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B-2Aスピリット

【第2回】B-2Aスピリット  <「ステルス」戦略爆撃機>


水平尾翼と垂直尾翼のない独特の形状をした全翼機で、レーダーに映らないステルス性能を持つB‐2Aスピリットは、冷戦期の対ソ連用に開発された戦略爆撃機である。冷戦終結後、幾度かの実戦を経験しているが、あまりに高価な軍用機であるため、21機しか運用されなかった。

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3社による協力態勢

▲B-2Aの機体形状の設計にあたっては、10万種類以上のレーダー断面積像に対して分析が実施され、構成品に対して55万時間の風洞試験が実施された。(写真/U.S. Air Force)

 冷戦時代に核爆弾およびスタンドオフ兵器によって旧ソ連の目標を攻撃するために開発された「ステルス」戦略爆撃機のB-2Aスピリットは、当初は「プロジェクト・シニアC.J」という極秘の「ブラック」プログラムとして開始され、後に「ATB(先進技術爆撃機)」と呼ばれることになった。アメリカ空軍は、冷戦の最盛期に132機程度のB-2Aを取得する計画を立てていたのである。
 ノースロップ社は、以前に設計した全翼機の経験を大幅に採り入れ、ボーイング、ヴォート、ゼネラル・エレクトリックの3社からの全面的な協力を得ながら、3次元コンピューター援用設計および製造システムを活用して、B-2の独特な「主翼と胴体を一体化した2重W翼」の機体を作り出した。機体前部とコックピットはノースロップ社、機体後部の中央と外翼部はボーイング社、胴体中央部のほか、アルミニウム、チタニウムおよび複合材料製の部分の製造はヴォート社がそれぞれ担当。レーダー波を吸収させるハニカム構造には、もっぱらグラファイト/エポキシ複合材料が使用された。また、赤外線の輻射特性を低下させる必要から、エンジンの排気口は、地上の探知装置から隠れるよう、機体後縁の上側に低いV字型形状にして取り付けられ、エンジンの排気中には四塩化フッ素スルフォン酸を噴出して、航跡雲が発生するのを抑制している。さらに、後退角が付いた主翼前縁と鋸歯状の後縁は、レーダー波のエネルギーを吸収するために特殊な形状に設計されている。コックピットにはACES II射出座席を備える2名分の搭乗員席が取り付けられているが、3人目を搭乗させることも可能。操縦系統には4重の冗長性を持たせたデジタル式フライ・バイ・ワイヤが採用されており、これによって主翼後縁の操縦翼を作動させている。尾部のビーバー・テイル形操縦翼はピッチ軸トリム翼としての機能を持ち、突風から受ける影響を最小限にとどめることができる。
 B-2Aは攻撃直前に目標を確認するために、AN/APQ-181レーダーをほんの短時間だけ作動させ、狭い区域に限って電波を放射した後に攻撃を行う。機体には電子戦システムを搭載していて、この中には高度の機密とされているZSR-62自己防御支援システムが含まれている。

高価な軍用機

▲S字型のエンジン空気取入口とAN/APQ-181レーダーを覆っている誘電体性パネルも、B-2Aの「ステルス」機能の向上に寄与している。これらによって、アンテナは本来の機能を発揮している間でも、敵のレーダー電波を反射することがない。(写真/U.S. Air Force)

 B-2Aは高高度侵攻機と見られているが、設計が凍結された1983年までは低高度侵攻任務も考慮されていたため、設計を最終的に確定するには大幅な変更が必要であった。B-2Aの最初の機体は、1988年11月22日にカリフォルニア州パームデールのアメリカ空軍第42工場からロールアウトした。初飛行は1990年7月17日に行われ、AV-1(飛行試験機1号)はエドワーズ空軍基地に運ばれて試験プログラムに供された。
 ところが、1991年7月、B-2Aにはステルス機としての形状に不具合があることが明らかになった。アメリカ空軍は、地上にある一部の強力な早期警戒レーダーがこの航空機を探知できることを認め、広い周波数範囲で機体からの反射特性を低下させる一連の処置を実施したのである。B-2Aの性能に問題が起きたことは、予算を獲得する上で不利に働いた。最初の調達機数目標は132機であったが、段階的に減らされて15機になり、2001年予算では増加が認められたものの、合計機数はわずかに21機であった。これは、1機当たり約20億ドル(約2000億円)で、維持費も高額であることも影響したといわれている。なお、同機は1999年のコソボ紛争、2001年のアフガニスタン空爆、2003年のイラク戦争などで実戦を経験している。

諸 元

▲グアムのアンダーセン空軍基地へ向かう途中、KC-135ストラトタンカーから空中給油を受けるB‐2A。(写真/U.S. Air Force)

ノースロップ・グラマンB-2Aスピリット
タイプ:複座長距離戦略爆撃機
寸法:全幅52.43m、全長21.03 m、全高5.18m、主翼面積約490.05m2
エンジン:推力84.52kNのゼネラル・エレクトリックF118-GE-100ターボファン・エンジン4基
重量:自重69,717kg、最大離陸重量152,635kg
性能:最大速度約764km/h(高高度)、実用上昇限度15,240 m、航続距離12,223km (AGM-129ミサイル8発およびB61爆弾8発を積んでHi-Hi-Hiミッション時)または8,334km(同じ兵器を搭載してHi-Lo-Hiミッション時)、航続時間36時間以上
兵装:機体中央下側の兵器倉に18,144kgまでの投下兵装を搭載。通常は、16発のAGM-129ミサイル、16発のB61またはB83自由落下式核爆弾、80発の500lb(227 kg)Mk82または560lb (254kg)Mk36爆弾、80発のMk62水中機雷、36発の750lb(340kg)M117火炎爆弾またはCBU-87/89/97/98集束爆弾、16発のJDAMまたは2,000lb(907kg)Mk84爆弾、8発の4,400lb(1,996kg)深深度貫徹爆弾もしくはJSOW

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真/U.S. Air Force] 

公開日 2013/03/01


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