模型を作ってシェアするホビーコミュニティ ホビコム by デアゴスティーニ

ダンケルク級 

【第53回】ダンケルク級   <戦艦>


 「ダンケルク」級戦艦は、フランス海軍の超弩級戦艦の艦級でワシントン海軍軍縮条約における代艦建造規定に基づき建造された。攻撃力・防御力・機動力を高い次元でバランスを取った高速戦艦である。内外にはナチス・ドイツの装甲艦ドイッチュラント」級に対抗するためと喧伝されたが、実際には次期主力戦艦への実験艦的意味合いも含まれていた。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


「ドイッチュラント」級に対抗

デアゴスティーニ編集部

▲艦首方向から見たダンケルク。

 ヒトラーが総統に就任した後、ドイツが再軍備を進めたことは、フランス政界に大きな不安を巻き起こした。フランス海軍が恐れたのは、フランスの強力な商船団にとって脅威となるドイツの「ドイッチュラント」級ポケット戦艦であった。内外には「ドイッチュラント」級に対抗するためと喧伝されたが、次期主力戦艦への実験艦的意味合いも含まれ、海軍長官は「ダンケルク」と「ストラスブール」の2隻の高速戦艦の建造を承認した。
 両艦は速力については十分な余裕が与えられたが、「ドイッチュラント」級の280mm砲に対する防御のみを考慮したため、装甲による防御は比較的軽微だった。しかし「ダンケルク」級は、事実上世界初の新世代高速戦艦であり、巡洋戦艦本来の考え方に非常に近かった。「ダンケルク」の外観は優美で、イギリス海軍の「ネルソン」級と同じような主砲配列を採用していた。
 主砲は新設計の「1931年型 330mm(52口径)砲」を採用した。これは既存の「プロヴァンス」級の340mm砲では有効射程距離が足らず、また薬室も狭いために当時フランス海軍で研究されていた強装薬での「近距離での貫通力増大と砲戦距離の延伸化」に有効でないためであった。また、330mmという口径は「ドイッチュラント」級の280mm(52口径)砲に対し、砲弾口径にして「2インチ(約50 mm)上の火力の優位性で充分」との判断があった。
 これを「ノルマンディー」級(未成)で採用された「四連装砲塔」に納めた。船体中央部に前向きに4連装砲を1基ずつ砲塔間の間隔をあけて2基8門を配置した。何故に間隔をあけるかと言うと、一方の砲塔が被害を受けた時に、隣接されたもう1基の被害を受けにくくする工夫であった。なお、主砲塔の間隔は無駄にせず予備機械室のスペースに充てられた。
 330mmモデル33砲8門は2基の4連装砲塔に搭載され、1発の命中弾によって致命的な打撃を受けないよう間隔をあけて配置されていた。副砲である130mm両用砲のほとんどは後部に置かれ、大きなタワー型艦橋構造物もまた「ネルソン」級の影響を受けていた。設計速力は、当時としては驚異的な29kt(54km/h)という値であったが、「ダンケルク」はこれを試運転で簡単に突破した。

第二次世界大戦の勃発

デアゴスティーニ編集部

▲1942年頃に撮影された「ストラスブール」。2番主砲塔と中央部副砲塔にフランス国旗の三色が塗装されていた。

 「ダンケルク」は竣工直後の1937年5月20日にジョージ6世戴冠記念観艦式に参加しており、日本の「足柄」やナチス・ドイツの「アドミラル・グラーフ・シュペー」らと共に各国海軍の注目を集めた。
1939年に勃発した第二次大戦初頭では、ドイツ装甲艦の追撃作戦や英仏共同の輸送船団護衛作戦に参加。「ダンケルク」と「ストラスブール」にとって能力を示す好機となり、両艦は大西洋で船団護衛とドイツ戦艦「アドミラル・グラフ・シュペー」の捜索に従事した。しかし、1940年6月にフランスが降伏し休戦条約を結んでしまったためヴィシー・フランス政権の指揮下に入り、最小限の訓練しか出来ない状況におかれた。フランス海軍は万が一、ドイツが停戦条約を無視して陸軍により艦隊を接収する事ができないようにと艦隊の多数を植民地軍港に分散したままにしておいた。
 「ダンケルク」は、フランス降伏後に北アフリカのメルス・エル・ケビールでイギリス軍の砲火を受け、その後航空魚雷を受けて大破した。応急修理の後トゥーロンに退いたが、1942年11月27日にドイツ軍部隊が艦隊を捕獲しようとした際に、乾ドックの中で自沈した。1945年にフランス海軍がトゥーロンを再占領したときに残骸が引き揚げられ、最終的に1958年にスクラップにされた。

諸 元

ダンケルク
排水量:基準26,500t、満載35,500t
寸法:全長209.0m、全幅31.08m、吃水8.70m
推進器:112,500馬力のギアード蒸気タービンで4軸を駆動
速力:29.5kt(55km/h)
航続距離:全速で926km
装甲:舷側248〜146mm、甲板127〜38mm、砲塔336〜152mm
兵装:330mm 4連装砲2基(8門)、130mm 4連装両用砲3基(12門)、37mm連装対空砲5基(10門)、13.2mm 4連装機関銃8基(32挺)
搭載機:飛行艇2機
乗員:1,431名

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2017/05/29


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。