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インヴィンシブル級 

【第46回】インヴィンシブル級 <軽空母>


 「インヴィンシブル」級航空母艦は、イギリス海軍が建造した軽空母の艦級で、公式の艦種呼称はCVS(対潜空母)とされている。世界で初めてスキージャンプ勾配によるSTOVL運用を導入した艦級であり、フォークランド紛争において実戦投入された際には、搭載するシーハリアーによる戦闘空中哨戒・近接航空支援で活躍した。

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巡洋艦から軽空母へ

デアゴスティーニ編集部

▲1990年、巡航する「インヴィンシブル」。

 第二次世界大戦で、ドイツ海軍のUボートに苦しめられたイギリスは、対潜航空戦力を重視した。1960年代にはCVA-01級が計画されたが、財政難により1966年にCVA-01艦隊空母計画をキャンセル、固定翼機を運用する空母を廃止した。この決定で、6機のシーキングASWヘリコプターを搭載する12,500tの指揮巡洋艦に対する幕僚要求が1967年に提出されることになった。飛行甲板スペースをより広くするようにこの基本コンセプトを再設計した結果、9機のヘリコプターからなる航空団のほうが効果的であることが判明し、19,500tの「縦通甲板巡洋艦」である「インヴィンシブル」級として新たな仕様書がまとめられた。
 「縦通甲板巡洋艦」とはいえ、この設計は実質的には軽空母であり、政治家たちはこのような含みのある用語を使うことによって、将来的な空母復活の可能性を残したのである。こうした事情を知ってか知らずか設計陣は、当初からイギリス空軍のハリアーV/STOL作戦機の海軍型の運用を念頭に置いて、十分なスペースと設備を艦に組み入れた。そして1975年5月、縦通甲板巡洋艦にシーハリアーを搭載することが公式に発表され、設計者たちの先見の明が報われることになったのである。
 1973年7月、イギリス中部のバーロー・イン・ファーネスにあるヴィッカース社の造船所で「インヴィンシブル」級の1番艦「インヴィンシブル」(R05)が起工され、建造は順調に進んだ。1976年5月に2番艦「イラストリアス」(R06)が発注され、1978年12月には3番艦「インドミタブル(不屈の意味)」の建造契約が結ばれた。しかし、この名前では好戦的ととられかねないと判断したため、海軍省は「インドミタブル」を「アーク・ロイヤル」と改名した。これらの艦は、それぞれ1980年7月、1982年6月、1985年11月に就役した。

最大のガス・タービン軍艦

デアゴスティーニ編集部

▲アメリカ海軍の原子力空母ジョン・C・ステニスとイラストリアス(右)。

 「インヴィンシブル」級は世界最大のガス・タービン推進型軍艦であり、エンジン・モジュールを含めて、実質的にすべての甲板下装備を交換することができる。各艦はスキージャンプ台を装備し、その傾斜は、「インヴィンシブル」と「イラストリアス」が7°、「アーク・ロイヤル」が15°である。
 1982年2月、「インヴィンシブル」は「メルボルン」級軽空母「メルボルン」(元イギリスの「マジェスティック」級軽空母「マジェスティック」)と交代するヘリコプター空母としてオーストラリアに売却され、イギリスに残る空母は2隻だけとなることが発表された。しかし、同年4月にフォークランド紛争が勃発、政府は、常時2隻の空母を前線展開させられるようにするためには、3隻の空母が必要になると考え、この契約はキャンセルされた。
 フォークランド紛争に際して、「インヴィンシブル」は当初8機のシーハリアーと9機のシーキングASWヘリコプターからなる航空団を乗艦させたが、損失とそれに対する補充の結果、これは11機のシーハリアー、8機のASWシーキング、およびエグゾセ・ミサイルに対するデコイを装備した2機のリンクス・ヘリコプターという構成に変更された。一つの問題点は、格納庫内に追加の機体を積むスペースがなかったことで、このため追加機体のほとんどは甲板上に収容された。搭載するシーハリアーは戦闘空中哨戒・近接航空支援で活躍した。
 紛争後、「インヴィンシブル」との交代に間に合わせるために、「イラストリアス」の完成が急がされた。完成後、「イラストリアス」は10機のシーハリアー、9機のASWシーキング、2機のAEW型に改造されたシーキングを搭載して大西洋を南下した。同艦には、それまで欠如していた近接対空防御能力を持たせるため、ミサイル防御用に20mm CIWSファランクス2基と20mm対空機関砲2門が装備されていた。通常の航空団は、5機のシーハリアーと10機のシーキング(8機はASW、2機はAEW)からなっていた。
 1980年代以来、イギリス海軍は2隻を運用する一方で、3隻目を改装するという方法をとってきた。それによって「インヴィンシブル」が「アーク・ロイヤル」の規格に引き上げられ、その後「イラストリアス」も続いて改装された。「アーク・ロイヤル」は1999年から2年間におよぶ改装作業を実施した。
近年では、6機のイギリス空軍のハリアーGR.Mk7が、ハリアー統合軍の下で地上攻撃任務のために常時搭載されている。「イラストリアス」からは、飛行甲板の延長および新たな弾薬庫のスペースを確保するためにシー・ダート・ミサイル発射機が撤去された。1994年には、シーハリアーFA.Mk2が「インヴィンシブル」上で初めて第一線に配備され、アドリア海沖で配置についた。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲ スキージャンプ勾配を利用して発艦するシーハリアーFRS.1。

インヴィンシブル級

排水量:基準16,000t、満載19,500t
寸法:全長206.6m、全幅27.5m、吃水7.3m
推進器:ロールスロイス・オリンパスTN1313ガス・タービン4基で出力112,000馬力を供給し、4軸を駆動
速力:28kt(52km/h)
兵装:連装シー・ダートSAM発射機1基(ミサイル22発)、20mmファランクスCIWS
(「イラストリアス」ではゴールキーパーに交換)2基、20mm対空機関砲2門
電子装置:タイプ1022対空捜索レーダー1基、タイプ992R対空捜索レーダー1基、タイプ909シー・ダート誘導レーダー2基、タイプ1006航海/ヘリコプター指揮レーダー2基、タイプ184またはタイプ2016艦首ソナー1基、タイプ762音響測深機1基、タイプ2008水中電話1基、ADAWS
5戦術情報処理システム1基、UAA-1アビー・ヒルESM装置1基、 コーヴァス・チャフ発射機2基
乗員:1,000名+航空要員320名(非常時には海兵コマンドを搭載可能)

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2016/10/28


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