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ツポレフTu-142ベア

【第36回】ツポレフTu-142ベア <長距離対潜作戦/洋上哨戒機>


ツポレフTu-142ベアは、ソ連時代にツポレフ設計局によって海軍向けの長距離洋上哨戒/対潜哨戒機型として、ツポレフTu-95ベア戦略爆撃機を対潜作戦(ASW)用に最適化した派生型で、1963年に正式に開始された。

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ツポレフTu-142

デアゴスティーニ編集部

▲Tu-142からさらに胴体前部を0.3m延長するとともに操縦席天井の高さを増したTu-142M対潜哨戒機。

ツポレフTu-142ベアの開発は、1963年に正式に開始された。Tu-95RTベアD偵察機の機体構造を原型としたTu-142ベアFでは、捜索/追跡システムとASW兵器が導入された。この新型機が搭載する精巧な航法装置は、兵器システム目標指示装置の一部としても機能する。これより前の1960年代初期に、ツポレフはTu-95PLOの名称で“ベア”のASW型を開発しようとしたが、当時は強力な搭載センサーがなかったため断念した経緯があった。
Tu-142は、クワドラット2およびクブ3電子戦システムを使用した電子偵察用機器も搭載している。また、左右の主脚に各6個の車輪を付けた新しい降着装置が採用され、大型化したナセル内に引き込んで収納するようにされた。これは、ソ連の軍事教義に従って、Tu-142に未舗装の滑走路からの行動能力が要求されていたためである。
その他の改修点としては、主翼面積を拡大して新しい硬式金属製主燃料タンクを取り付けたことや、自己防御用ECM機器を搭載したことがある。試作2号機以降では、新システムを搭載するためのスペースとしてキャビンが1.50m延長された。
Tu-142の試作機は1968年7月18日に初飛行した。原型となったTu-95RTと比べると、Tu-142では胴体上下のターレットが外され、RTの大型誘電体レドームの代わりに赤外線装置用の小型のフェアリングが取り付けられた。水平安定板先端のフェアリングには、RTが搭載していたアルファ・システムに代えて新しいアンテナ・システムが取り付けられた。

ソ連海軍への配備

デアゴスティーニ編集部

▲NATOによってベアFモッズ3と報告されたTu-142M。

1970年5月、Tu-142の量産初号機が実用評価試験用としてソ連海軍のASW部隊に納入された。機体の評価試験とベルクート95捜索レーダーの試験が無事に終了した後、Tu-142は1972年12月に作戦態勢に就いたことが公式に認定された。
しかしTu-142の納入は遅れ、発注した36機のうち1972年にソ連海軍に納入されたのは12機だけであった。これらの機体には、試作初号機と同じ12車輪式の降着装置が取り付けられていた。ところが、いざ部隊に配備されてみると、Tu-142の未舗装滑走路からの活動能力は実際にはあまり役に立たず、しかも重すぎる重量が性能に悪影響を与えていた。この2つの理由から、改修計画が適用されることになった。
この改修では、長時間の飛行に備えて機体に搭乗員の休息区画が設けられた。主降着装置は軽量のものに交換され、重量が3,630kg節減された結果、飛行特性も改善された。この改修型Tu-142は18機しか作られなかったため、新しい型式名は与えられなかったが、NATOでは“ベアF Mod1”のコード名が付けられた。
1972年にクイビシェフ工場から最後の機体が送り出され、これが量産機の標準形態となって、その後タガンログ工場でTu-142M(“ベアF Mod2”)として製造されることになった。Tu-142Mでは、延長型のコックピットと新しい降着装置が採用されたが、それ以外の機器類は変更されていない。タガンログ工場の機体は、クイビシェフ工場のTu-142の最終機とほとんど同じであることから、海軍はTu-142Mの工場名称を使わず、単にTu-142と呼んでいた。
ステルス性を増した潜水艦の登場や、Tu-142の実際の運用経験から、従来方式のトリガー装置付きソノブイではあまり効果が期待できず、爆発音源を使用した新しいソノブイが必要と考えられるようになった。こうして、改良されたソノブイ機器とコルシュン目標捕捉装置を組み合わせた機体が、Tu-142MKの工場名称(NATOコード名は“ベアF Mod3”)で作られた。
Tu-142MKの初号機は1975年11月4日に初飛行したが、コルシュン・レーダーや新しいASW機器には不具合が多発し、部隊配備前に旧式化することも考えられた。このため、コルシュン搭載のTu-142MKが就役する1年前の1979年7月に、この機体には根本的な能力向上改修が必要であると発表された。それでも、Tu-142MKはTu-142Mに代わって製造が開始され、少々紛らわしいが、海軍は新型機をTu-142M、それ以前の機体をTu-142として区別することとした。
Tu-142MKの最初の3機は1980年11月に就役した。機体にはMAD(磁気探知装置)、新型航法装置、改良型の電子戦機器などが搭載された。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲海洋作戦用のベアFモッズ3にはすべて空中給油プローブが取り付けられ、1回の空中給油で航続距離が2,000km延びた。

ツポレフTu-142M ベアF 
タイプ:長距離ASWおよび洋上偵察機
寸法:全幅50.00m、全長48.17 m、全高12.12m、主翼面積289.90m2
エンジン:出力11,033kWのクズネツオフNK-12MVターボプロップ4基
重量:最大離陸重量185,000kg
性能:最大速度850km/h、実用上昇限度10,700m、航続距離12,000km(最大搭載時)
兵装:尾部ターレットに自己防御用の23mm NR-23機関砲2門、加えて爆雷、爆弾および魚雷

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2015/12/24


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