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フィーゼラーFi103(V-1)、ライヒェンベルク

【第44回】フィーゼラーFi103(V-1)、ライヒェンベルク  <巡航ミサイル>


 フィーゼラーFi103(V-1)は、第二次世界大戦時、ドイツが開発したミサイル兵器である。パルスジェットエンジンを搭載した現在の巡航ミサイルの始祖とも言える兵器である。正式名称はフィーゼラー Fi 103で、V-1 とは「報復兵器第1号(Vergeltungswaffe 1)」の略号である。

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パルスジェットの推進

デアゴスティーニ編集部

▲ハインケル He 111に吊り下げられたV-1。

 ドイツが第二次世界大戦で使用したフィーゼラーFi103は、自らを誘導して指定された経路上を飛翔する、兵器史上初めての巡航ミサイルであった。この兵器は、V-1の通称で広く知られ、正体を隠すためにFZG76 (対空目標76)という名称でも呼ばれていた。
 1942年、ミルヒ元帥はシュミット社に対し、「飛行爆弾」の推進装置として、ジェット・エンジンの一形態であるパルスジェットを開発することを承認した。Fi103の開発が始まったのはこのときで、最初の動力飛行は1942年12月24日に行われた。ちなみにパルスジェットエンジン本体はアルグス社、誘導装置をジーメンス社、発射台をヘルムート・ヴァルターの会社が担当したので、フィーゼラー社が携わったのは機体本体のみである。開発には遅れが生じたが、1944年6月13日にはロンドンに向けて初の実戦発射が行われた。V-1は極めて不安定で精度も低かったが、そういう意味では大都市のロンドンは理想的な目標であった。
 V-1は葉巻型の胴体に主翼と尾翼を取り付けた構造で、傾斜付きの発射台から、化学薬品を使用したピストンで打ち出された。推進装置にはパルスジェットが用いられ、目標地点上空で燃料を遮断することにより、急降下して地面に突っ込むという仕組みであった。V-1はイギリス国民を恐怖のどん底に突き落としたが、その構造は比較的単純で安価な兵器であった。当時の技術では信頼性の高い誘導/目標指示装置を製造できなかったため、精度はまったくあてにならなかった。

V-1の成果

デアゴスティーニ編集部

▲有人型Fi-103。

 V-1はイギリス海峡近くに設けられた数百か所の陣地から発射された。しかし、これらの陣地は連合軍機の攻撃を受けるようになり、防御するイギリス側の対空火器や戦闘機もやがてV-1を圧倒するようになった。計画では毎日3,000発の発射が予定されていたが、最終的には72%が撃墜、または墜落という有様であった。残りの28%も、ロンドンに到達したのはそのうち9%で、残りの19%は他の地域に落ちることになった。実際にはこの数に遠くおよばず、最高記録は1944年8月2日の316発(38か所の陣地から発射)であった。
 1945年初めには主目標がベルギーに移り、2,448発がアントワープとブリュッセルに落下した。また、1,200発以上のV-1がHe111H-22爆撃機から空中発射されている。派生型としては、翼幅が大きく弾頭ケースが木製の長距離型があった。
 V-1は29,000発以上が製造されたが、そのほとんどは、強制収容所の囚人がミッテルヴェルケと呼ばれる地下工場で作ったものである。有人型のライヒェンベルクIV(Fi103R-IV)も飛行したが、作戦には使用されなかった。Fi103R-IV有人型は、パイロットはミサイルを目標に向けた後に脱出することになっていたが、狭いコクピット等を考慮すると実際には脱出は極めて困難であったと考えられている。
 有人型のFi103Rは、Fi103R-Iグライダー、Fi103R-II複座基本練習機、Fi103R-III複座高等練習機、そして実用機であるFi103R-IVの4種類が製造される計画であった。Fi103R-IVは終戦までに175機前後が製造された。

諸 元

Fi103(標準型)
タイプ:固定陣地(または空中)発射爆撃用巡航ミサイル
寸法:翼幅5.30mまたは5.72m(長距離型)、全長8.32mまたは7.73m(短機首型)
推進装置:アルグス・シュミット109-014スプリング・バルブ式パルスジェット1基、推力は周波数約47Hz/海面高度で2.94kN
発射重量:代表値2,180kg
性能:速度約599km/h(初期)または最大速度800km/h (1944年後期以降)、航続距離240km(標準型)または 320km(長距離型)
弾頭:850kgまたは454kg(長距離型)の通常弾頭(RDX混合)
誘導方式:自動操縦装置で発射台の方向を維持、動圧回転式プロペラによって距離を測定し、適切な地点で燃料を遮断して急降下を指令
制御装置:昇降舵/方向舵のみ

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2016/08/30


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