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モワク・ピラーニャ

【第26回】モワク・ピラーニャ <装甲兵員輸送車>


モワク・ピラーニャは、スイスのモワク社で開発された装輪式装甲兵員輸送車である。1960年代後半に開発が始まり、シリーズ化され、1972年に最初の試作車両が完成した。ライセンス生産車を含めて、数多くの派生型・発達型が開発、生産されている。

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軍用装輪式装甲車の先駆けとなったピラーニャ

デアゴスティーニ編集部

▲2006年、アイルランドの復活祭軍隊パレードのピラーニャ。

ピラーニャの車体は、小火器弾に対する防御力を有する鋼板溶接構造で作られている。すべてのピラーニャ・シリーズは水陸両用性を持ち、2基のスクリューによって水上浮航が可能だ。夜間用照準装置やNBC防御システム、車内エアコン・システムなどはオプション装備となっている。
初期型のシリーズのピラーニャ Iは、4×4(4輪駆動)、6×6(6輪駆動)、8×8(8輪駆動)の3タイプが作られた。基本型の装甲兵員輸送車タイプは、4×4型が全備状態で7.8トンで乗員数は10名、6×6型は10.5トンで乗員は14名、8×8型が12.3トンで乗員は15名とされていた。1977年、カナダはピラーニャの6×6型の採用を決定し、ゼネラル・モーターズ・カナダ社のディーゼル部門で量産を開始、1979年から1982年の間に491両が生産されている。まず製造されたのは3種類の6×6型ピラーニャで、76mm砲を搭載した火力支援型のクーガー、12.7mmまたは7.62mm機関銃で武装したAPC型のグリズリー、そして装輪式回収工作車のハスキーである。
アメリカは数多くの装軌式/装輪式双方の各種装甲車を検討した結果、ピラーニャの8×8型をLAV(軽装甲車)として選定し、アメリカ海兵隊向けの型が1983年後半に完成した。海兵隊向けLAV-25の基本型には、25mm機関砲と7.62mm同軸機関銃で武装した、動力作動の2名乗り砲塔が搭載されている。海兵隊向けのその他の派生型としては、野戦輸送車型、指揮通信車型、装甲回収工作車型、自走迫撃砲型、対戦車(ミサイル搭載)型、対空型、電子戦型がある。
ピラーニャの8×8型LAVは湾岸戦争において重要な役割を果たした。またLAVは、2001年に海兵隊がカンダハル近郊に前進基地を設けた際にも空輸され、アフガニスタンに進出した最初のアメリカ軍の装甲車両となった。1983年にスイス陸軍は、ピラーニャ6×6型をTOW対戦車ミサイルを搭載する対戦車車両として評価、1980年代後半に部隊配備が始まっている。1990年代には機動力と装甲防御力を向上させたピラーニャ IIが開発・製造された。

機動性と装甲防御力を更に向上させたピラーニャ

デアゴスティーニ編集部

▲スイス陸軍のピラーニャ。

ピラーニャIIIシリーズは、軽量化された車体、強化された搭載能力、改良された油気圧式懸架装置、迅速に交換できるエンジン・システムを特徴としている。ピラーニャIIIには6×6、8×8、そしてシリーズ中では最大の10×10型も新たに作られ、世界中の平和維持活動に参加して得た教訓を採り入れて、地雷に対する防御力が強化されている。
アメリカ陸軍は1984年初頭に本来のLAV計画から脱退したが、近年実施した緊急展開および平和維持活動による数々の経験を通じて、空輸展開と費用対効果の価値を認めるに至った。アメリカ陸軍の将来戦闘システム(FCS)は、1999年、コソボ紛争に対応するためのホーク任務部隊がアルバニアに展開するのに数週間を要した経験に端を発している。このFCSは、2010年以降に配備が開始される予定であるが、臨時の7個旅団は新規開発ではない「在庫品」の装輪装甲車を装備している。
2000年11月、アメリカ陸軍は2001年末までに最初の臨時旅団へ配備するため、2,131両のピラーニャIIIを発注した。何種類かの派生型も装備されることになっており、105mm戦車砲搭載の機動砲型、兵員輸送車型、偵察車型、対戦車ミサイル搭載型、野戦救急車型、自走迫撃砲型、工兵車型、指揮車型、砲兵観測車型、NBC偵察型などがある。
8×8のピラーニャIVでは、強化された装甲と地雷防御機能を備え、出力を544馬力に増強したMTUエンジンを装備したほか、油気圧式懸架装置やABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、牽引制御システムも装着されている。戦闘重量は24t以上で10tの搭載能力があり、ロッキードC-130輸送機で空輸可能である。同時に、LAV IIIとして知られる新型が、カナダ軍で使用されてきた初期型と交代することになっている。
カナダ、アメリカ、スイス以外にも、オーストラリア、チリ(ライセンス生産)、デンマーク、ガーナ、アイルランド、リベリア、ニュージーランド、ナイジェリア、オマーン、サウジアラビア、シエラレオネ、そしてスウェーデンがピラーニャ・シリーズを使用中、または発注済みである。カナダが主なライセンス生産国だが、イギリスのヴィッカース・ディフェンス・システムズ社とアルヴィス社も製造ライセンスを所有している。ピラーニャ IVをベースに、イギリス陸軍の次期主力装輪装甲車としてピラーニャ Vを開発中だ。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲ピラーニャⅠの派生型。アメリカ海兵隊向けLAV-25。

ピラーニャIII  8×8
タイプ:装輪式装甲兵員輸送車
乗員:2名+兵員14名
寸法:全長6.93m、全幅2.66 m、全高1.98m
エンジン:出力350〜450馬力のスカニアDSJ9-48A、デトロイト・ディーゼル6V53TA、MTU 6V183 TE 22、カミン6CTAA 8.3-T350、またはキャタピラー3126などのディーゼル・エンジン
戦闘重量:16,500kg、搭載量6,000kg
性能:路上最大速度100km/h、最大航続距離800km、水上浮航速度10km/h、登坂能力60%、越堤能力0.60m、越壕能力2m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2015/02/26


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