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巡航戦車Mk.VIIIチャレンジャー 

【第64回】巡航戦車Mk.VIIIチャレンジャー  <戦車>


 巡航戦車Mk.VIII チャレンジャーは、第二次世界大戦のイギリス陸軍が使用した巡航戦車(35トン級)である。1942年8月には最初の試作車「パイロットA」が完成したが、完成度が低く実戦投入は遅れ、量産開始は結局1944年3月にずれこんだ。

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不成功作だったチャレンジャー

▲チャレンジャーを元にして、オープントップ型の砲塔に同じ17ポンド砲を備えたA30アヴェンジャー。

 巡航戦車チャレンジャーは、イギリス戦車産業の不成功作の一つに数えられる。1941年に、最も重装備のドイツ軍戦車にも対抗できる砲を備えた戦車が要求された結果、A27クロムウェル/セントーのシャシーを改良して17lb(76.2mm)砲を搭載することになった。この新型砲を収めるには、その重量に見合うより大型の車体が必要であり、また反動も大きくなるため大型の砲塔リングが必要となった。
 1942年初めにバーミンガム鉄道車輛会社が選定され、1942年5月に試作車3両の製造に着手した。1942年8月には最初の試作車「パイロットA」が完成、同月13日に評価試験が行われたが、完成度が低く各部に不具合が多く、原型のクロムウェルに比べて車体を拡大し重量が増加したにもかかわらずエンジンがそのままであったことは機動性の低下が懸念された。さらに、大型の17ポンド砲は砲身が重く、傾斜地では砲塔の旋回が著しく困難だった。砲塔が大型で背が高くシルエットが大きい割に装甲が薄いことも試験側から不評を買い、存在意義にすら疑問が呈された。
 これは時期がティーガーI出現以前でもあり、対戦車戦闘能力の重要性がそれほど真に迫っていなかったこともあった。試作での評価が低かったこともあって実戦投入は遅れ、参謀本部が上記の試験後に本車の制式化を認めたものの、量産化に際して200両以上の生産を認めず、量産開始は結局1944年3月にずれこんだ。
 この新型砲を収めるには、その重量に見合うより大型の車体が必要であり、また反動も大きくなるため大型の砲塔リングが必要となった。そこで、クロムウェルのシャシーが延長され、走行転輪が両側に各1個追加された。これにより、砲塔リングを収納する区画が拡大され、大型のリングを搭載することが可能になった。こうしてA30の基礎ができ上がり、この戦車は後にチャレンジャーと命名された。

重量超過

▲1944年、オランダのエッシュ近くのベイリー橋を横断するチャレンジャー。

 チャレンジャーは最初の試作車両が1942年3月に完成したが、評価試験では性能が極めて劣悪であることが明らかになった。高くて不格好な砲塔は重量が重すぎて、延長したサスペンションとのバランスが悪く、このことが多くの問題を引き起こす原因となった。また、主砲が重いため砲塔の旋回速度が極めて遅くなり、機構そのものを再設計する必要があった。砲弾はその大きさゆえに携行数が限られ、より広い収納スペースを確保するために車体の機関銃は撤去されて、主砲同軸の7.62mm機関銃1挺のみが残されることになった。しかし、何よりも大きな問題は、重量的な制約のために、防御装甲を20〜102mmに削らざるを得なくなったことであろう。
 最初のチャレンジャーが完成したのは1944年3月であったが、この時点では、ノルマンディ上陸作戦に備えて車体に広範な防水装備を施す時間はもはやなかった。また、31輌しか完成していなかったこともあり参加できず、実戦配備は8月からとなった。さらに、シャーマンが17lb砲を搭載するようになったことも大きな打撃であった。シャーマン・ファイアフライと呼ばれたこの戦車は、ノルマンディ上陸後のフランス作戦の初期段階で重要な役割を果たしたが、その多くは本来チャレンジャーが担うべきものだったのである。
 それでも何両かのチャレンジャーが1944年後期から実戦に参加し、その多くはイギリス軍装甲師団の偵察連隊に配備されて、当時部隊の主力装備となっていた75mm砲搭載クロムウェル戦車の火力支援を行った。戦争が終わると、ほとんどのチャレンジャーはすぐに退役した。何両かは海外に売却されたが、チャレンジャーは急速にその姿を消して行った。なお、砲塔を低くしたチャレンジャーIIは、試作段階で終わっている。

諸 元

チャレンジャー
乗員:5名
寸法:全長8.15m、全幅2.90m、全高2.78m
エンジン:ロールスロイス・ミーティアV型12気筒ガソリン・エンジン1基
重量:33,022kg
性能:最大路上速度51.5km/ h、最大航続距離193km、渡渉水深1.37m(事前準備あり)、越堤能力0.91m、越壕能力2.59m
兵装:17lb(76.2mm)主砲1門(弾薬42発)、7.62mmブローニング機関銃1挺(主砲同軸)

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2018/04/24


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