ホビー好きが集まる、ホビコム by デアゴスティーニ

スプルーアンス級 

【第50回】スプルーアンス級   <駆逐艦>


 「スプルーアンス」級駆逐艦は、アメリカ海軍で初めてのガスタービンエンジンを採用した大型艦である。1975年より就役を開始し、冷戦の終結に至るまで、空母戦闘群で対潜護衛を担う重要な戦闘艦として、一線で活躍した。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


ガスタービンエンジンの大型艦

デアゴスティーニ編集部

▲「スプルーアンス」級1番艦である「スプルーアンス」(DD-963)。

 「スプルーアンス」級駆逐艦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦から長く使用されていたアレン・M・サムナー級駆逐艦・ギアリング級駆逐艦の後継艦として第二次世界大戦後初めて本格設計された。伝統的な技術を用いながら、モジュール建造技術をはじめとするいくつかの新技術を加えて建造された「スプルーアンス」級は、アメリカ海軍で初めてのガスタービンエンジンを採用し大型艦で、船体の大きなセクションが造船所のいろいろな所で建造された後に、船台の上に集めて溶接するという工夫が行われた。1番艦の「スプルーアンス」(DD-963)は1975年9月に就役し、1983年に就役した最終艦の「ヘイラー」(DD-997)まで31隻が建造された。
 「スプルーアンス」級はそれまでのアメリカの駆逐艦よりもかなり大きく、将来の拡張をも考慮して造られている。その大きさとモジュール設計のおかげで、武器、装備およびセンサーのサブ・システム全体の据え付けは容易であった。当初これらの艦は、いかなる天候でも高速潜水艦を狩り出して撃沈する対潜駆逐艦として造られたが、1980年代にトマホークおよびASROCを発射できる61セルの垂直ミサイル発射システム(VLS)を装備して、重要な対艦および陸上攻撃能力を与えられた。
 アメリカ海軍の駆逐艦は、これまで計画作戦寿命を30年として建造されてきたが、トマホークVLSを装備する性能向上改修を受けなかった7隻の艦は就役後わずか20年で退役した。
完成時の「スプルーアンス」級はカマンSH-2D/FシースプライトLAMPS MkI/IIヘリコプターを搭載したが、対潜武器システムの中核を成すのはSH-60B LAMPS MkIIIヘリコプターで、同機は艦の武器とセンサーの距離を水平線の彼方まで伸ばした。SH-60Bは全艦隊においてSH-60Rに性能向上される計画である。艦載ヘリコプターの副次的な使命には、弾着観測、水平線越えの目標捕捉、患者輸送、輸送および捜索・救難作戦がある。艦の設計には居住性が不可欠の要素として考慮されており、艦内には乗組員の休憩室をはじめ、ATM、ジム、教室および売店なども設けられている。

派生型の「キッド」級と「タイコンデロガ」級

デアゴスティーニ編集部

▲「キッド」級ミサイル駆逐艦。

 「スプルーアンス」級はもともと、同一の設計に基づいて対潜艦と防空艦を建造するというDX/DXG構想において、その対潜艦として構想され、建造された。しかし、ターターD・システムの開発遅延とこれを搭載した原子力ミサイル巡洋艦の就役、イージスシステムの開発進展、さらには本級の建造コスト高騰などを受けて、最終的に、DXG計画は破棄された。
 しかし、1974年にイラン政府は、ペルシャ湾およびインド洋での任務に就かせるために、「スプルーアンス」級にSAMを搭載した駆逐艦を6隻発注した。しかしイラン革命が起こったため、1979年に2隻の建造がキャンセルされ、建造中であった4隻はアメリカ海軍に引き取られて「キッド」級となった。これらは強力な武器を装備した汎用駆逐艦であり、アメリカ海軍では非公式に「アヤトラ」級と呼ばれることもある。就役した4隻は、「キッド」(DDG-993)、「カラガン」(DDG-994)、「スコット」(DDG-995)、「チャンドラー」(DDG-996)である。
 一方、ターター-Dシステムの後継となるイージスシステムの搭載艦は紆余曲折の末、「スプルーアンス」級をベースとして改設計した艦を建造することとなった。これによって建造されたのが「タイコンデロガ」級ミサイル巡洋艦である。当初はミサイル駆逐艦(DDG-47級)として計画されたが、イージスシステムの搭載によって排水量が増大したことと、その情報処理能力から防空中枢艦としての行動が期待されたことから、1番艦の建造途中で種別がミサイル巡洋艦(CG-47級)に変更された。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲ イージスシステム搭載の派生型である「タイコンデロガ」級ミサイル巡洋艦。

スプルーアンス級
排水量:満載8,200t
寸法:全長171.70m、全幅16.80m、吃水8.80m
推進器:ゼネラル・エレクトリックLM2500ガスタービン4基で59,655kWを供給し、2軸を駆動
速力:33kt(61km/h)
兵装:トマホーク用Mk41垂直発射システム1基、8連装シー・スパローSAM発射機2基(ミサイル24発)、Mk15ファランクス20mm CIWS 2基、127mm両用砲2門、4連装Mk141ハープーン発射筒2基、3連装324 mm Mk32 ASW魚雷発射管2基(Mk46魚雷を搭載)
電子機器:AN/SPS-40E対空捜索レーダー1基、AN/ SPS-55水上捜索レーダー1基、AN/SPG-60発射管制レーダー1基、AN/SPQ-9A射撃指揮レーダー1基、AN/ SLQ-32(V)2 ESM装置1基、Mk36スーパーRBOCチャフ発射機2基、AN/SQS-53バウ・ソナー1基、AN/ SQR-19曳航式ソナー1基
搭載機:SH-60BシーホークLAMPS MkIIIヘリコプター2機
乗員:320〜350名

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2017/02/24


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。