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BT-7

【第60回】BT-7  <戦車>


 BT戦車は、第二次世界大戦前にソ連が開発した一連の戦車である。「BT」とはロシア語で「素早い戦車」を意味する。設計はアメリカ人技師J・ウォルター・クリスティで、アメリカでは注目されなかったが、ソ連は彼の概念を進んで取り上げ、それをさらに発展させた。

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BTシリーズの誕生

デアゴスティーニ編集部

▲1938年後期型のBT-7。

 1920年末にソ連軍は戦車部隊の近代化を決定し、設計局に対して「最良のアイデアを取得するためにはどんな情報源を利用してもよい」との認可を与えた。多くの有望な設計概念が世界中から集められたが、ソ連はJ・ウォルター・クリスティのアイデアに注目。彼の考案した先進のサスペンション設計は、アメリカではほとんど注目されていなかったが、ソ連は彼の概念を進んで取り上げ、自国でそれをさらに発展させた。こうして、クリスティ式サスペンションはBTシリーズ(「高速戦車」の意味)に採用された。
 最初のBTシリーズは、1930年に輸入したクリスティの試作車両をそのままコピーしたもので、これはBT-1と命名された。初のソ連オリジナル・モデルは、BT-1を発展させたBT-2であった。1931年以降、BTシリーズには数多くの設計改良が重ねられて、1935年にBT-7が製造された。BT-7は、初期のBT戦車と同様、赤軍騎兵隊向けに作られた高速で機敏な車両であり、エンジンは航空機用のものが転用された。BT-7のサスペンションには、高速時でも高い柔軟性を維持できるクリスティ式サスペンションが用いられた。
 また、クリスティの発案によるキャタピラを外しての転輪走行機構も有しており、その場合の最大路上速度は86km/ hにも達した。車体はすべて溶接で作られ、形良く成型されていた。主砲は45mm砲で、これは当時の同クラスの戦車の中で最も大口径の砲であった。さらに、副兵装として7.62mm機関銃2挺を装備し、装甲厚は10〜22mmであった。

BT-7のバリエーションと弱点

デアゴスティーニ編集部

▲タンクデサントを乗せた1935年型のBT-7。

 オリジナルのBT-7-1は円筒形の砲塔を備えていたが、その後、砲塔を円錐形にしたBT-7-2が登場した。この戦車が実戦投入される頃には、それ以前のBTモデルに発生した車両的欠陥もほとんど取り除かれ、高い信頼性を示すようになったBT-7は、兵士たちの間で高い人気を誇った。
 また、このときまでに数多くの派生型も登場していた。一部は火炎放射戦車として製造され、近距離支援型として短い76.2mm主砲を搭載したモデルはBT-7Aと呼ばれた。さらに、BT-7TU指揮戦車や、V型2気筒ディーゼル・エンジンを搭載したBT-7M(もしくはBT-8)も誕生した。BT-7Mではエンジン換装に加えて、車体幅が広げられ、大きく角度を付けた傾斜装甲板が採用された。そのほかにも、水陸両用戦車や橋梁敷設戦車などの実験用モデルも製作され、さらには、地上走破性を高めるために複数の異なる種類のキャタピラを装着したモデルも作られた。
 BT-7にはただ一点、装甲が脆弱であるという重大な戦術上の弱点があった。BTシリーズの戦車はいずれも、速度と機動性を得るために装甲防御を犠牲にしていたのである。このため、1939年にひとたび実戦に参加すると、BT-7を含むBTシリーズは、対戦車ライフルなどの対戦車兵器に無防備であることを露呈してしまった。この弱点は、少数のBT-5が参加したスペイン内戦で、すでに分かっていたことであった。BT-7には若干の装甲が追加されたものの、それでも不十分であることが、1939〜40年のフィンランドとの戦いで表面化した。これを受けてBTシリーズの後継車両の設計が開始され、これは最終的にT-34の採用へとつながっていった。
 結局、BT-7が重要な働きをしたのは、1941年6月のドイツによるソ連侵攻以前のことであった。この時点でも、まだ大量のBT-7が実戦配備されていたが、突き進むドイツ軍戦車に太刀打ちできなかった。その高い機動性にも関わらず、ソ連戦車の陣形は統制を欠き、BT-7を含む多くの戦車が、整備不良や乗員の訓練不足に起因する故障で失われた。これが尾を引いて、大量配備されていたBT-7は、1941年末までに事実上姿を消した。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲ノモンハン事件に投入されたBT-7。

BT-7
乗員:3名
寸法:全長5.66m、全幅2.29m、全高2.42m
エンジン:出力500馬力のM-17T V型 12気筒ガソリン・エンジン1基
重量:14t
兵装:45mm主砲1門、7.62mm機関銃2挺
性能:最大路上速度86km/h(転輪走行時)または50km/h(装軌走行時)、最大路上航続距離250km、渡渉水深1.22m、登坂能力32°、越堤能力0.76m、越壕能力1.83m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2017/12/21


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