世界で最初に市販された自動車である、Benz Patent Motor Wagen 1886 (フルスクラッチ1/18)を製作しました。主な材料は、金属(真鍮・ステンレス・アルミ・銅)、木材(パオロッサ)、皮革(カウ・ゴート)、軟質ガラスなどを用いています。プラスチック類は作品の性格上用いませんでした。
製作に際して、大阪交通博物館のレプリカを取材させていただき、各部の採寸を行い、Web上の画像などを基に図面を作成し、3Dモデラーで各部品の形状・スケールやフィッティングなどを確認しています。ここまでの作業の精度が作品の性格を左右すると思い、注力しました。
メインフレームは真鍮棒材を銀ロウ・半田付けで組んでいます。ステンレスの板ばねには黒染め加工を施しています。また、エンジン部分にアルミロウ付けを行いました。なお 接着剤の使用は最小限に留めました。金属部分には酸化防止のためプライマーを吹付けています。
現代の自動車にはないプリミティブな構造の車なので、各部品の構成などとても解り易く、当時のエンジニアリングに触れることが出来、それが新鮮でもあり、楽しい作業の連続でした。ステアリング・ブレーキ・デファレンシャルギアの切り替え/リターン機構を組み込んでいます。
第3回 模型王ジャパングランプリ ─ 賞金総額50万円 金賞(その他部門)
審査員(WildRiver荒川直人) からのコメント
- 講評
- はじめ見たときに何なんだと思ってしまいましたが、その設計、工作、材料の選びなど、凄さが伝わってきました。
審査員(山田卓司) からのコメント
- 講評
- 歴史的意義もさるものながら、アナログ、デジタルを上手に組み合わせた工作も素晴らしいです。
審査員(編集中) からのコメント
- 講評
- 世界初の市販車を資料調査からはじめ図面を製作し、素材も金属から皮革まで実物にそった美しいフルスクラッチ作品。その執念とこだわりにはモデラーとして頭が下がります。
審査員(長谷川迷人) からのコメント
- 講評
- ある意味、実に模型王ジャパングランプリらしい作品ではないかという視点で選ばしていただいた作品です。真鍮やステンレス、アルミ、銅、さらには木材を使ってのフルスクラッチ作品であり、博物館に実車取材をされての、ある意味ミュージアムモデルともいえる作品でもあるのだと思います。リアルなGPマシンやヒストリカルなレーシングも良いですが、こうしたフルディテール再現の作品が、ホビーの奥の深さを実感させてくれます。
審査員(野本憲一) からのコメント
- 講評
- 製作のための念入りな準備、金属、木材など、それぞれの素材感を生かした加工、仕上がりもお見事です。
審査員(土居雅博) からのコメント
- 講評
- 3Dデザインによる設計と各種金属を使った製作はもはやプラモデルの域を完全に超えていて、ミュージアムモデルの域ですね。
審査員(チョートクヨシタカ) からのコメント
- 講評
- 設計し、素材からこだわって作られただけあって、とても美しい完成品だなと感じました。作品から昔の車はこういう構造だったのかと、当時の技術に触れられるのも模型の楽しみの一つですね。
審査員(ホビージャパン編集部) からのコメント
- 講評
- スケールモデルの可能性というか、新しい楽しみ方を感じました。こういう模型が増えてくれると楽しいと思います。
審査員(モデルアート編集部) からのコメント
- 講評
- 実車の取材と入念な設計が奏功して、非常に完成度の高い作品になっています。この調子で2作目、3作目の製作を期待したいです。
コメント16件
- くまのみ
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この金属感が大好きです。
これがキットで出ていれば買っちゃいますよ。
軟質ガラスは何処に使ってるんですか?ガラスは加工もされてるんですか?
是非、細部のアップも見てみたいです。
08月31日 08:46 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
- はじめまして、くまのみさん。画像ではよく見ないと解りませんが、エンジン廻りに丸底のオイル-レベルゲージが2箇所有り、バーナーで炙って成型してあります。
08月31日 09:03 | このコメントを違反報告する
- ラグにゃん
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初めまして、ラグにゃんと申します。
本日関西AMMで実物を拝見しました。
昨年は作りかけだった様ですが、残念ながら見る事ができず、残念な思いをしました。
今年は完成品を見る事ができ、とても感動しました。
パテントワーケンはTOYOTA博物館で実車の走行を見る事ができたので、とても思い出に残っています。
お話し出来なかったのは残念です。
08月31日 21:56 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
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はじめまして、ラグにゃんさん。
私はスケール模型は全くの初心者で、本作品の製作にあたってはすべてが手探りで、試行錯誤の連続でした。でも、ラグにゃんさんをはじめ、先達の方々の作品を拝見させて戴き、叱咤激励されているような気持になって、完成にこぎつけることが出来ました。また、どこかでお会いしましょう。
模型道楽さん、SHIN3310さん、錚々たるキャリアをお持ちの方々からおほめを戴き、ありがとうございました。
09月03日 14:50 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
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エメマンさん
コメントありがとうございます。エメマンさんのような経験や技術、見識もありませんが、結果として今の自分にできる(精一杯の)スケールモデルの表現、提案を評価して戴けたものと思っています。これを励みに、次の作品にも取り組んでいきます。
今後とも宜しくご指導下さい。
09月25日 23:12 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
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icecoffee450さん
コメントありがとうございます。実は本作は昨年の第2回ホビコム模型王グランプリに参加する筈だったのですが、PCの操作を間違えて製作写真の方に出稿してしまったものなのです。日付が・・・でしょ?
09月25日 23:29 | このコメントを違反報告する
- なんぎなうし
-
初めまして。実物をリサーチし 素材にこだわった作品。お見事&おめでとう
ございます。私も旧車好きでT型フォードなども作っていましたが、それよかさらに
ご先祖さま。 しかもフルスクラッチとは お腹いっぱいであります。
09月25日 23:33 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
-
初めまして、なんぎなうしさん。
次回作の Daimler Motorkutsche(1886 7?) ものんびり製作中です。これを機会に宜しくお付き合いください。
09月25日 23:42 | このコメントを違反報告する
- たぬぽん
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受賞おめでとうございます。
最初これは何だろうと思っていましたが、実物を計測してフルスクラッチで製作された世界初の自動車だったとは。
エンジン回り他に金属を多く利用されているので、仕上がりが美しいです。
模型に興味のない妻も、「これ綺麗でかわいい」と言っていたので、万人にアピールする力を持った素敵な作品ですね。
次回作も楽しみにしています。
09月26日 20:37 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
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たぬぽんさん、ありがとうございます。奥様によろしくお伝え下さいませ。
食い散らかしモデラーさん、スポークは当初ピアノ線を張ろうとしたのですが、うまくいかず、結局00号虫ピンをリム側から刺してハブで固定しました。寧ろハブに62の穴を開けるのに苦労しました。
09月29日 23:15 | このコメントを違反報告する
- KAZZ
-
コウケンさん、
コメントありがとうございます。
模型制作もCGモデリングも、一筋縄では行かない面白い世界ですよね。
これを機会に、コウケンさんの作品もホビコムに公開されることをお勧めしたいです。
12月07日 23:03 | このコメントを違反報告する
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