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機体の熟成が進んだ基本型、一一型

【第4回】機体の熟成が進んだ基本型、一一型


三菱の「瑞星」エンジンを搭載していた十二試艦上戦闘機(後の零戦)は、3号機、及び7号機以降、中島の「栄」エンジンに換装された。このエンジンの変更と同時に、機体にもいくつかの改正が行われて中国戦線に送り込まれ、零戦一一型として制式採用されたのである。この一一型が、終戦まで飛び続けた零戦の基本型となった。

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「栄」エンジンへの換装

デアゴスティーニ編集部

中国の漢口基地の零戦一一型。当時は艦上機装備を持たない陸上戦闘機で実戦に加え連日激しい訓練に明け暮れた。

1939(昭和14)年4月1日に初飛行を行った十二試艦戦(A6M1)は、試験飛行が開始されると、早くもその性能の高さの一端を見せたが、試験が進むといくつかの問題点も浮かび上がってきた。最初に問題となったのは、機体に振動が発生する事だった。これは2枚プロペラを3枚プロペラに変更することで解決されたが、それ以上に問題だったのが、エンジンのパワー不足のために、最高速度が海軍から要求された時速500kmに達しなかったことである。
この結果を踏まえた海軍は、エンジンを三菱の「瑞星」から、当時実用化されたばかりの中島の「栄」一二型に換装することを命じた。こうして試作3号機は「栄」エンジンを装備することになった。エンジンの他にも、機首周りの改良や胴体後部の形状変更もあって、3号機は、記号もA6M2に変更された。ちなみに、最近の調査では、5、6号機も「瑞星」エンジンを搭載して完成したとする公式資料も発掘されており、A6M2は、3、4号機及び、7号機以降となるようだ。ともかく、このA6M2の機体が、後に零式艦上戦闘機として制式採用される基本型になった。試作3号機は、設計を大きく変えたわけではないが、細かな部分の設計が変更されたことによって、より完成度の高い機体となったのである。

零戦の基本型の完成

A6M2となって変わったのは、エンジンが変更された機首の周辺と尾翼、後部胴体だった。機首は、「瑞星」エンジンではカウリング内にあった気化器空気取入口が、「栄」エンジンでは昇流式気化器ということもあって、カウリングの下部に空気取入口が開けられ、ダクトで後方に導くように変更された。このダクトを設けたことと、やや丸みを帯びるようにしたことで、カウリングは、実際には太さはほとんど同じだが、少し大きくなった印象を受けるようになった。エンジンの重量はほとんど変わらないので、機首はカウリングを変更し、気化器、及び潤滑油冷却用空気取入口、ダクトを下部に出っ張らせるだけで対応することができた。しかし、後部胴体と尾翼の変更は、かなり顕著なものだった。
十二試艦戦は試験飛行で、機体の振動やパワー不足の他に、横方向への安定性不足も指摘されていた。このため3号機では、後部胴体を若干太く長くすると共に、垂直尾翼を上に延ばして面積を拡大したのである。また方向舵は、取り付けラインが上端まで一直線だったのを改め、上端のマス・バランス部が垂直安定板側に食い込むような形に変更された。さらに胴体基準線とほぼ同じ高さにあった水平尾翼の取り付け位置も、垂直尾翼付け根近くまで上方に移動された。
これらの変更によって、零戦の基本型は完成したが、生産中にもいくつかの変更が加えられた。33号機からは排気管の位置が下がり、43号機からは分解して輸送する際の利便性を向上させるために、取り外しと組み立てが容易なよう、風防後端の形状が変更された。 しかしこの時点ではまだ、艦上戦闘機として必要な着艦フックや、空母に戻る際に使用する無線帰投方位測定器などは装備されていなかった。このため一一型は、海軍の機種類別上は、陸上基地で使用される防空戦闘機の扱いだった。零戦が艦上戦闘機となるのは、これらが装備され、空母に格納するために翼端を折り畳めるようにした二一型からであった。

試作機のまま実戦部隊へ

試験飛行を続けている間にも、性能の高い十二試艦戦の噂は、中国戦線で戦う海軍航空隊に伝わっていった。前線部隊は、航続距離の長い強武装の戦闘機を求めており、十二試艦戦の一刻も早い実戦配備を強く望んだのである。このため海軍は、1940(昭和15)年7月、実用試験中で制式採用前の十二試艦戦を中国の実戦部隊に派遣することを決定した。7月21日、第12航空隊に配備されたA6M2の初期生産機が中国の漢口基地に進出。通常、試作機は実用試験を終えて制式採用されてから配備されるが、採用前の機体を配備し、しかも前線に送り込む異例の措置であった。
A6M2は直後に零式一号艦上戦闘機(零戦一一型)として晴れて制式採用されたが、実戦部隊への配備決定は、それ以前に行われていたのである。この後零戦は、8月19日の初出撃では敵と遭遇できずに戦果を挙げることができなかったが、9月13日の出撃では、重慶上空で27機を撃墜、撃破するという大戦果を挙げ、華々しいデビューを飾った。零戦の栄光の歴史はここから始まったのである。

スペック

デアゴスティーニ編集部

プロペラは2枚から3枚になり、栄エンジンの搭載に伴って空気取り入口はカウリング下部に開けられた。

零式艦上戦闘機一一型(A6M2a)
全長:8.98m
全幅:12m
全高:3.525m
自重:1,695kg
全備重量:2,338kg
最高速度:時速510km
上昇力:高度6,000mまで7分27秒
エンジン:中島「栄」一二型、空冷複列星型14気筒(950馬力)
実用上昇限度:10,080m
航続距離:約3,000km
武装:20mm機銃2挺、7.7mm機銃2挺、30kgまたは60kg爆弾2発

公開日 2014/03/28


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