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ベルナップ級、トラクスタン

【第73回】ベルナップ級、トラクスタン  <巡洋艦>


 「トラクスタン」は、アメリカ海軍の原子力ミサイル・フリゲート(DLGN)で、1975年の類別変更以降は「ベルナップ」級ミサイル巡洋艦 (CG) に再分類された。アメリカ海軍における4番目の原子力水上艦であり、基本的には「ベルナップ」級を核動力化した設計となっている。

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「ベルナップ」級

▲カリフォルニア州沖を航行中の「トラクスタン」。

  1955年8月17日にアーレイ・バーク大将が海軍作戦部長(CNO)に就任すると、アメリカ海軍では原子力水上艦の整備が推進されることとなり、1957年度で原子力ミサイル巡洋艦(CGN)「ロングビーチ」、1958年度で原子力空母「エンタープライズ」、1959年度で原子力ミサイル・フリゲート(DLGN)「ベインブリッジ」が順次に建造された。
 「ベルナップ」級は、アメリカの基準で考えても極めて長期にわたる紆余曲折の歴史を経て開発された。たびたび設計変更が行われ、コストはその都度増加していった。最終的には、前部にミサイル発射機をまとめたいわゆるシングル・エンダーとなり、後部は無人対潜ヘリコプター(DASH)用の格納庫設備と127mm両用砲1基という設計に落ち着いた。同型艦は、「ベルナップ」(CG-26)、「ジョセファス・ダニエルス」(CG-27)、「ウェインライト」(CG-28)、「ジュエット」(CG-29)、「ホーン」(CG-30)、「ステレット」(CG-31)、「ウィリアム・H・スタンドレイ」(CG-32)、「フォックス」(CG-33)、「ビドル」(CG-34)の9隻であった。
 1964〜67年に竣工した「ベルナップ」級は、数々の新システム用の試験艦として使われた。例えば、「ウェインライト」は発射管制システムに統合された最初の海軍戦術情報処理システム(NTDS)およびスタンダードSM-2ERミサイルの試験艦となり、「フォックス」はトマホーク巡航ミサイル箱形発射機装備の評価試験を行った。1975年11月22日、「ベルナップ」は地中海で空母「ジョン・F・ケネディ」と衝突事故を起こし、これによって生じた火災で大きな損害を被り、アメリカ本国まで曳航されて再建造が行われた。これよりも前に「ベルナップ」の姉妹艦の何隻かは、ベトナム戦争において空中哨戒戦闘機誘導管制艦および防空艦として多くの戦闘経験を積んだ。
 1972年の北ベトナム軍による南ベトナムへの侵攻に続いて行われたアメリカ軍の爆撃、機雷敷設および北ベトナム沿岸地域への艦砲射撃に対して、「ベルナップ」級艦船を含むアメリカ艦隊は2度の報復空襲を受けた。最初は1972年4月19日で、砲撃支援グループに対する空と水上からの共同攻撃が行われたが、「ステレット」のテリア・ミサイルが“スティックス”対艦ミサイル(SSM)1発および2機のMiG(1機は射程9km、もう1機は射程27.5km)を破壊した(これが戦闘中にSAMが対艦巡航ミサイルを破壊した初めてのケースとなった)。次いで7月19日には、北ベトナム沿岸沖の第77任務部隊に対して夜間攻撃を試みようとした5機のMiGに対して「ビドル」が応戦し、同艦のテリアは2機のMiGを約32km離れた地点で撃墜し、残存機を撃退した。

「トラクスタン」

▲空母「エンタープライズ」の左側を航行する「トラクスタン」。右は「アーカンソー」。

 「レイヒ」級のケースと同様に、「ベルナップ」級でも大型化した原子力推進型の艦船が建造された。これが「トラクスタン」(CGN-35)で、兵装と電子装備は基本的に同じだった。
 「トラクスタン」は1963年6月17日にニュージャージー州カムデンのニューヨーク造船所で起工し、1964年12月19日に進水し、1967年5月27日にデヴィッド・D・ワーク艦長の指揮下就役、同艦の配備パターンも「レイヒ」級の場合とほぼ同様で、原子力推進艦は「ベインブリッジ」の僚艦として太平洋艦隊に配備された。
 トラクスタンは6月3日にカムデンを出港し、7月29日に母港のカリフォルニア州ロングビーチに到着した。夏の終わりから秋にかけて公試を行い、11月に整調訓練を開始、10日と11日にオペレーション「ベル・アンカー」参加のため訓練を中断し、その後、演習「ブルー・ロータス」に参加した。
整調訓練を終えると「トラクスタン」は1968年1月2日に太平洋西部に向けて出航、19日に長崎県佐世保に到着する。5日後、プエブロ号事件に対処するため原子力空母「エンタープライズ」と共に佐世保を出航し日本海へ向かう。日本海での作戦活動は2月16日まで行われ、トラクスタンは極東での配備の大半をベトナム沖で過ごす。作戦地帯では探索救助任務を指揮し、北ベトナムのレーダー識別可能地帯で、空母「エンタープライズ」、「ボノム・リシャール」、「タイコンデロガ」の護衛任務に従事した。
 真珠湾に寄港した後、「トラクスタン」はベトナム沿岸を巡航し、定期的に香港、シンガポール、スービック湾に寄港した。空母の護衛及びレーダー識別可能地帯での単独任務、探索救助艦任務を行いながら、平時の日本海における航空警戒の護衛や台湾海峡での偵察巡航も行った。極東を離れる直前に沖縄近海で演習を行い、1970年3月6日から11日まで最後の佐世保寄港を行った。
 「トラクスタン」は1995年9月11日に退役し、同日除籍された。その後スクラップとして廃棄されたが、ベトナム戦争での功績で7つの従軍星章および海軍名誉部隊章を受章した。 「ベルナップ」級の全艦は、1990年代中期までに退役した。

諸 元

ベルナップ級
排水量:基準6,570t、満載8,065〜8,575t(艦による)
寸法:全長166.7m、全幅16.7m、吃水8.8m
推進器:ギアード蒸気タービンで出力85,000馬力を供給し、2軸を駆動
速力:32.5kt(60km/h)
兵装:4連装ハープーンSSM発射機2基(ハープーン・ミサイル8発)、連装スタンダードSM-2ER SAM/ASROC ASWミサイル発射機(スタンダード・ミサイル40発、ASROCミサイル20発)、127mm両用砲1基、20mmファランクスCIWS 2基、3連装324mm Mk32 ASW魚雷発射管2基(Mk46魚雷4発搭載)
電子機器:AN/SPS-48C/E三次元対空捜索レーダー1基、AN/SPS-40F(CG-31〜34)またはAN/SPS-49(V)3/5
(CG-26〜30)対空捜索レーダー1基、AN/SPS-67水上捜索レーダー1基、AN/LN-66航法レーダー1基、AN/
SPG-55Dスタンダード発射管制レーダー2基、AN/
SPG-53F射撃指揮レーダー1基、AN/URN-25 TACAN 1基、NTDS 1基、AN/SLQ-
32(V)23 ESM 1基、Mk36 超高速チャフ/フレア発射機(SRBOC)4基、AN/SLQ-25ニキシー曳航式対魚雷デコイ1発、AN/SQS-26BXまたはAN/SQS-53C(CG-26)ソナー1基
搭載機:SH-2FシースプライトLAMPS MkIヘリコプター1機
乗員:479名(士官26名)

トラクスタン
排水量:基準8,200t、満載9,127t
寸法:全長171.9m、全幅17.7m、吃水9.4m
推進器:ゼネラル・エレクトリックD2G加圧水冷却型原子炉2基、ギアード蒸気タービンで出力70,000馬力を供給し、2軸を駆動
速力:30kt(56km/h)
兵装:4連装ハープーンSSM発射機2基(ハープーン・ミサイル8発)、連装スタンダードSM-2ER SAM/ ASROC ASWミサイル発射機(スタンダード・ミサイル40発、ASROCミサイル20発)、127mm両用砲1基、20mmファランクスCIWS 2基、連装324mm Mk32 ASW魚雷発射管2基(Mk46魚雷4発搭載)
電子機器:AN/SPS-48E三次元対空捜索レーダー1基、AN/SPS-49対空捜索レーダー1基、AN/SPS-67対水上捜索レーダー1基、AN/LN-66航法レーダー1基、AN/SPG-55Cスタンダード発射管制レーダー2基、Mk68射撃指揮装置1基、AN/URN-25 TACAN 1基、NTDS 1基、AN/SLQ-32(V)3 ESM 1基、Mk36超高速チャフ/フレア発射機(SRBOC)4基、AN/
SLQ-25ニキシー曳航式対魚雷デコイ1発、AN/SQS-26艦首搭載アクティブ探知/攻撃ソナー1基
搭載機:SH-2FシースプライトLAMPS MkIヘリコプター1機
乗員:561名(士官39名)

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2019/01/28


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