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AECマタドール

【第29回】AECマタドール <多用途トラック>


1939年に登場したAECマタドール4×4トラクターは、イギリス陸軍省の仕様に基づき、114mm、140mm、152mmの中型の野砲や重高射砲を牽引するのに用いられた。軍の要求仕様は、乗員と弾薬を同時に積載可能な4輪駆動トラクターというものだった。

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基本設計

デアゴスティーニ編集部

▲ダックスフォード帝国戦争博物館にあるAECマタドール。もとは砲兵トラクターとして設計されたマタドールだが、そのシャシーは移動レーダーから燃料給油車、レッカー車、移動指揮所など多種多様な用途に転用された。

AEC社は、トラックやバスの車体を生産する会社で、AECマタドールは1941年、公にロンドンの近衛騎兵隊のパレードで展示された。これはウィンストン・チャーチルに好意的な感触を持たせた。マタドールのキャブの基本設計は、木製のフレームに鋼板を張り合わせた非常に簡素で丈夫なものであった。ボディは昔ながらの木製で、後部に1枚のあおり板と、砲操作員用のサイド・ドア1枚を備えていた。フロアには、積載する砲弾を前後に滑らせるための特殊なレールが設けられていた。動力は6気筒7.58rのAECエンジンで、出力は95馬力、最大速度は58km/hである。車両には、7tウィンチと76mの牽引用ワイヤ・ロープも備えられていた。
マタドールはほぼすべての戦域で使用され、砂漠では高い信頼性ゆえに砲兵たちから非常に頼りにされた。一部には、キャブの上半分をドアの高さまで切り取った車両があったことも、写真から分かっている。砂漠の戦闘では、不足していた輸送用トラクターの代役として、輸送トレーラーの牽引にも転用された。マタドールのイギリス陸軍向け総生産数は8,612両で、そのほか、空軍にも各型合わせて400両が配備された。

さまざまな用途

デアゴスティーニ編集部

▲QF 3.7インチ高射砲を牽引している第二次大戦中のイギリス軍の砲兵トラクター、AECマタドール。

マタドールは、もとは火砲牽引用車輌として開発されたが、汎用性の高さから、さまざまな用途に使用された。派生型にはゼネラル・ロード・キャリア(汎用貨物輸送車)がある。これは、積み降ろしを容易にするために、三方をあおり板とした特殊な全鋼鉄製ボディを備えるもので、必要に応じて角の支柱を取り外すこともできた。また、ダンプ荷台やコンプレッサーなどを積載する特殊な平荷台車両も作られた。このほか、同じシャシーを使用して、ドーチェスターと呼ばれる装甲指揮所も製造されている。この車両は、内部に高出力または低出力の無線器材を搭載でき、さらに上方にペントハウスをせり上げて使うこともできた。この種の車両は敵の標的にされやすいため、一般の輸送トラックに偽装するための工夫がなされていた。
1942年には、6lb対戦車砲(57 mm)を防弾ボックスに収めた自走砲型マタドールが175両生産された。この車両では、キャブとボディにも装甲が施された。さらに発電車、航空管制車、25lb砲(88mm)ガン・ポーティ(運搬車)もあったが、最後の型は試作のみに終わった。
マタドールは、戦後も長年にわたって使われた。最後の軍払い下げ車両は1970年代中頃に競売にかけられたほどで、これほど用途廃止が遅かったのも、マタドール・トラックの頑丈さと信頼性の証と言えるだろう。

諸 元

AECマタドール
寸法:全長6.32m、全幅2.40 m、全高3.10m
エンジン:出力95馬力のAEC 6気筒ディーゼル・エンジン1基
重量:自重7,189kg、総重量11,024kg
性能:最大速度58km/h、行動半径579km

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2015/05/28


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