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武装強化と速度向上を目指した五二乙型

【第9回】武装強化と速度向上を目指した五二乙型


五二型以降、武装の強化と速度の向上を目指して改装された零戦だったが、F6Fなど、アメリカの新型戦闘機に対抗するには、防弾性能と武装が不足していた。そこで零戦としては初めて本格的な防弾装備が導入され、武装も強化された五二乙型が登場した。

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防弾装備の導入と新型増槽の採用

デアゴスティーニ編集部

三菱工場で完成後各種艤装を施すため、横須賀空、もしくは霞ヶ浦の航空廠に向け空輸(フェリー)中の五二乙型。機体全姿を捉えたベスト・ショット。

零戦五二型は、格闘戦に重要な運動性能よりも、速度を優先しようとし、三二型よりも速度が増した。また、生産途中から主翼内の燃料タンクに自動消火装置が導入され、若干被弾に強くなった。しかし、それは微々たるものであり、五二甲型の開発でもそれ以上の防弾装備はほとんど考慮されなかったため、ひとたび被弾すれば撃墜される危険はほとんど変わらなかった。この零戦の防御力の弱さは、そのまま搭乗員数の消耗につながり、1944(昭和19)年頃になると、海軍航空隊は深刻な熟練搭乗員の不足に苦しむようになっていたのである。
海軍が対策の必要に迫られて開発し、1944(昭和19)年4月に初飛行した零戦五二乙型では、防弾装備が導入されることとなった。五二型以降は、エンジンや燃料タンクに火災発生時の消火装置が装備されていたが、敵弾から搭乗員を守るための防弾装備が取り付けられたのは、五二乙型が初めてだった。その防弾装備は、操縦席の前部風防正面ガラスの内側に、厚さ15mmの防弾ガラスを3枚重ねて貼り付けるというものであった。
しかし、この防弾装備は前面だけであり、後方から攻撃を受けた場合に銃弾を跳ね返す、操縦席後方の防弾鋼板がなく、充分とはいえなかった。それでも防弾装備が導入されたという点では、零戦にとっては画期的なことであった。
また五二乙型では、新型の統一型増槽も使用された。新型増槽は、主翼に装備する左右各200リットル入りのもので、胴体下の300リットルの増槽を懸吊しなくても、航続距離をそれほど低下させずに済むようになった。これによって五二乙型は、戦闘爆撃機として、胴体下面に特設爆弾懸吊架を介して250kg爆弾を搭載できるようになった。しかし、これは零戦が戦闘機としてだけでなく、爆撃機の役割も果たさねばならない状況になったことの現れでもあった。

武装の強化

防御の他に、五二乙型で行われた大きな改良が武装の強化であった。零戦の武装は五二甲型で主翼の九九式20mm機銃の携行弾数が125発に増やされたが、それでも防弾装備が強固なアメリカの戦闘機と爆撃機に対しては威力不足だった。特に問題だったのは機首の九七式7.7mm機銃で、F6Fに対してはいくら撃ち込んでも効果がないとまでいわれた。その結果、主翼の20mm機銃2挺だけで戦うような状態で、125発の弾丸では少な過ぎたのである。
しかし、20mm機銃の携行弾数増加はもはや限界であったため、機首の7.7mm機銃のうちの片側1挺を新型の三式13mm機銃に換装することが考えられた。三式13mm機銃は、アメリカのコルト・ブローニングM2、12.7mm機銃を原型にして、銃弾を日本海軍の艦船用13.2mm機銃弾と共用可能にしたものだ。この三式13mm機銃ならば7.7mm機銃よりも少しは威力があり、しかも機首にも装備可能だと考えられたのである。

3種類の機銃

デアゴスティーニ編集部

1944(昭和19)年9月頃、鹿児島県笠の原基地で練成に励んでいた頃の、第二二一航空隊の五二乙型。主翼下面には、200リットル入りの統一型二型増槽が懸吊されている。

本来ならば機首の7.7mm機銃を2挺とも変更するのが理想だったが、機首設計を大幅に変更せず、かつ重量を増加させずに済ませるため、片側だけが変更された。このため五二乙型の機銃は、機首の右側が三式13mm機銃で左側は九七式7.7mm機銃、加えて主翼の20mm機銃という3種類の機銃を装備する変則的なものとなった。これによって、火力が増した一方で、実戦においては弾道の違いによる照準の難しさが増したのである。
右側だけが三式13mm機銃に変更されたことに伴い、五二乙型はカウリングの形状も若干変更された。三式13mm機銃は装備位置が7.7mm機銃より若干中央寄りになったため、カウリング上部の機銃発射口がやや中央に寄り、大きく、縦長になった。また三式13mm機銃は7.7mm機銃より全長が長いため、機銃後端が操縦室内に大きく突き出し、銃身先端はカウリング内にまで達していた。この他にも機銃の変更に伴い、発射時のガスを放出するガス抜き口や弾薬ベルト手入れ用ハッチの形状も変更された。
防弾や火力をできる限り強化しようとした五二乙型だったが、それは充分なものではなかった。そのためこの後、防弾と火力をさらに強化した五二丙型が開発されることになったのである。

スペック

零式艦上戦闘機五二乙型(A6M5b)
全幅:11m
全長:9.121m
全高:3.57m
自重:1,876kg
全備重量:2,733kg
最高速度時速:565km
上昇力高度:6,000mまで7分1秒
エンジン:中島「栄」二一型または三一甲型空冷複列星型14気筒(1,130馬力)
実用上昇限度:1,740m
航続距離:1,920km
武装:20mm機銃2挺、13mm機銃1挺、7.7mm機銃1挺、胴体下に250kg爆弾1発、主翼下に30kg爆弾または60kg爆弾2発

公開日 2014/08/29


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コメント1件

秋の日ざし

秋の日ざし
具体的になぜ、機種に13ミリ、2門つけなかったのか、
わかる本が、あれば教えてほしい。

06月29日 06:28このコメントを違反報告する


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