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AH-64Dアパッチ

【第26回】AH-64Dアパッチ <ヘリコプター>


AH-64は、マクドネル・ダグラス社(現ボーイング)が開発した攻撃ヘリコプターである。アパッチ(Apache)の愛称は、アメリカ先住民のアパッチ族に由来する。1991年の湾岸戦争で戦いの幕開けを担ったアメリカ陸軍のAH-64アパッチは、アフガニスタンにおける「不朽の自由」作戦にも加わっている。

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イラクからバルカン半島へ

デアゴスティーニ編集部

▲イラク上空を飛行するアメリカ第101飛行隊AH-64アパッチ。

「砂漠の嵐」作戦の直後、アパッチはイラク北部における国連の平和維持活動支援のために呼び戻され、「プロヴァイド・コンフォート」作戦の一環としてトルコに展開した。1991年4月24日、ドイツ・イレスハイムの基地から空輸されたアパッチは、国連の輸送ヘリによるイラク北部、クルド人難民キャンプへの補給物資空輸を武装援護し、特にイラク軍の夜間作戦の抑止に効果を発揮した。
1995年12月にアメリカ陸軍がバルカン半島に派遣された際には、アパッチは主力部隊に先行して、まずハンガリーのタスザールに、次いでクロアチアのに進出し、最終的にツズラに駐留した。1996年末になるとボスニア情勢が安定したため、アパッチはドイツ国内に戻った。
NATOがユーゴスラビアに対して「アライド・フォース」作戦を開始すると、アメリカは1999月4月4日にアパッチ派遣を発表したが、ホーク機動部隊(アパッチ部隊の名称)による展開は、必ずしも全面的な成功とは言えなかった。24機のAH-64Aが展開し、これに伴ってUH-60LおよびCH-47Dヘリコプターのほか、膨大な装甲車両および地上部隊が展開した。アパッチはイタリアで待機した後、4月21日にまずティラナに到着した。4月26日にはすべてのヘリコプターがユーゴスラビア国内に入ったが、その日の昼間に訓練中の1機が樹木に衝突して墜落した。5月4日、今度は夜間に2機目が事故によって失われた。このときには搭乗員が2名とも死亡し、この作戦で最初のNATO側犠牲者となった。最終的に「アライド・フォース」の航空作戦は6月9日に終了したが、ホーク機動部隊が1発でも実弾を発射する機会はついに一度も訪れなかった。
しかし、その翌日、セルビア人勢力撤退後のコソボを占領する「ジョイント・ガーディアン」作戦の準備のため、12機のアパッチが第12機動部隊としてマケドニアのペトロヴェックにあるキャンプ・エイブル・セントリー前哨基地に進出した。6月12日、アパッチは最初のNATO側ヘリコプターとしてコソボに入り、前方の警戒を務めた後、最初の部隊を輸送するイギリス軍のピューマとチヌークの護衛にあたった。
アパッチはその後の作戦で中心的な役割を果たした。1999年12月、アパッチ部隊はコソボのキャンプ・ボンドステーレに移動し、このときまでに最初のアメリカ陸軍機は新しい8機と交代し、さらにアラブ首長国連邦(UAE)空軍から6機のアパッチが派遣されてきていた。
2000年後期には、別の平和維持活動でAH-64Dが初めての実戦展開を行い、オランダ空軍のアパッチも初の実戦参加を果たした。2002年後期には、「不朽の自由」作戦の一環として、アメリカ陸軍はアフガニスタンにAH-64Aアパッチを展開させている。

AH-64アパッチ・ロングボウ

デアゴスティーニ編集部

▲デモンストレーションフライト中のアパッチ。

AH-64アパッチは、固定武装にM230 30mmチェーンガンを持ち、ハイドラ70ロケット弾やヘルファイア対戦車ミサイルの運用が可能。強力なレーダー、それにバックアップされる火器管制装置やGPSなどの航空電子機器を搭載する。AH-64Aアパッチにロングボウ火器管制レーダーを搭載し、大幅な能力向上を図った派生型であるロングボウ・レーダーとヘルファイア・ミサイルを装備するAH-64Dアパッチ攻撃ヘリコプターは、激しい雨の中でも、あるいは濃い煙幕を通してでも目標を精確に攻撃することができる。アメリカ陸軍が実戦に即して行った比較試験では、AH-64Dはその驚異的な能力を存分に発揮し、ある関係者をしてこう言わしめた──「これまで長く試験の仕事に携わってきたが、新しいシステムがこれほど旧システムより優れていたのはこれが初めてだ」。仮想敵部隊として試験に参加したあるメンバーは、試験時の様子を振り返ってこう語っている──「アパッチ・ロングボウが攻撃してきたと思ったときには、もうみんな御陀仏だったよ」。AH-64Dはアメリカ陸軍第一線部隊への配備が進められており、オランダ、イギリス、日本、シンガポールなどが導入している。
アパッチは、気象条件がアリゾナとはまったく異なる中央ヨーロッパでの戦闘を見込んで設計されている。ロングボウ・レーダーを搭載したAH-64Dは最悪の気象条件下でも目標を発見して仕留めることができるが、これはAH-64Aにはなかった能力である。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲大西洋を航行する艦船上のAH-64アパッチ。アパッチのテイル・ローターのブレードは、2翅1組のブレードを2つ重ね合わせる形で取り付けられている。

AH-64Aアパッチ
機体寸法
胴体全長(回転中の両ローター含む):17.76m
主ローター直径:14.63m
テイル・ローター直径:2.79m
全高(テイル・ローターまで):4.30m(AH-64Dは4.95m)
主ローター回転円盤面積:168.11m2
テイル・ローター回転円盤面積:6.13m2
小翼幅:5.23m
水平尾翼幅:3.4m
ホイール・ベース:10.59m
ホイール・トラック:2.03m
主ローターと地面の間隙:回転時3.59m
エンジン
(AH-64A/603号機まで)ゼネラル・エレクトリックT700-GE-701ターボシャフト・エンジン2基、通常は出力1,265kWに減格して使用 
(AH-64A/604号機以降)定格出力1,409kWのゼネラル・エレクトリックT700-GE-701Cターボシャフト・エンジン2基
(AH-64D)出力1,409kWのゼネラル・エレクトリックT700-GE-701Cターボシャフト・エンジン2基
重 量
空虚重量:5,165kg(AH-64Dは5,352kg)
通常離陸重量(主任務時):6,552kg
設計任務重量:8,006kg
最大離陸重量:9,525kg
燃料搭載量
最大機外搭載量:772kg
機内燃料:1,157kg
機外燃料(4個のブランズウィック・タンク):5,980kg

性 能
最大水平巡航速度:293km/h (AH-64Dは261km/h)
最大制限速度:365km/h
海面高度最大上昇率:990m/ min(AH-64Dは942m/min)
海面高度最大垂直上昇率:762m/min(AH-64Dは474m/min)
実用上昇限度:6,400m(片発時3,290m)
ホバリング高度限界:4,570m (AH-64Dは4,115m)
航続性能
最大航続距離(機内燃料のみ):482km(AH-64Dは407km)
回航距離(最大機内および機外燃料、無風時):1,899km
兵 装
胴体下の主脚間にボーイングM230 30mmチェーン・ガン1門。通常の射撃速度はHE(榴弾)またはHEDP(両用榴弾)で625発/min。最大搭載弾数1,200発。
翼下4か所のハードポイントには、最大16発のロックウェルAGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルまたは最大77発の70mm FFARロケット弾を搭載、あるいはヘルファイアとFFARを混合搭載。計画されている改修では、ハードポイント2か所を追加して空対空ミサイル(スティンガー4発、ミストラル4発またはサイドワインダー2発)を搭載

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2015/02/26


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