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クズネツォフ級

【第30回】クズネツォフ級 <空母>


「アドミラル・クズネツォフ」は、ソビエト連邦が建造し、2012年現在ロシア連邦海軍が保有している唯一の航空母艦(重航空巡洋艦)である。アメリカ以外の海軍では最大の航空母艦であり、また通常動力型の空母としては世界最大である。

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艦名の変遷

デアゴスティーニ編集部

▲ロシア海軍重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ。ロシアは「重航空巡洋艦」と称しているが、Su-33艦上戦闘機を最大15機、Su-25UTG艦上攻撃機を最大5機の搭載が可能な空母だ。

最初「ブラック・コム2(Black Sea Combatant 2:黒海戦闘艦2)」級と名づけられ、次に「クレムリン」級、そして最後には「クズネツォフ」級となったこれらの艦船は、「ブレジネフ」級と呼ばれることもあった。当初西側では、この艦船は「キーロフ」級巡洋戦艦やSSV-33支援・指揮艦のように、CONAS(原子力および蒸気)推進方式を採用するものと予想していた。しかし実際には、化石燃料ボイラーによる従来型推進方式となった。
一見、アメリカ海軍の空母に似ているが、全長304.5m、67,500tの「クズネツォフ」級は、北極海で作戦行動するミサイル潜水艦に従属して行動することが常に意図されていた。「クズネツォフ」級は水上、水中、航空のいずれの目標とも交戦可能であるが、カタパルトを装備していないので、攻撃兵器を満載した航空機を発進させることはできない。このため空母航空団の主任務は、航空優勢の獲得であると考えられる。
飛行甲板面積は14,700平方メートルで、航空機の発艦は蒸気カタパルトの代わりに艦首にある傾斜12°のスキー・ジャンプ台を使って行われる。飛行甲板には複数のアレスター・ワイヤ(着艦制動索)が備えられている。右舷には2基の昇降機があり、格納庫から飛行甲板へ航空機を移動させるのに使用される。本艦はヤコヴレフYak-141超音速VTOL戦闘機を運用するように設計されていたが、就役後の航海で定常的に搭載されてきた唯一の固定翼機はスホーイSu-27K“フランカー”である。
1番艦は当初「トビリシ」と命名されていた。この艦名は「レオニード・ブレジネフ」に変更され、その後「リガ」から、「アドミラル・フロタ・ソヴェツコゴ・ソユザ・クズネツォフ」という名称を経て、最終的には「アドミラル・クズネツォフ」という短い形に落ち着いた。

2番艦「ヴァリャーグ」は中国の「遼寧」に

デアゴスティーニ編集部

▲1991年12月10日に撮影されたアドミラル・クズネツォフ。

「クズネツォフ」級の2番艦「ヴァリャーグ」の建造は1985年12月にニコライエフで開始され、1988年11月に進水した。しかし1991年末になって、ロシア国防省はこの空母への財政支出を中止し、巨大な船体をウクライナに引き渡した。1998年に「ヴァリャーグ」はマカオの中国系民間娯楽施設会社に売り渡されると発表された。未完成の船体は極東へ曳航され、娯楽施設およびカジノ船に転換されることになっていた。だが、2005年4月26日から8月までに大連船舶重工集団に所属する大連造船所の乾ドックに搬入され、錆落しと人民解放軍海軍仕様の塗装を施され、一部では「中国が大連において空母の建造を計画」などと伝えられた。また、2007年11月の情報では、中国海軍は2008年に本艦を訓練・試験艦「世忠」として再就役させる意向であると伝えられていた。
2009年4月27日には「ヴァリャーグ」は大連造船所から大連船舶重工集団が大連港に新建した30万トン級のドックに着けられ、2010年3月19日には、ドックから同集団所属の大連港の30万トン級の艤装埠頭へ移動し、艤装が本格化。2012年9月25日に遼寧省大連の港で中国人民解放軍海軍に引き渡す式典が行われ、中国は「遼寧」と命名したと発表した。搭載機数は50機から67機と見込まれており、J-15 24-36機、AEW&C 4機、Ka-28PL 6-8機、Ka-28PS 2機等が見込まれている。 ちなみに2013年11月には艦載機、J-15がR-73空対空ミサイルを両翼端に装備した状態で離着艦訓練を行っていることが公開された。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲1991年12月1日、黒海を抜けボスポラス、ダータネルス海峡を通過するクズネツォフ。

クズネツォフ級
タイプ:重航空巡洋艦(空母)
排水量:基準54,000t、満載67,500t
寸法:全長306m、全幅38m、飛行甲板幅73m、吃水11m
推進器:ボイラー8基、蒸気タービン4基で200,000馬力を供給し、4軸を駆動
速力:29kt(54km/h)
兵装:12セルSS-N-19“シップレック”垂直発射機1基(P-700グラニット対艦ミサイル12発)、8セルSA-N-9“ゴーントレット”垂直発射機24基(RZ-130キンサル/クリノク対空ミサイル192発)、コルティック/カシュタン砲・ミサイル複合近接防空システム(連装30mmガトリング砲および8連装M88ミサイル[SA-N-11“グリソン”]32発)8基、RPK-5(UDAV-1)対潜ロケット・システム2基(ロケット60発)
電子機器:MR-710フレガットMA(“トップ・プレート”)3次元対空/水上捜索レーダー1基、MR-320Mトパズ(“ストラット・ペア”)2次元捜索レーダー2基、“パーム・フランド”航海レーダー3基、MR-360ポドカット(SA-N-9“クロス・スウォード”)発射管制レーダー4基、“ホット・フラッシュ”(3P37)SA-N-11発射管制レーダー8基、“フライ・トラップB”航空管制システム1基、MGK-345ブロンザ(“オックス・ヨーク”)船体取付型ソナーを含むズヴェズダ-2ソナー・システム1基、ソズベジィ-BR ESM/ECMシステム1基、PK-2チャフ・デコイ発射機2基、PK-10チャフ・デコイ発射機10基
搭載機:Yak-141 V/STOL戦闘機の搭載を想定して設計されたがキャンセル。標準搭載機はスホーイSu-27K/33 12機、カモフKa-27“へリックス”汎用/対潜/ミサイル誘導用ヘリコプター24機
乗員:2,626名(航空要員626名、旗艦要員40名含む)

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2015/06/29


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