模型を作ってシェアするホビーコミュニティ ホビコム by デアゴスティーニ

ニューオーリンズ/ウィチタ/ボルチモア級  

【第38回】ニューオーリンズ/ウィチタ/ボルチモア級 <軽巡洋艦>


「ニューオーリンズ」は、アメリカ海軍の巡洋艦。「アストリア」級重巡洋艦とも呼ばれるが、もともとは先に建造されていたアストリア がネームシップとなる予定だった、「アストリア」の竣工が「ニューオーリンズ」より遅れたため、「ニューオーリンズ」級のネームシップとなった。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


15隻の新しい巡洋艦の建造

デアゴスティーニ編集部

▲1943年7月30日、エリオット湾で訓練を行う「ニューオーリンズ」(CA-32)。

 アメリカ海軍では、1920年代後期、建造中の大型巡洋艦が軽微な装甲しか有していないことに対する懸念が高まっていた。これらの艦が搭載する方位盤管制の203mm砲は能力が高く、高速航行中でも遠距離の目標に対して高い命中精度を示していたので、造修局は、203mm砲を搭載する排水量10,000tの高速艦にそれ以上の防御を備える必要はないと強硬に主張したのである。こうしたことから、ワシントン条約に基づいて完成した最初のアメリカ巡洋艦は、条約の制限排水量を1,000tほど下回っていた。
 1929年にアメリカ海軍は、CL-(後にCA-)32〜36、37〜41および42〜46の3つのグループに分けられた15隻の新しい巡洋艦の建造計画をスタートさせた。後にこれら15隻は、「ニューオーリンズ」級(CA-32、34、36、37、38、39、44)、「ポートランド」級(CA-33、35)、「ブルックリン」級(CL-40、41、42、43、46)、「ウィチタ」級(CA-45)として建造されることになる。
 建造計画は、1930年のロンドン条約締結にともなう設計制限や、大恐慌による経済的影響により、混乱を来したが、1929年には、第1グループについて、先行の「ノーザンプトン」級に非常に近い設計とすることで承認され、第2グループの艦も時間と費用の節約のため同じ基本設計で建造するべきであるとの勧告がなされた。しかしアメリカ海軍内部には、より強固な防御を備えた巡洋艦を求める強硬な意見があったことから、造修局は、防御力を強化するため、海軍内部である程度の改装を行うことは認めた。
 兵器局はこのとき、それまで仕様書に装甲厚で示されていた防御力について、抗堪範囲という用語を使って表すことを海軍の将官会議に認めさせた。その結果、新しい巡洋艦の防御力は、「10,975〜21,945mの距離で発射され、60°の角度で命中する重量118kgの203mm砲弾に耐えられること」と規定された。

ニューオーリンズ級

デアゴスティーニ編集部

▲1942年、ルンガ沖夜戦で日本軍の魚雷2本が命中し、大破した「ミネアポリス」(CA-36)。

 当初、この新設計は第2グループだけに適用することとされたが、第1グループの3隻(CA-32、CA-34およびCA-36)は海軍工廠で建造されることになっていたため、新設計にしてもコストを抑えることができると見込まれ、これら3隻も新設計で建造されることになった。これら3隻を含み、第1〜3グループにまたがって、1933年から1936年にかけて進水した7隻の「ニューオーリンズ」級は、それ以前に建造された軽装甲の艦と、第二次世界大戦における「ウィチタ」以降の重巡洋艦との間を繋ぐ存在である。
 第2グループのCA-37とCA-38では、新しい軽量の203mm砲の採用に伴い若干の変更が行われた。両艦が起工されるまでに、「ニューオーリンズ」級の設計は条約の排水量制限ぎりぎりであることが明らかとなり、次のCA-39では、4連装27.9mm対空機関砲を搭載するにあたって、防御力軽減を含む重量削減策が実施された。「ニューオーリンズ」級の最後の艦となったCA-44は、CA-39と同じ設計で建造された。公試運転においてネームシップ「ニューオーリンズ」(CA-32)は、排水量11,179t、出力110,503馬力で、32.47kt(60km/h)の速力を記録した。
1942年8月8日の第1次ソロモン海戦で、「アストリア」(CA-34)、「クインシー」(CA-39)、「ヴィンセンズ」(CA-44)の3隻がガダルカナル沖で極めて短時間のうちに次々と沈没した。このことは高い残存性を目指した「ニューオーリンズ」級にとって重大事であったが、このクラスのその他の艦は戦闘における高い残存性を示した。第二次世界大戦中の「ニューオーリンズ」級の艦への改装は小規模なものにとどまり、艦橋の縮小、司令塔の撤去、オープン・ブリッジの設置、クレーン1基の撤去、大分遅れてカタパルト2基のうち1基の撤去、そして対空火器の増強が行われた。1945年8月まで生き残った4隻は、4連装40mm機関砲6基に加えて20mm機関砲を搭載した。その数は「ニューオーリンズ」が連装14基、「ミネアポリス」(CA-36)が連装8基、「タスカルーサ」(CA-37)が単装28基、「サンフランシスコ」(CA-38)が単装26基であった。これら4隻は、1950年代後期から1960年代初期にかけてスクラップにされた。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲メア・アイランドで1945年に撮られた「ニューオーリンズ」(CA-32)。

ニューオーリンズ級

同型艦(艦番号/進水年):ニューオーリンズ(CA-32/1933)、アストリア(CA-34/1933)、ミネアポリス(CA-36/1933)、タスカルーサ(CA-37/1933)、サンフランシスコ(CA-38/1933)、クインシー(CA-39/1935)、ヴィンセンズ(CA-44/1936)
排水量:基準10,136t、満載12,463t
寸法:全長179.22m、全幅18.82m、吃水6.93m
推進器:ウエスティングハウス・ギアード・タービンで107,000馬力を供給し、4軸を駆動
速力:32.7kt(61km/h)
装甲:舷側127〜83mm、甲板57mm(弾薬庫の上)、砲台127mm(ただしCA-37とCA-38は152mm、CA-39とCA-44は140mm)、砲塔正面152mm、上面57mm、側面38mm
兵装:203mm 3連装砲3基(9門)、127mm対空砲8門、12.7mm対空機関銃8挺
搭載機:水上機4機
乗員:868名

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2016/02/26


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。