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空技廠特別攻撃機「桜花」

【第62回】空技廠特別攻撃機「桜花」 <有人飛行爆弾>


 「桜花」は、旧日本海軍が太平洋戦争中に開発した特殊滑空機。特攻兵器として開発され、機首部に大型の徹甲爆弾を搭載した小型の兵器で、母機に吊るされて目標付近で分離し発射され、その後は搭乗員が誘導して目標に体当たりさせる。55名が特攻して戦死した。

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デアゴスティーニ編集部

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特攻機として開発

▲一式陸攻に搭載された「桜花」。

 1944年の夏、圧倒的な兵力で迫る連合軍に脅威を感じていた日本海軍は、敵の進出を食い止めるために「体当たり」という特別攻撃戦法の採用を真剣に検討し始めた。有人飛行爆弾の概要設計を初めて行ったのは太田光男海軍少尉で、横須賀航空技術廠にこの設計案の細部の詰めが命じられた。その結果完成した装置は、主に木製の小型航空機で、後部胴体に3基の固体推進薬ロケットを搭載し、機首に1,200kgの炸薬入り弾頭を取り付けていた。
 一一型では母機からの切り離し後に固体燃料ロケットを作動させて加速、ロケットの停止後は加速の勢いで滑空して敵の防空網を突破、敵艦に体当たりを行うよう設計されていたが、航続距離が短く母機を目標に接近させなくてはならないため犠牲が大きく、二二型以降ではモータージェットでの巡航に設計が変更されている。日本海軍では本土決戦への有力な兵器と見なし、陸上基地からカタパルトで発進させることができる四三乙型などの大量配備を図ろうとしていた。
 1944年8月下旬、秘匿のため航空機に自然名を付けるという発想から、航空本部の伊東裕満中佐が、この空技廠特別攻撃機を「桜花」と命名。「桜花」(MXY7)の運用構想は、改修した三菱一式陸上攻撃機の爆弾倉に「桜花」を搭載し、目標近くまで運んで投下、ロケットに点火した後、選択した目標めがけてまっしぐらに飛行し、衝突するというものであった。「自爆」することになる操縦士は、離陸前からコックピット内に乗り込んでいた。
 最初の動力飛行は1944年10月に相模の秦野飛行場で開始され、続いて翌月に無人の動力飛行が行われた。実験・練成部隊として、百里原飛行場を基地にて第七二一海軍航空隊(通称「神雷部隊」)が編成された。特攻兵器桜花の実験開発及び練成部隊であるのみならず、後に実戦部隊も兼ねた。また、戦闘機による特攻隊である建武隊、神雷爆戦隊、神風特攻隊も行った。量産はその直後に開始され、終戦までに755機生産された。

「桜花」出撃

▲「桜花」の弾頭は機体に対して大きかったことがうかがえる。

 「桜花」による最初の出撃は1945年3月21日に第721航空隊によって行われた。桜花を搭載した一式陸上攻撃機(一式陸攻)は桜花の重量により速度が低速となり運動性も大きく損なわれるため、第1回目の桜花攻撃では、アメリカ艦隊の遥か手前で、アメリカ軍戦闘機に母機の一式陸攻が全滅させられ、桜花を射出することもできなかった
 母機が迎撃されたため「桜花」は予定よりも早く投下され、攻撃は失敗に終わった。しかし4月1日には、「桜花」の攻撃によってアメリカ海軍の戦艦「ウエスト・ヴァージニア」と3隻の輸送艦が損害を受けた。その他の攻撃でもある程度の成果が得られたが、強力なアメリカ軍の防御網に対して母機があまりにも脆弱であったため、この有人爆弾による戦術は、太平洋戦域の連合軍にとって重大な脅威となることはなかった。連合国側からは、自殺(攻撃)を行う「愚か者」の機体との意味合いで、日本語の「馬鹿」にちなんだBaka Bomb(単にBakaとも)というコードネームで呼ばれていた。
 桜花で55名が特攻して戦死。専門に開発され実用化された航空特攻兵器としては世界唯一の存在と言われる。合計755機が生産されたところで1945年3月に生産終了となった。

諸 元

▲沖縄でアメリカ軍に鹵獲された「桜花」一一型。

空技廠特別攻撃機「桜花」一一型(MXY7)
タイプ:単座有人特殊攻撃機
寸法:全幅5.12m、全長6.07m、全高1.16m、主翼面積6.02m2
エンジン:四式一号二〇型固体燃料ロケット・エンジン3基、合計推力7.84kN
重量:自重440kg、最大離陸重量2,140kg
性能:最大水平速度650km/ h、最終急降下速度927km/ h、航続距離37km
弾頭:1,200kg

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2018/02/27


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