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F-4ファントムⅡ

【第4回】F-4ファントムⅡ  <多用途作戦機>


1950年代後半に登場したF-4ファントムⅡは、それまでにないまったく新しい能力を披露し、ベトナム戦争でも多数の機体が活躍。5000機超の生産量を誇る同機は、誕生後50年以上を経過した現在も、数カ国で使用されている。

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世界各国で運用されたベストセラー機

▲1960年代のF-4ファントムⅡ。ベトナム戦争においてアメリカ空軍のF-4 は、主に対地攻撃に用いられた。(写真/U.S. Air Force)

マクダネル・ダグラスF-4ファントムIIは、1979年10月の生産終了までに5,195機が製造されたが、この驚異的な数に匹敵するのは、世界でも旧ソ連/ロシアのMiG-21など数機しかない。このベストセラー機の歴史は1953年に始まった。9月、マクダネル社はF3Hデモンに代わる双発全天候戦闘機の検討を開始したが、戦闘機としてはF8Uクルーセイダーが有望視されていたため、マクダネル社は狙いを全天候攻撃/戦闘機に変更し、1955年7月に2機のYF4H-1ファントムII試作機の製造契約を締結。1958年5月27日に初飛行したファントムIIは、地上レーダーの支援を受けることなく、機体搭載レーダーの有効範囲内にあるあらゆる目標を発見して迎撃・破壊するなど、それまでにないまったく新しい能力を即座に実証した。この能力に着目したアメリカ海軍は早速、最初の量産型となるF4H-1を発注した。この型は、1962年9月以降、「F-4A」と呼ばれることになる。
アメリカ空軍もファントムIIを購入し、多数の機体がベトナム戦争で広く活躍した。その後、ギリシャ、イラン、イスラエル、日本、韓国、スペイン、トルコ、イギリス、旧西ドイツの空軍で、第一線機として重要な任務を果たし、オーストラリア空軍も、ゼネラル・ダイナミックスF-111が納入されるまでの間、一時的にファントムIIを運用した。ファントムIIは現在でも数カ国で使用されているが、そのうち最も古い型はF-4Dで、最も数の多い型はF-4Eである。F-4E多用途戦闘機は、北ベトナムにおける空中戦の教訓から誕生したもので、1967年6月30日に初飛行し、翌年に部隊配備された。この型はファントムIIでは最大の1,397機が製造され、運用寿命延長のためにさまざまな改良が加えられている。
日本では、三菱重工がF-4Eを原型として、迎撃専用型のF-4EJをライセンス生産した。140機製造されたF-4EJは、対地攻撃機能がなく、納入時には空中給油装置も外されていた。西ドイツはF-4Eの軽量単座型としてF-4Fを計画したが、最終的に登場した機体はF-4Eとほぼ同じ仕様であった。F-4Fは合計175機が納入され、F-4EJとF-4Fは、いずれも部隊配備後に改良が加えられている。

さまざまな派生型が誕生

▲1990年代、湾岸戦争における「砂漠の嵐」作戦に備えるアメリカ空軍第117戦術偵察航空団のRF-4C。(写真/U.S. Air Force)

1963年8月8日、ファントムIIの写真偵察型としてYRF-4C試作機2機の第1号機が初飛行し、まもなく量産型のRF-4Cも飛行を開始した。RF-4Cは、設計変更した機首に光学、レーダー、電子および赤外線センサーによる偵察機器を搭載し、電子機器の性能も大幅に向上。503機が製造され、韓国とスペイン(CR.12)に輸出も行われた。
ファントムIIは、これら以外にもさまざまな型で作られている。主なところでは、アメリカ海軍向けのF-4B、それをベースにしたアメリカ空軍向けのF-110A(後にF-4C)、F-4Cからワイルド・ウィーズル型に改修された通称EF-4C、同空軍向けの量産型F-4D、そこからワイルド・ウィーズル型に改修された通称EF-4D、輸出向けの戦術偵察型RF-4E、同空軍向けのF-4Gワイルド・ウィーズル、同海軍向けのF-4J、その改良型のF-4Sなどだ。さらに、旧アメリカ海軍のF-4Jをイギリス空軍向けに改修したF-4J (UK)、ロールスロイス・スペイ・ターボファン・エンジンを積んでF-4Jから改修されたイギリス海軍向けのF-4KファントムFG.Mk1、同空軍向けにF-4Kに改修を加えたF-4MファントムFGR.Mk2なども存在する。

諸 元

▲爆弾を投下するアメリカ空軍第81戦術戦闘飛行隊のF-4E。 (写真/U.S. Air Force)

マクダネル・ダグラスF-4EファントムII
タイプ:複座多用途戦闘機
寸法:全幅11.71m、全長19.20 m、全高5.02m、主翼面積49.24m2
エンジン:ドライ時静止推力52.53kN、アフターバーナー使用時79.62kNのゼネラル・エレクトリックJ79-GE-17Aターボジェット2基
重量:基本自重13,757kg、最大離陸重量28,030kg
性能:最大水平速度2,390km/ h(高度36,000ft、クリーン時)、海面高度最大上昇率18,715m/min、実用上昇限度18,975m、戦闘行動半径1,266km(領域迎撃任務時)
兵装:20mm M61機関砲1門、加えて最大7,258kgの兵装品

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真/U.S. Air Force] 

公開日 2013/04/24


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