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F355

【第9回】F355


「これまでの他の8気筒を完全に上回る性能を持っている」───1994年、フェラーリが自信を持って送り出したF355は、最新の電子制御を施し、高速での安定走行を可能としたコンパクトなスポーツカーで、約6年に渡り1万台以上が製造された。

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高速での安定走行を実現

▲F355ベルリネッタに続いて1995年に登場したF355スパイダー。F348スパイダーの後継車であり、電動ルーフが装備された。(写真/DeA Picture Library)

1994年、旧世代と新世代両方のフェラーリファンに愛されるF355の登場によって、フェラーリは新境地を迎えることとなった。このニューモデルは、一見するとミッドエンジンの348を単純に進化させただけのようであり、たしかに同クラスのフェラーリ・グランツーリズモとも同様の構造であった。だが、その装備とボディは一新されていたのである。
F355という名はエンジン排気量「3.5リッター」と1気筒あたりのバルブ数「5」を示している。ピニンファリーナらしいデザインが見られるのは、クォーターパネルがリヤのスタビライザーの役割を兼ねている点で、これをルーフからリヤまで長く引き伸ばすことで、エンジンルームの上部に空間をつくり、エンジンの熱を逃がす役割も果たしている。全長4.250メートル、車高はわずか1.170メートルのコンパクトなスポーツカーだが、その小さなボディには当時最新の電子制御が搭載されている。また、風洞を使った空力実験に長い時間を費やすことで、強力なグラウンド・エフェクトを生み出すことに成功し、高速での安定走行が可能となった。後継モデル360モデナが登場する1999年まで、約6年間生産されたF355は、1万2千台という生産台数の多さからもわかるように、成功を収めたマシンだった。

最新の知識が盛り込まれたマシン

▲F355ベルリネッタのテール。テールライトの上とバンパー下の2箇所にエンジンの熱を逃がすためのエアアウトレットが設置されている。(写真/DeA Picture Library)

「F355ベルリネッタは、これまでの他の8気筒を完全に上回る性能を持っている」───フェラーリの公式発表は、こう言いきった。つまりF355は、高速走行中の空力処理能力の高さや、車体設計に関する、当時としては最新の知識を盛り込んだクルマだったのである。F355は典型的なイタリアン・デザインの特徴が表現されているマシンといえ、前モデルにあたる348GTBのスタイルを継承しながら新たな個性が付け加えられたのだった。
このようにF355はフェラーリらしい外観を備えたクルマであり、デザイン面ではそれほど手を加えられてはいない。ボディスタイルはスリムで軽やかになったが、リトラクタブル・ヘッドライトなどは、348から受け継がれたものである。そして安定した走行につながる空気の流れを綿密に研究したことで、高い空力特性をもつボディがデザインされた。その結果、ノーズとサイドの一体感はより強まり、フロントとテールは直線的になった。後継モデルの360モデナでは全く逆の発想が採り入れられ、ボディは前後のホイールアーチ部分で広くなり、コクピットゾーンで絞られた曲線的なラインが採用されることになる。F355のボディには外板にスチールパネルが使用され、プラスチックやアルミのパーツが組み合わされている。

洗練されたエアロダイナミクス

▲スパイダー・バージョンのエンジンフードには、大きなエアアウトレットがはっきりと見てとれる。(写真/DeA Picture Library)

F355ベルリネッタは、メカニズムの点では従来の手法を取り入れていたが、空力の分野においてはかなりの進化を遂げたクルマだ。ボディは、348GTBをベースに設計されたが、シャシーの処理が異なっている。ピニンファリーナのラマチオッティ技師が、その点を詳しく語ってくれた。
「我々は、F355ベルリネッタでその後のフェラーリ・グランツーリズモの基準となる試みに挑戦しました。アンダーボディ全体をカバーするフラットな車体底部をつくるため、ジョイント部分やデザインに注意し、さらにディフューザーについても綿密な研究を行なったのです。リヤではフェンダーに丸みをもたせスポイラーを設置し、その下にエアアウトレットを設けることでダウンフォースをアップさせました。空気抵抗係数のデータを追って新記録を出すのも大切ですが、それより前後のダウンフォースを増やしながら互いのバランスを取ることを優先したのです。
F355ベルリネッタのノーズは先端に向かうほど下降しており、口ひげのようなフロントのスポイラーは気流を車体底部に導き、後方から吸い出すことでグラウンド・エフェクトを発生させ、高速走行での安定性がアップしました。樹脂製のフラットな車体底部は、エアが抜けるギアボックスまでシャシーを覆っています。このクルマ以降、ボディ全体が生み出すダウンフォースは、高速でグリップを得るための要素として重要視されていったのです」。

フェラーリ 栄光の系譜 <1973年~1977年> 

●365GT4/BB (1973年) 
レーシングカーを除けば、12気筒フェラーリとしては初のミッドエンジン車。1970年代に入りF1で180度V型を採用したのに歩調を合わせ、新規にエンジンを開発した。BBは「ベルリネッタ・ボクサー(水平対向)」の頭文字。180度V型は内部構造が水平対向とは異なるが、全体を平たくでき重心を下げられる点は同じだ。これによってフェラーリは、強力なライバルであるランボルギーニに対抗できる大排気量のミッドエンジン車を持つことになった。

●308GTB (1975年) 
今日に到るV8エンジン搭載シリーズ、いわゆる“ピッコロ・フェラーリ”の本格的な第一歩が、1975年秋のパリ・サロンで発表された308GTB。純粋の2シーター・ミッドエンジン・クーペで、全長4.2メートルそこそことコンパクトだったため、12気筒シリーズよりスポーティな感覚が濃かった。クリーンなラインが印象的なボディはピニンファリーナの作。ドア後部の大きなエアインテークが、ミッドエンジンであることを強く訴えている。

●400GT (1976年) 
365GT/4 2+2(1972年)がアメリカを中心に好評だったことを受けて、さらにラグジュアリーな装備を充実させ、エンジンにも余裕を持たせた2+2クーペ。標準の5速MTだけでなく、フェラーリとしては初めてのAT(3速)を選べるようになったのも、このクルマに対するファンの要望を反映している。また、厳しさを増す排ガス規制に対応し、ボッシュKジェトロニック燃料噴射を備えた400iも、主にアメリカ市場に向けて生産された。

●308GTS (1977年) 
多くの車種においてベルリネッタとスパイダーの両方を用意するというフェラーリの流儀に従い、308GTBの発売の2年後、1977年秋のフランクフルト・ショーで308GTSが発表された。内容はすべて308GTBと共通で、リヤミッドシップに3リッターのV8エンジンとギアボックスを横向きに搭載する。コクピット部分はルーフのトップパネルだけが取り外し可能で、リヤクォーター・パネルなどはロールバー状に残る、いわゆるタルガトップ形式だ。

(この記事は、フェラーリ・グランツーリズモ<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真] DeA Picture Library

公開日 2013/09/24


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