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I号戦車

【第40回】I号戦車 <軽戦車>


 I号戦車はドイツが第一次世界大戦後、初めて量産した戦車である。訓練および生産技術の習得のための軽量・簡易な軽戦車として開発されたが、車両の真の用途を隠蔽するため、ドイツ陸軍兵器部はこの豆戦車に「産業用トラクター」という秘匿名称を与えた。

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開発と生産

デアゴスティーニ編集部

▲B型にチェコ製47 mm 対戦車砲を搭載した I号4.7 cm 対戦車自走砲。

 ベルサイユ条約によって戦車の開発を禁じられていたドイツは、秘密裏に戦車の開発を進め、1933年、ドイツ陸軍兵器部は訓練用途として重量約5,000kgの装甲車両の要求仕様を発行した。これを受けて5社が試作戦車を製作。評価試験を経て、陸軍兵器部はクルップ社の設計を採用し、さらに開発を進めることを決定した。クルップ社が車体を担当する一方で、上部構造物はダイムラー・ベンツ社が製作することになった。最初の生産バッチである150両はヘンシェル社に発注され、1934年7月にPzKpfw I(SdKfz101)Ausf A(I号戦車A型)の制式名称で量産がスタートした。
 この車両の動力は、出力わずか57馬力のクルップM305ガソリン・エンジンであった。しかし、このエンジンに問題が発生したため、次の生産バッチからはより強力なエンジンを搭載することとなり、このために車体を延長して、転輪を両側に1個ずつ追加することになった。重量も幾分増大したが、エンジン出力増の効果は大きく、最大路上速度は40km/hとなった。この改良型車両は、1935年にPzKpfw I(SdKfz101)Ausf B(I号戦車B型)として制式配備された。このタイプの大部分はヘンシェル社で製造されたが、ヴェグマン社でも作られ、生産がピークに達した1935年には800両以上が完成していた。

火力不足と弾薬トラクター

デアゴスティーニ編集部

I号戦車A型。エンジンはクルップ社製のM305(空冷水平対向4気筒57馬力)を搭載した。

 I号戦車はスペイン内戦で初めて実戦に使用され、1939年のポーランド侵攻時には1,445両が投入された。ただし、この時点ですでに、I号戦車は火力と装甲(7〜13mm)が不十分で、前線装備としては不適であることが判明していた。このため、翌年のフランス侵攻戦では、かなりの数がドイツとポーランドに配備されていたにもかかわらず、作戦に参加したのは523両にとどまった。砲を持つ敵戦車や対戦車砲に対抗できず大きな損害を出したが、III号戦車やIV号戦車が充足されるまで前線で使われ続けた。
 1941年の末になるとI号戦車は第一線用途から退いたが、Kleine Panzerbefehlwagen I(SdKfz265)(小型指揮戦車)はその後も実戦に使用された。I号戦車が実戦装備としての用途を解かれると、車体は他用途に転用された。初期に登場した一例としては、弾薬など価値の高い貨物を輸送する「弾薬トラクター」が挙げられる。後には後方警備や本来の訓練用途、弾薬運搬車などの改造車輌のベースとなった。改造の際に撤去された銃塔は要塞のトーチカに流用されている。
 対戦車用途には、捕獲したチェコ軍の47mm対戦車砲を上部構造物に取り付けたものが製作された。この自走砲の射界は、正規戦車に比べると制限されていた。東部戦線と北アフリカで使用されたが、連合軍側がより重装甲の戦車を配備したことで、たいした効果は挙げられなかった。さらに大胆な改造車両として、上部構造物を新たに製作して150mm歩兵砲を搭載した自走砲が登場したが、こちらは車体への負担が大きすぎたため、40両が改造されただけに終わっている。この車両では、砲塔が車体の中央右寄りに配置され、兵装は7.92mm機関銃2挺で、合計1,525発の装弾を携行した。操縦手は砲塔内の左側に着座した。

諸 元

PzKpfw I Ausf B
(I号戦車B型)
乗員:2名
寸法:全長4.42m、全幅2.06 m、全高1.72m
エンジン:出力100馬力のマイバッハNL 38 TR 6気筒ガソリン・エンジン1基
重量:6,000kg
性能:最大路上速度40km/h、最大路上航続距離140km、渡渉水深0.58m、登坂能力60%、越堤能力1.36m、越壕能力1.4m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2016/04/27


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