模型を作ってシェアするホビーコミュニティ ホビコム by デアゴスティーニ

456GT

【第15回】456GT


1990年代前半、圧倒的な存在感を放つ4シーターのビッグ・フェラーリが登場した。V型12気筒の極致と呼ばれたエンジンや、トランスアクスルがもたらす理想的な重量配分などが盛り込まれた456GT。2004年の612スカリエッティにその座を譲るまで、12年にわたり生産された。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


ゆとりと美しさを備えた456GT 2+2

デアゴスティーニ編集部

▲2+2クーペ、456GT(456 GT/GTA)の堂々たる体躯。全長4730mm、全幅1920mmと90年代のグランツーリズモにしては余裕たっぷりで、長いボンネットの下には5.5リッター442馬力のV型12気筒エンジンがおさまっている。

1972年に誕生した365GT 2+2は、20年間にわたり、4シーター・フェラーリの系譜の中でも特に際立つ存在であり続けた。それはやがて1985年の412に進化し、さまざまな栄光に彩られながら1992年までつくり続けられた。その後継車として生まれた456GT 2+2は、マラネロとグルリアスコの枢軸に、スタイリスティックで新しい空力特性も備える新たな流れを切り拓いた。フェラーリは456GTのために、412のほか60年代以来の4シーター系すべてを特徴付けていた角張ったものとは異なる、曲線的なデザインを採用したのだ。あらためて言うまでもなく、マラネロはフェラーリの、グルリアスコは40年にわたって跳ね馬の美しさを演出してきたピニンファリーナの、それぞれ本社所在地のことである。
新しいクルマのコードネーム456は、5474ccエンジンの1気筒当たりの排気量を示すもの。このエンジンは当時V型12気筒の極致と呼ばれ、442馬力の最高出力により、この美しいクーペを時速300キロ以上にまで引っ張り上げた。これこそが、2004年の612スカリエッティにその座を引き継ぐまで、456GTの生産継続を可能にする要因だった。12年もの長きにわたり主役をつとめた456GTには、フェラーリが時代背景を見つつ最善と考えたあらゆるもの、すなわち、可能な限りコクピット側に寄せたエンジン搭載位置、前後の重量配分を理想に近づけるためリヤアクスルと一体化されたギアボックス、幾重もの安定性維持装置などが盛り込まれている。快適性を重視するクルマ、という基本コンセプトに従って、1996年にはオートマチック・トランスミッションを備えた456GTAもラインアップに加えられている。

456GTのメカニズム

デアゴスティーニ編集部

▲4人乗りとしての快適さを追求した456M (456 GT/GTA)。456Mはフェラーリ伝統の2+2モデルの進化モデルだ。

456GTの注目ポイントはその縦横比で、先代の412にくらべホイールベースで10センチ、全長で8センチ短縮された代わり、全幅は13センチも拡大されている。メカニズムは、非常に高い水準に達している。すでに60年代から一部のフェラーリ・グランツーリズモに見られたトランスアクスルの手法を踏襲し、フロントにエンジンを、リヤにギアボックスを置き、その間を結ぶトルクチューブの中をプロペラシャフトが貫通している。
コードネームF116と呼ばれるV型12気筒エンジンは、その後の主流となる65度のバンク角を持ち、コッグドベルトで駆動される4本のカムシャフト、各気筒4本のバルブ、ドライサンプ方式の潤滑といった組み合わせは、その後も変わっていない。燃料供給は、バンクごとに1系統ずつ搭載されるボッシュ製モトロニックM5.2電子制御ポート噴射による。全体の設計はコンパクトで、しかも総アルミ合金製であるため、大排気量の多気筒にもかかわらず、重量は235kgにおさまっている。排気対策は83年以降のアメリカ(特にカリフォルニア州)の規定に適合したもので、それでも442馬力(6250回転)の最高出力(リッター当たりの比出力は80.7馬力)と550Nmの最大トルクを生み出す。変速機は6速MTのほか4速オートマチックを選べることもでき、ディファレンシャルには25%で効き45%で解除されるリミテッドスリップ機構が組み込まれている。メインフレームはそれまでと同じ鋼管製だが、完全に新しく設計され、その前後にダブルウィッシュボーンとコイルによるサスペンションを持つ。ダンパーは電子制御により減衰力を3段階に切り換えられるタイプ(後輪用はセルフレベリング機能を持つ)で、ドライバーが任意にモードを選ぶことができる。

フェラーリ 栄光の系譜 <1994年〜1996年>

デアゴスティーニ編集部

▲F1と同じコンセプトで開発設計されたF50。(写真/DeA Picture Library)

●F355ベルリネッタ (1994年)
ルカ・ディ・モンテゼモロ社長(当時)が「開発の方式を近代化した」と胸を張った新世代ピッコロ・フェラーリ。ピニンファリーナも大規模な風洞実験を経て空力性能を追求した。ボディはアルミの骨格を持つセミモノコック。3.5リッターに拡大されたV8エンジンには、F1の経験から開発された5バルブ方式も採用されている。また、通常の6速MTに加え、これもF1の技術から生まれた2ペダルでパドルシフトが可能なF1マチックも初採用された。

●F355スパイダー (1995年)
V8ミッドエンジン・フェラーリの前例通り、ベルリネッタ発売の翌年にはスパイダー仕様が追加された。主な機構部分はベルリネッタと共通で、複雑な輪郭を持つ幌は348スパイダーから受け継いでいるが、その開閉は初めて電動式になり、ドライバーがコクピットで座ったまま操作できるように進化した。スパイダーの発表会がビバリーヒルズで開催されたことからも、この種のフェラーリがカリフォルニアで最も愛用されていたことがわかる。

●F50 (1995年)
創業40周年を記念したF40が大きな反響を呼んだため、50周年を2年ほど前倒しして企画された特別なモデル。排気量は大きいが、5バルブを持つエンジンの設計と製造は、可能なかぎりF1(当時は3.5リッター)の方式で行なわれた。車体も全面的にカーボン製で、前後のサスペンションもレーシングスペックのプッシュロッド方式。雰囲気はもちろんスパルタンだが、過激だったF40にくらべると運転しやすかった。製造台数は全部で349台のみ。

●550マラネロ (1996年)  
12気筒の2シーターといえばミッドエンジンにこだわっていたフェラーリが、365GTC/4(1971年)以来25年ぶりに手がけた本格的2シーターの12気筒FRグランツーリズモ。現代のスポーツカーとしては全長4555ミリと少し大きめだが、それを2シーターのクーペに仕立てたため、非常に余裕あふれる流麗なスタイルが特徴だ。インテリアも快適そのもの。F355などでの経験を生かし、ボディ下面の気流を整理した結果、高速での安定性も非常に高い。

(この記事はフェラーリ・グランツーリズモ<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]DeA Picture Library

公開日 2014/03/24


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。