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F-14トムキャット

【第5回】F-14トムキャット <可変後退翼防空戦闘機>


高性能の電子機器を搭載したF-14トムキャットは、F-4ファントムⅡの後継機として開発された艦隊防空戦闘機で、アメリカ海軍では数々の作戦において成果を挙げている。

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高性能の艦隊防空戦闘機

▲アメリカ海軍のF-14は、湾岸戦争後に展開された「サザン・ウォッチ」作戦を始め、さまざまな作戦に投入された。(写真/U.S. Navy)

1973年より運用されたF-14トムキャットは、F-4ファントムIIの後を継ぐ艦隊防空戦闘機として設計された。その開発構想は、目標を超遠距離で攻撃し、空母戦闘群に脅威をもたらす前に撃墜するというもので、可変後退翼の採用により、空母からの運用に必要な低速時の優れた操縦性と高速性能、さらに軽快な運動性を併せ持っている。
F-14の高性能の鍵は最新式の搭載電子機器にあり、遠距離迎撃レーダーのヒューズAN/AWG-9火器管制装置は160km以上の距離にいる目標を探知、追跡、攻撃することが可能。初期に配備された機体はIRST(赤外線捜索追跡装置)を搭載していたが、この装置は生産過程と部隊配備後の改修によって、TCSと呼ばれる長距離ビデオ・カメラに交換された。また、同機は近接距離から超BVR(視程外)まで、広い範囲で目標と交戦できる兵装オプションを揃えている。AIM-54フェニックスは今日においても、西側で最も射程の長い空対空ミサイルであり、試験では他のどのシステムも及ばない距離で目標を探知し撃破する能力を示した。さらにF-14は、中距離交戦時にはAIM-7スパローを発射し、近距離交戦時には定評のあるAIM-9サイドワインダーを使用。そして最後の手段として、機首部左下にM61A1 20mmガトリング機関砲1門が弾薬675発とともに備えられている。
F-14は艦隊防空任務のほかに、TARPS(戦術航空偵察ポッド・システム)を搭載して偵察任務にも使用される。TARPSポッドは、最初は湿式フィルムを用いていたが、後にデジタル式ポッドに交換された。また、副次的に対地攻撃任務も負うようになっている。

さまざまな性能向上型

▲F-14の大きな特徴である可変後退翼は、加速性能や旋回半径などの向上に貢献した。(写真/U.S. Navy)

配備直後、F-14にはTF30エンジンの問題が続発した。それが主因となって、エンジンを換装した性能向上型の開発が進められ、初期に作られた試作機の1機にF401-PW-400エンジン2基が搭載された。この機体はF-14Bと名づけられたが、技術的な問題と財政難からプログラムは廃止に追い込まれてしまう。しかし、同機はF101DFE(派生型戦闘機用エンジン)ターボファンを搭載したF-14Bスーパー・トムキャットとして再登場した。このエンジンは後にゼネラル・エレクトリックF110-GE-400ターボファンに発展し、改良型F-14の量産型用エンジンに選択された。これによって、2種類の新しいF-14が生産されることになった。エンジンを換装したF-14+(既存のF-14Aからの改修)と、エンジンを換装したうえに改良型のデジタル電子機器を搭載したF-14Dである。後にF-14A+は正式にF-14Bと改称され、F-14Aからの再生機32機のほかに新しく38機が製造された。これらの機体では、火器管制装置、通信機、レーダー警戒受信機など、搭載電子機器の一部が変更されたほか、コックピットにもさまざまな改良が加えられた。
一方、改修を受けた2機のF-14AがF-14Dの試作機として飛行し、F-14Dとして一から製造された機体は1990年2月9日に初飛行した。F-14Dにはデジタル式電子機器も追加され、デジタル式レーダー処理および表示装置が採用されたほか、機首の下に横並びでTCS/IRTSセンサー・ポッドが取り付けられた。さらに、OBOGS(機上酸素発生装置)、NACES(海軍搭乗員共通脱出システム)射出座席、AN/ALR-67レーダー警戒受信機なども装備された。F-14Aと同様に、F-14Dも完全な対地攻撃能力を備えている。
結局、F-14は計712機が生産され、80機がイスラム革命前のイランに売却された。アフガニスタンでの「不朽の自由」作戦やイラク戦争などで有効性を発揮したアメリカ海軍のF-14は、その役割をF/A-18E/Fに譲り、2006年に完全退役。一方、イランではいまだ貴重な防衛戦力として運用されている。

諸 元

▲初期にエンジントラブルに悩まされたF-14だったが、TF30の後期型が標準エンジンとして導入されると、問題の多くは解決された。(写真/U.S. Navy)

グラマンF-14Aトムキャット
タイプ:複座艦上艦隊防空戦闘機および迎撃機(対地攻撃能力も有する)
寸法:全幅19.54m(主翼展張時)または11.65m(通常後退時)または10.15m(最大後退時)、全長19.10m、全高4.88m、主翼面積52.49m2
エンジン:アフターバーナー使用時定格静止推力92.97kNのプラット&ホイットニーTF30-P-412A/414Aターボファン2基
重量:自重18,191kg(TF30-P-414エンジン搭載時)、最大離陸重量32,098kg(フェニックス6発携行時)
性能:最大水平速度2,485km/ h(高高度、クリーン時)、最大上昇率9,145m/min以上(海面高度)、実用上昇限度15,240m、戦闘行動半径1,233km(AIM-7スパロー6発とAIM-9サイドワインダー4発を携行して戦闘空中哨戒任務時)
兵装:標準兵装は内蔵のM61A1ヴァルカン20mm 6砲身回転式機関砲1門と両主翼グローヴ・パイロンのショルダー発射レールに搭載するAIM-9Mサイドワインダー2発。各グローヴ・パイロンの主発射レールには、AIM-7MスパローまたはAIM-54Cフェニックス各1発を搭載可能。さらに胴体下のエンジン・トランク間に4発のAIM-7MまたはAIM-54C、空気取入口の下に267r入り燃料タンクを携行可能。加えて1,000lb(454kg)Mk83または2,000lb(907kg)Mk84汎用爆弾、その他の重力落下式兵器も携行可能

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真/U.S. Air Force] 

公開日 2013/05/24


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