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「踊り子」

【第9回】「踊り子」


首都圏と伊豆地方を結ぶ代表的な列車として長らく定着している特急「踊り子」。この列車は文字通り、伊豆を舞台にした川端康成の小説『伊豆の踊子』がその名の由来で、56.10改正でそれまでの特急「あまぎ」と急行「伊豆」を抱合する形で誕生した。そして「スーパービュー踊り子」が、伊豆特急の体質改善を図るため90.4に登場。以来、185系「踊り子」に代わる伊豆の看板スターとして君臨している。

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急行「伊豆」を抱合して特急「踊り子」が誕生

デアゴスティーニ編集部

「踊り子」の草創期は、EF58が14系座席車を牽引する臨時「踊り子」が運転されていた。

昭和56(1981)年10月1日改正で、首都圏と伊豆地方を結ぶ代表的な列車として特急「踊り子」が誕生した。だが当時その大多数は急行「伊豆」を抱合したものだった。
「伊豆」は、昭和28(1953)年3月15日改正で、それまでの下り「はつしま」、上り「あまぎ」の各準急を改称する形で東京〜伊東、修善寺間で運転を開始した。その当時のダイヤは、3819T(〜2819T)/東京12時55分→修善寺15時21分(伊東14時53分)、(2838T〜)3838T/(伊東15時56分)修善寺15時33分→東京18時15分だった。そして「伊豆」は、東京〜熱海間は修善寺編成と伊豆編成を併結した80系電車14連の長大編成で運転されていた。
昭和36(1961)年12月10日には、南伊豆へのアクセスとして待望の伊豆急行伊東〜伊豆急下田間が開業し、国鉄準急の「伊豆」と「おくいず」がさっそくこの新路線へ乗り入れることになった。その当時の「伊豆」の下田編成のダイヤは、701M/東京12時52分→伊豆急下田15時51分、702M/伊豆急下田16時01分→東京19時24分で、東京と南伊豆は3時間前後で結ばれることになった。

「踊り子」とともにクローズアップされた185系

デアゴスティーニ編集部

これまでの特急「あまぎ」と急行「伊豆」を抱合して誕生した伊豆特急「踊り子」は、国鉄としては初めて特急にも普通列車にも使用することを念頭に置いた185系が充当され、「特急らしくない」という声も当初は多かった。

時代が下り昭和50年代に入ると、東海道本線東京口の153系や157系の老朽化や陳腐化が進み、早急な体質改善が望まれるようになった。また、東京口では朝通勤時に153系を使用する普通列車の運用もあり、優等列車と普通列車双方の輸送需要を満たす車両が必要となった。そこで誕生したのが185系で、同系は通勤時の使用を考慮してドア幅を1000mmと大きく取りながらも、車内には転換クロスシートを装備して特急に相応しい最低限の設備を持っていた。特急列車にも普通列車にも使用できる185系はこれまでの国鉄電車の概念を覆すものだったが、アコモデーションは快速向けに登場した117系と大きな差はなく、当初は特急に使用することに疑問視する声も多かった。
そんな185系が初めて運用に入ったのは昭和56(1981)年3月26日のことで、この時は普通列車だったが、その2日後には153系の急行「伊豆5号」の付属編成に充当されている。そして、同年10月1日改正からは特急「踊り子」が下り10本・上り11本設定され、その運用に入った。
なお、当初の「踊り子」は、抱合した「あまぎ」に183系1000番代の運用があったことから、3往復は183系で運転されていたが、同系は昭和60(1985)年3月14日改正で長野運転区へ転出し、その代わりに東北新幹線上野開業を機に上野〜大宮間の「新幹線リレー号」の任を解かれた185系200番代が新前橋電車区から転入し、「踊り子」は全列車が185系による運転となった。

斬新な斜めストライプが大きな話題を呼ぶ

デアゴスティーニ編集部

185系の存在を強烈にアピールしたのは車体側面に入れられた3本の斜めストライプだった。わが国の鉄道車両で初めて採用されたこの意匠は広く一般にも強い印象を与えた。

185系の斬新さを、何よりも強烈にアピールしてみせたのは斜めストライプを3本配した、独特の車体塗色だろう。これは50種類もの試案の中から選ばれたもので、斜めストライプの鉄道車両への採用は、ヨーロッパなどでは散見できたが、日本の鉄道車両としては、まったく新しいものとなった。
試案の中にはクリームと赤という国鉄伝統の特急色を用い、クリームの地色に車体の腰の部分への赤帯の配置、というような比較的オーソドックスなものもあったというが、より斬新な配色の採用は、185系のイメージアップに大きく貢献した。何よりも通常は鉄道に大きな関心は払わない一般利用客に強いインパクトを与え、185系の運転開始以降、「あの電車に乗って伊豆に行きたい」という声が随所から聞かれるようになった。
近年は鉄道車両の斜めストライプも、あるいは運行する列車の性格に対応して、系列ごとに独自の車両設計が用いられることも珍しいものではなくなったが、そのルーツのひとつが、この185系にあるようだ。

「乗ったらそこは伊豆」──251系特急型電車の登場

デアゴスティーニ編集部

平成2(1990)年にJR東日本初の直流特急電車として登場した251系「スーパービュー踊り子」は、国鉄時代のイメージから脱却を図り、伊豆半島のリゾート輸送に新たな風を送り込んだ。

平成2(1990)年4月28日、「乗ったらそこは伊豆」をメインコンセプトに掲げて開発された251系特急型電車使用の「スーパービュー踊り子」が運転を開始した。
この頃の日本の社会は好景気のさなかにあり、個人、団体を問わず、各方面への豪華な旅行が次々に企画されていた。先述したとおり、185系特急型電車は通勤輸送までを行なうことができる汎用性の高い設計の車両であり、客室設備は簡素に作られていた。
そこで、競合する私鉄やほかの交通機関と比べても遜色のない、豪華な客室設備を備えた特急型電車の登場が望まれるようになった。こうした機運を背景として登場したのが251系であった。
251系の最大の特徴は、列車の運行目的を観光輸送に限定して考え、これに相応しい外観と車内設備を備えた点にある。10両固定編成のうち3両はダブルデッカー、残る7両をハイデッカー構造とし、客室は「グリーンユニット」「カスタムユニット」「グループユニット」の3種類に明確にクラス分けした。個室、サロン室といった豪華な設備ばかりでなく、子供室までを設けた設計も、観光輸送に特化した車両ならではのものであった。この思い切った設計は、利用客に強いインパクトを与え、登場直後の「スーパービュー踊り子」号は、連日満席の活況が続いた。

「グループユニット」を廃止し 車体塗色も新しい配色に

デアゴスティーニ編集部

リニューアルを遂げた251系編成。観光輸送を強く意識したスタイルには変わりはないが、グループ向けの席を撤去するなど、客室設備を中心にさまざまな変更が加えられ、時代のニーズに対応した姿に生まれ変わった。

こうして華々しいスタートを切った251系「スーパービュー踊り子」だったが、運転開始後12年を経た平成14(2002)年からは、普通車を中心としたリニューアル工事が実施されることになった。
ニーズの変化に対応した客室設備の変更と、そろそろ陳腐化も目立ってきた一部の設備の更新がその目的で、施工は横浜支社管内の鎌倉総合車両所(現・鎌倉総合車両センター)が担当し、順次、全4編成40両のリニューアル工事を実施。装いを新たにした251系編成は、同年12月22日から営業運転に就役した。
このリニューアル工事は客室設備を中心にして行なわれた。大きな変化があったのは、それまで「グループユニット」と称されていた編成中9号車と10号車の普通車室内である。このスペースには大型テーブルを配した4人掛けボックスシートが並べられていたが、リニューアル工事によってこれが取り止められ、新たに回転式リクライニングシートが設置された。
また、編成中の東京寄りに連結される制御車クハ251型の先頭部に設けられた2人掛けシート2列4段、合計16人分の展望席が設けられていたが、このシートはピッチ810mmでやや狭く作られていたことから、改善の要望も強く、リニューアル工事を機にシートが改められた。新しいシートは、リクライニング機構を備えたもので、シート配置も2人掛けシート2列3段合計12人分として、シートピッチを1000mmに拡大している。
そのほか、各車両ともカーテンの取替えと、通路上に設置されていたプロジェクターや、各席に設けられていたオーディオシステムなどAV機器の撤去が行なわれており、これに伴い、クハ251型に搭載されていたAV機器の制御装置も撤去されている。
そして車体塗色は、上回りをアジュールブルー、下回りをフューチャーグレーとしていた従来の塗分けを改め、間にライトブルーの帯を挟み、上回りを飛雲ホワイト、下回りをエメラルドグリーンとした新しい配色を採用。リニューアル工事の実施がアピールされている。

グリーン車もリニューアルし より快適なサービスを提供

デアゴスティーニ編集部

リニューアル後のクハ251型展望席。2人掛けシートが2列3段で配置され定員は12名。新たにリクライニングシートが設置されるなど、居住性が大幅に向上している。

最初のリニューアル工事で、シートモケットの張替えという簡単な工事しか行なわれていなかった251系のグリーン車について、改めてリニューアル工事が実施されたのは、平成19(2007)年のことである。
この改良工事ではシートが取り替えられており、各座席とも座り心地が改善されている。また、床敷物もリニューアルされ、グレー系の配色はリニューアル前と変わりがないものの、室内全体の雰囲気が、より高品位なものとなった。
さらに1号車クロ251型の展望席部分は大幅な改良が実施されており、この部分にも新たにレッグレスト付きのリクライニングシートを設置した。この変更によりグリーン展望席は、それまでの3列3段定員9人から、1人掛け2列3段の6人となり、シートピッチも大幅に広げられている。
これと同時に展望室全体の床が嵩上げされているが、この処置によって、展望席からの前方の視界については、むしろ悪化した(前方への見通しが悪くなった)という指摘もあるようだ。
グリーン車のリニューアル工事が施された編成は、同年の2月24日から営業運転に就役し、残る編成も順次入場して、4月中旬には全編成がリニューアルを完了した。
ちなみに、東海道線東京口(新宿を含む)で運転されている通勤ライナーに充当されている形式には、ほかに185系、215系、E257系、E351系などがあり、そのバラエティさにも驚かされる。その中でもダブルデッカー車とハイデッカー車で編成された251系の存在感はピカ一のようだ。

※この記事は、週刊『鉄道データファイル』(デアゴスティーニ・ジャパン刊)を基に構成したものです。

公開日 2013/09/11


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