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T-64

【第17回】T-64  <戦車>


旧ソ連は1960年代に新型主力戦車の試作車両を製作したが、この戦車の正式な名称が分からなかったため、西側ではM-1970の名で呼ばれた。このM-1970をさらに発展させたのがT-64主力戦車である。T-64に続いて、T-64Aが、そしてT-64Bが製造された。

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T-64の配備と兵装の変更

デアゴスティーニ編集部

▲『Soviet Military Power』1984年版に掲載されたT-64の写真。

T-64は小型の転輪6個、後部ドライブ・スプロケット、前部アイドラー、そしてキャタピラ内側のみを支持する上部転輪4個で構成される新型の足まわりを有していた。ちなみに、第二次世界大戦以降にソ連が設計した従来の主力戦車(T-54、T-55、T-62など)は、いずれも転輪が大型で、上部転輪を持たないのが特徴であった。M-1970の砲塔はT-62のものとほぼ同一で、T-62と同じ115mm滑腔砲を装備。このM-1970をさらに発展させたのがT-64主力戦車である。

T-64の最初の量産車両には、2軸安定化が施された115mm D-68(別名2A21)滑腔砲と、砲弾30発を装填可能な自動装填装置が装備され、そのほかに10発が搭載された。レイアウトは後発のT-72と似ており、操縦手区画が前部、砲塔が中央部、動力機関が後部に配置されている。操縦手は中央に着座し、砲手は砲塔内の左側、車長は右側に着座する。正面には傾斜装甲板(おそらく複合装甲)が取り付けられている。傾斜装甲板上にあるV字型の防波板は、車両が深い水場などを渡航する際に水が押し寄せるのを防ぐ。また、操縦手が頭を出して操縦する際には、雨や雪を防ぐカバーをすばやく装着することが可能である。砲塔の設計はT-72のものと類似しており、その前半部は複合装甲となっている。
T-64に続いて、最初の主要配備モデルとなるT-64Aが製造された。T-64Aは兵装が前モデルと異なっており、サーマル・スリーブを装着した125mm 2A26M2滑腔砲と改良型の自動装填装置が装備されていた。そのほか、7.62mm PKT機関銃(弾薬1,250発)が主砲同軸に、12.7mm NSVT対空機関銃(弾薬300発)が車長用キューポラに搭載されていて、NSVT機関銃は閉じた砲塔の中から操作可能である。また、より進歩した火器管制システムが採用され、発煙弾発射装置が砲塔両側に装備された。砲塔の防御力も向上し、新型の火災探知防止システム、多燃料方式のディーゼル・エンジン、車体前部下側のドーザー・ブレード、地雷除去システムなども装備された。T-64シリーズには対核・生物・化学(NBC)システム、完全な暗視装置、そしてソ連主力戦車ではおなじみのシュノーケルによる深渡渉能力が備えられている。
T-64Aの派生型で唯一知られているのがT-64AK指揮車両である。このモデルでは、対空機関銃の代わりに全高10mの伸縮式マストが取り付けられ、追加の無線装置が搭載されている。なお、このマストを立てる場合には、マストを支える支柱が地面に打ち込まれるため、戦車は即座に動くことができなくなる。

T-64Bの登場

デアゴスティーニ編集部

▲1980年代のソビエト軍戦車T-64。

T-64Bは、T-64Aに大規模な再設計作業を施したものである。車体が新しくなり、砲塔の装甲には、それまでのモデルで使用されていた第1世代の複合装甲よりも薄いものが採用された。また、主砲からコブラ(AT-8“ソングスター”)対戦車ミサイルを発射できるようになった。コブラは無線誘導兵器で、36発の通常砲弾に加えて、ミサイル6発を自動装填装置に携行可能である。その他の改修点としては、レーザー測距装置を含む新型の火器管制システム、ナパーム弾防御システム、発煙弾発射システム、砲身および砲尾の迅速取り外しユニット、対戦車榴弾(HEAT)から走行装置を防御するサイドスカート、走行性が著しく向上したサスペンションなどの装備が挙げられる。また、爆発反応性装甲(ERA)を装着可能になり、実際に装着した車両はT-64BVと呼ばれた。
T-64Bからの派生型には、T-64BK指揮戦車、999馬力の6TD 6気筒ディーゼル・エンジンを搭載したT-64BM、コブラ・ミサイル発射能力を除いたT-64B1、T-64B1の指揮戦車型であるT-64B1K、爆発反応性装甲を装備したT-64BV1K指揮戦車、T-64を再生して実質的にT-64Bと同規格にしたT-64Rなどがある。
これまでのところ、T-64は旧ソ連構成諸国以外には販売されていない。これは、後のT-72がワルシャワ条約機構諸国やその他の国に広く輸出されているのとは対照的である。一説によれば、T-64は設計が非常に拙劣で、機械的トラブルなどの問題が多発したため、1969年までに生産が終了した(それまでに約8,000両が製造された)と言われている。また、T-64には当時先進の装甲(セラミック複合装甲)が使用されていたことから、ソ連部隊用に温存されていたとする説もある。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲T-64は、T-55に続いてソ連陸軍およびソ連の同盟国の主力戦車となるべく開発された車両である。

T-64B
乗員:3名
寸法:全長9.91m(主砲含む)、車体長7.39m、全幅4.64m、全高2.21m
エンジン:出力700馬力の5DTF水冷5気筒ディーゼル・エンジン1基
重量:39.5t
性能:最大路上速度75km/h、最大路上航続距離550km、渡渉水深1.8m(事前準備なし)、登坂能力60%、越堤能力0.8m、越壕能力2.28m
兵装:125mm滑腔砲1門、7.62mm PKT機関銃1挺(主砲同軸)、7.62mm NSVT機関銃1挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2014/05/29


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