席があれば「カシオペアツイン」を1名で利用できる割安の「カシオペアシングルユース券」が登場した。
「カシオペア」の運転開始にともない「北斗星」は1往復が臨時列車に格下げされ実質2往復になったほか、「1号」を札幌〜小樽間臨時延長した上で「北斗星小樽号」として運転を開始した。運転上では「北斗星」最大の転機ともいえる出来事だった。
これ以来、上野〜札幌間の寝台特急はこの「カシオペア」を筆頭に、「北斗星1・2号」「北斗星3・4号」のラインナップが基本となり、夏は「夢空間」車を連結した「夢空間北斗星」、冬は函館本線の通称「山線」を通り倶知安・小樽を経由する「北斗星ニセコスキー号」が加わるパターンとなった。
その後、「北斗星」は、平成23(2011)年3月の東日本大震災の発生により、東北本線が不通となったため、約2カ月間に渡り、運休とされるなどしたが、平成25(2013)年8月現在、1日1往復が運行されている。

※この記事は、週刊『鉄道データファイル』(デアゴスティーニ・ジャパン刊)を基に構成したものです。

公開日 2013/08/13


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