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ロッキードU-2

【第70回】ロッキードU-2 <偵察機>


 ロッキード U-2は、ロッキード社がF-104をベースに開発したスパイ用の高高度偵察機。初飛行は1955年で、その塗装から「黒いジェット機」の異名がある。U-2はCIAとアメリカ空軍、台湾空軍で使用されていたが、アメリカ海軍でも1969年に洋上哨戒機として試験されたことがある。

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第1世代のU-2

▲飛行中のU-2R/TR-1。

 1955年7月にドワイト・D・アイゼンハワー米大統領は、「オープン・スカイズ」政策の下、米ソ両国の偵察機を互いの領土上空で自由に飛行させることを提案した。これはソ連によって拒否されたが、同年8月4日にロッキード社は、驚異的な新型偵察機U-2の第1号機を初飛行させた。この偵察機は、同社の「スカンク・ワークス」チームが厳重な機密保持態勢の下に設計・製造したものであった。グライダーのような主翼によって、U-2はエンジンをフライト・アイドルまで絞って長距離を滑空することができ、航続距離を延ばすことができた。また、相手からの探知や迎撃を避けるために、高高度を飛行できるように設計されていた。
 しかし、U-2がレーダーによって探知可能であり、迎撃されうることが、1960年5月1日にはっきりと実証された。この日、CIAのフランシス・ゲイリー・パワーズ飛行士の操縦でソ連上空を飛行していたU-2Bが、地対空ミサイルによって撃墜されたのである。しかしU-2は、ソ連がキューバに弾道ミサイル基地を設置しようとしているのを1962年に発見して、名誉を挽回した。
初期に製造されたU-2シリーズの主なタイプは、CIAとアメリカ空軍向けに製造されたU-2A、推力がより大きく航続距離が長いCIA向けのU-2B、さらに改良が加えられたU-2C、そして研究用のU-2Dである。
 これら第1世代のU-2は、強力なプラット&ホイットニーJ75ターボジェット・エンジンを使用していたが、機体構造上に限界があった。このためロッキード社は、同じエンジンを装備しながら、より大量のセンサー類を搭載できるよう大型化した機体の開発に着手した。その結果登場したのがU-2Rで、1967年8月28日にエドワーズ空軍基地で初飛行した。この型では、翼内を燃料タンクとした新型主翼が採用されると同時に、第1世代機に見られた空力的な不具合の多くが改善されていた。
 U-2Rは初回バッチとして12機が製造され、アメリカ空軍とCIAに同数が引き渡された。空軍はこれらを主に東南アジアで使用し、CIAは台湾から中国本土上空を飛行させた。CIAのU-2Rは、政府の方針転換によって、1974年に全機がアメリカ空軍に移管された。

TR-1AプログラムとU-2Rのセンサー

▲シニア・スパンを装備したU-2。背部にある水滴型のポッドがシニア・スパンである。

 1979年11月には、閉鎖されていたU-2の製造ラインが再開され、37機の新しい機体が製造された。この構想の基本にあったのはTR-1Aプログラムで、U-2RをプラットフォームとしてASARS-2(新型合成開口レーダー・システム2)戦場監視レーダーを搭載するというものであった。また、このTR-1Aを、PLSS(精密位置攻撃システム)レーダー位置確定システムと、U-2Rが積んでいた信号情報収集装置のプラットフォームにすることも計画されていた。しかし、TR-1A勢力は、冷戦の脅威が減少するにつれて次第に削減され、最終的にTR-1Aという名称もU-2Rに戻された。
 新規製造バッチには、25機のTR-1Aと7機のU-2Rがプログラム当初から減耗補充分として含まれていた。また、2機のTR-1Bと1機のU-2RTの計3機の複座練習機もこのバッチで製造された。TR-1Bという名称は、後にU-2RTに変更された。
U-2Rのセンサーは、切り離しできる機首コーン、コックピット後ろのカメラ用Qベイ、胴体下に沿った小型の機器室内、そして主翼に取り付ける着脱式「スーパー・ポッド」内に搭載された。また、少なくとも6機が、胴体背部パイロンに取り付けた巨大な涙滴型レドーム内に、シニア・スパン衛星通信アンテナを装備している。
 1989年3月、ロッキード社はTR-1Aの1機を改修し、J75エンジンの代わりにゼネラル・エレクトリックF101-GE-F29ターボファンを取り付けて飛行させた。1992年から実用機に搭載されるようになったこのエンジンによって、航続距離が16%延伸され、実用任務高度が80,000ft(24,380m)以上に回復するとともに、各地の空軍基地で広く支援を受けられるようになった。このエンジン換装によって、名称はU-2RからU-2Sに変更された。

諸 元

▲初期型の単座機。J57-P-37Aジェットエンジン搭載で48機製造された。

ロッキードU-2R
タイプ:単座高高度偵察機
寸法:全幅31.39m、全長19.13m、全高4.88m、主翼面積約92.90m2
エンジン:定格静止推力75.62 kNのプラット&ホイットニーJ75-P-13Bターボジェット1基
重量:自重約7,031kg、最大離陸重量約18,733kg
性能:最大巡航速度692km/h以上(高度70,000ft)、高度19,810mまでの上昇時間35分間、実用上昇限度24,385 m、最大航続距離約10,060 km、最大航続時間約12時間

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2018/10/29


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