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M109 (パラディン)

【第2回】 M109(パラディン) <155mm自走榴弾砲>


アメリカ合衆国が開発した自走砲であるM109は、M44 155mm自走榴弾砲の代替車両として設計された。155mm榴弾砲を装備した旋回式砲塔を搭載した同車は、アメリカ陸軍をはじめ約30か国で運用された。

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約30か国で使用された自走榴弾砲

▲絶え間ない開発の結果、M109シリーズは現代の作戦環境においても十分に効果的な作戦能力を保っている。特に長砲身砲を採用したことは、射程の大幅な延長に役立った。(写真/U.S. Army)

アメリカのM109 155mm自走榴弾砲は、この種の兵器としては世界で最も広く使用されているものだ。M109の開発がスタートしたのは、M44 155mm自走榴弾砲の代替となる新型自走榴弾砲の要求が公表された1952年のこと。当時、110mm T195自走榴弾砲がすでに設計の段階に入っていたため、その車体と砲塔を新型兵器のベースとして流用し、156mm榴弾砲を搭載することとされた。しかし、砲の口径は、NATOで一般的に使用されている155mmにすることが1956年に決定され、最初の試作車両が1959年にT196として完成。ただ、T196には多くの問題があり、信頼性改善のために設計の見直しがかなり行われた。それと同時に、走行距離増大のため、将来のすべてのアメリカ製装甲車両にディーゼル・エンジンを搭載する方針が決定され、ディーゼル・エンジンを搭載した車両は「T196E1」と呼ばれることになった。
T196E1は1961年にM109自走榴弾砲として制式採用され、最初の量産車両が1962年末にクリーヴランド陸軍戦車工場で完成した。この施設はキャディラック自動車部門が運営していたが、後にクライスラー社が運営を引き継ぎ、1970年代にはM109シリーズのすべての生産がボーウェン・マクラフリン・ヨーク社(現ユナイテッド・ディフェンス社)に移行された。
アメリカ陸軍では、M109は各機甲師団と機械化師団に54両が配備されていた(M109 18両装備の大隊3個、各大隊は6両装備の中隊3個で編成)。アメリカ陸軍および海兵隊に加えて、M109は現在29か国で使用されており、そのほかに最近まで配備していた国もある。またM109は、中東や極東で実戦も経験している。

M109の発展

▲基本型のM109自走榴弾砲には短砲身のM126砲が搭載されている。M109シリーズには改修と更新が絶えず施され、世界中で広く実戦配備されている。(写真/U.S. Army)

M109の車体と砲塔は全溶接加工のアルミニウム製で、操縦手は車体前部左側に着座し、エンジン区画はその右側に、砲塔は後部に配置されている。サスペンションは実績十分のトーションバー方式で、片側7個の転輪と前部ドライブ・スプロケット、後部アイドラーで構成されており、上部小型転輪は備えていない。標準装備には赤外線運転ライトや水陸両用キットなどがあり、流れが緩やかな河川であれば、キャタピラを使用して自力航行が可能である。
基本型M109の搭載砲は155 mm M126榴弾砲で、砲の俯仰角は−5°〜+75°、砲塔は360°旋回が可能。俯仰・旋回はいずれも動力式だが、緊急時には手動で行うこともできる。砲には大型の排煙器、マズル・ブレーキ(砲口制退器)、ウェリン型隔螺式閉鎖機が取り付けられており、通常の発射速度は1発/minであるが、短時間なら3発/minでの発射も可能だ。発射できる弾種は、榴弾(最大射程14,320m)、照明弾、戦術核弾頭、戦術CSガス弾、VXまたはGBガス弾など多岐にわたり、車内には28発の砲弾と発射薬が搭載される。また、車長用キューポラには、近接防御用として12.7mm M2HB機関銃1挺が弾薬500発とともに取り付けられている。
M109が長期にわたって生産されている理由には、基本シャシーの継続的な更新が可能であったこと、また射程の長い長砲身砲を取り付けられることが挙げられる。基本型M109以降の主要タイプには、より長砲身のM185砲を搭載したM109A1、装填機を再設計して搭載砲弾数を22発増加させたM109A2、改良型のM109A3、先行2タイプをNBC防御付きに改修したM109A4、M109A4を改良したM109A5、そして21世紀初頭における量産型のM109A6パラディンがある(アメリカ陸軍が957両を発注)。M109A6パラディンには、戦術的改良および信頼性向上策が多く採用されており、乗員は6名から4名に減員されている。

諸 元

▲M109は、アメリカ以外にもドイツやイスラエルなど約30か国で運用された。(写真/U.S. Army)

M109A6 パラディン
乗員:4名
寸法:全長9.68m(主砲前向き)、全幅3.92m、全高3.62m
エンジン:出力440馬力のデトロイト・ディーゼル・モデル8V-71T液冷ディーゼル・エンジン1基
重量:28,849kg
性能:最大路上速度64.5km/ h、最大走行距離344km、登坂能力60%、越堤能力0.53 m、越壕能力1.83m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corps

公開日 2013/03/01


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