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サン・アントニオ級

【第78回】サン・アントニオ級  <揚陸艦>


 「サン・アントニオ」級ドック型輸送揚陸艦は、アメリカ海軍のドック型輸送揚陸艦(LPD)の艦級。本級は「オースチン」級ドック型輸送揚陸艦、「アンカレジ」級ドック型輸送揚陸艦、および「ニューポート」級戦車揚陸艦のみならず、「チャールストン」級貨物揚陸艦をも代替するものとして設計された。

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揚陸艦隊の近代化

▲「サン・アントニオ」級の1番艦「サン・アントニオ」。

 アメリカ海軍の「サン・アントニオ」級ドック型輸送揚陸艦(LPD)は12隻が建造され、やがては3クラスの強襲揚陸艦と交代することになる。これら3クラスとは、「オースチン」級、「アンカレジ」級、および「ニューポート」級で、すでに2002年に退役済みの「チャールストン」級も含めて合計41隻となる。この交代によって、老朽化が著しい揚陸艦隊が近代化されるだけでなく、ライフサイクル・コストと乗員数も大幅に節約される。しかし、「サン・アントニオ」級の最初の3隻のコストは大幅に予算を超過しており、見積額6億1,700万ドルに対して実際の建造費は8億ドルを上回ると見られている。これは、民生の水上捜索レーダーAN/SPS-73の採用を含む、多くのコスト低減策をとった上での結果である。
 設計の過程では、モックアップを製作せずに多くの艦内レイアウトをテストできるヴァーチャル・リアリティ・コンピューター・プログラムが活用された。また、男女乗員が快適に乗艦・勤務できるよう、2,500名以上の職員の意見が設計に取り入れられている。
 1993年に認可された本クラスの建造は、契約金額に関わる法的な紛争で遅れが出たものの、1番艦「サン・アントニオ」(LPD-17)は2006年までに就役した。

モビリティ・トライアド

▲バージニア沖を航行する「サン・アントニオ」(左)と「ニューヨーク」。

 「サン・アントニオ」級は、アメリカ海兵隊が開発した新しい概念である「モビリティ・トライアド」に基づいて、3種類の輸送形態に対応することを設計当初から意図した最初の揚陸艦である。この概念は、最新の運搬手段を最大限に活用して効率的な揚陸作戦を行うことを目指すもので、3種類の輸送形態とは具体的には、MV-22Bオスプレイ・ティルト・ローター機、エアクッション型揚陸艇(LCAC)、および次世代水陸両用強襲車両(AAAV)である。これらによって、部隊は海岸から320kmもの内陸に上陸することが可能となり、従来の「沿岸作戦」の範囲を大きく上回る作戦を遂行できるようになった。「サン・アントニオ」級には、LCAC  2隻または汎用揚陸艇(LCU)1隻が14台のAAAVとともに搭載される。
 「サン・アントニオ」級のウェル・ドックや艦尾のレイアウトは「ワスプ」級と似ているが、上部構造物には、レーダー反射有効面積(RCS)を低減するため、傾斜がつけられている。医療施設にはベッド24床、手術室2室が備えられ、緊急時には最大100名の患者を収容できる。防御兵器システムには個艦防御システム(SSDS)が含まれ、これは艦の建造終了時に装備される。
航空機は、CH-46シー・ナイト最大4機またはMV-22B  2機を同時に展開させることができる。MV-22Bは飛行甲板に4機、格納庫内にもう1機駐機可能である。格納庫にはCH-53Eスーパー・スタリオン 1機、CH-46 2機、またはUH-1N/Y 2機を収容することもできる。
 「オースチン」級の2倍の車両収容スペースを持つ「サン・アントニオ」級は、残存性を最大限にするように設計されている。RCSの低減と、防御兵器類を統合する最新のコンピューター・システムとの組み合わせによって、必要があれば単艦で作戦行動することも可能であるが、通常は揚陸戦即応部隊の一員として行動することになる。
 「サン・アントニオ」は、アメリカ軍初の光ファイバー艦船広域ネットワーク(SWAN)を装備する艦となる。SWANによってすべての艦上システム、センサーおよび兵器が接続され、統合されたデータは、リアルタイムで戦闘指揮センターへ送られる。
2002年9月7日、ゴードン・イングランド海軍長官は、このクラスの5番艦の名前を「ニューヨーク」とすることを発表した。これは2001年9月11日の同時多発テロにちなんだ命名である。

諸 元

サン・アントニオ級

排水量:満載25,300t
寸法:全長208.4m、全幅31.9m、吃水7m
推進器:ディーゼル4基で40,000馬力を供給し、2軸を駆動
速力:22kt(41km/h)
航続距離:不明
兵装:Mk41ミサイル垂直発射機(シー・スパロー・ミサイル64発)、Mk31 RAM発射機2基、ブッシュマスターMk46 30mm機関砲2門、Mk26 12.7mm機関銃2挺
ソフトキル機器:Mk36 SRBOC 6連装チャフ発射機 4基、ヌルカ・デコイ・ロケット発射機、AN/SLQ-25ニキシー音響魚雷デコイ、AN/SLQ-32Aレーダー警戒/妨害/欺瞞装置
電子機器:AN/SPS-48対空捜索レーダー、AN/SPS-73水上捜索レーダー、AN/SPQ-9発射管制レーダー、航海レーダー、ソナー
搭載機:CH-53シー・スタリオン2機またはCH-46シー・ナイト4機またはMV-22Bオスプレイ2機またはUH-1N/Y 4機
乗員:士官32名、下士官兵465名
揚陸部隊:699名(非常時800名)
貨物:甲板下貨物収容容積708m3、車両収容面積2,323m2

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

▲大西洋を航行する「サン・アントニオ」。

公開日 2019/06/26


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