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T-72

【第12回】T-72 <闘車>


旧ソ連のT-72は、現代の戦車のなかで最も成功を収めたシリーズのひとつである。スピードと信頼性に優れる一方で比較的安価に製造できるT-72は幅広くライセンス生産され、30年以上続く量産期間中に大幅な能力向上が行われた。1991年の湾岸戦争ではイラク軍が誇る共和国防衛隊の中核を成した。

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強力な火力

デアゴスティーニ編集部

▲T-72は、ワルシャワ条約時代末期における機甲部隊の中核であり、旧ソ連諸国で発生した多くの紛争に参加してきた。(写真/U. S. Army)

第二次世界大戦中にT-34/85が登場して以来、ソ連の主力戦車は伝統的に、火力と機動性、装甲防御力を兼ね備えた安価で頑丈な設計を売りにしてきた。これらは整備が容易で、支援をほとんど必要とせず、乗員の訓練も必要最低限で済んだ。
T-72の火力は極めて強力で、主砲の2A46 125mm滑腔砲は翼安定式装弾筒付徹甲弾(APFSDS)、対戦車榴弾(HEAT)、榴弾(HE)などを発射可能である。この砲は完全な安定化が施されているため、それまでのソ連製戦車とは異なり、移動中でも高い命中精度で射撃できる。なお、BM-42M翼安定式装弾筒付曳光徹甲弾(APFSDS-T)の最大射程は3,000mである。
レーザー測距装置と車載の弾道コンピューターを備える統合火器管制システムは、最も初期の車両を除いてすべてのT-72に搭載されている。このシステムによって砲手と車長が昔ながらの仕事から一部解放されただけでなく、初弾命中率が格段に向上。T-72の最も革新的な特徴は回転式自動装填装置で、これによって乗員を3名に削減することが可能となった。砲弾は発射薬と弾頭が分離したタイプで、回転式ラックに22発が搭載されるほか、23発が狭い乗員区画に押し込められている。車長が必要な砲弾をボタンで選択すると、ラックが回転して適切な砲弾の位置で停止し、砲手がカセットを解除すると、砲弾が砲尾へと送り込まれる。その後、発射薬のケースが自動排莢システムにより排出され、装填サイクルが完了する。

外国供与用戦車

デアゴスティーニ編集部

▲T-72は全世界で多数が第一線兵器として配備されている。運用国は、旧ソ連諸国からかつてのワルシャワ条約加盟国、フィンランドやインドなどの非同盟諸国にまでおよぶ。

T-64がソ連(当時)の第一線部隊にしか配備されなかったのに対し、T-72はソ連以外のワルシャワ条約機構軍や、域外の国にも輸出された。ソ連国内での生産のほか、チェコスロバキアやインド、ポーランド、ユーゴスラビアでもライセンス生産が行われ、1990年代に入るまでソ連の外国供与用の主力戦車であった。過去30年間に50,000両以上が生産され、30か国の軍隊で使用されている。
T-72は、それ以前のソ連製戦車の低露出性を引き継いでいる。1988年以降は、爆発反応性装甲(ERA)がすべての派生型に装備された。主武装は125mm自動装填機構付きD-81滑腔砲で、装弾45発を携行し、そのうち22発は自動装填装置のカセトカ(回転弾倉)に収められている。発射可能な弾種は、APDS(装弾筒付き徹甲弾)、HEAT(対戦車榴弾)、HE-FRAG(破片榴弾)などである。後期型では、9K119レフレクス対戦車ミサイル(NATOコード名AT-11“スナイパー”)を発射することが可能になった。このミサイルは、爆発反応性装甲を備えた戦車や、低空を飛行する航空目標を攻撃するための兵器である。主砲の射程距離は100〜4,000mであるが、射撃は静止状態に限定されている。主砲の自動装填機構は、通常砲弾とミサイルのいずれに対しても給弾可能。T-72は、核・生物・化学(NBC)環境での運用を考慮に入れ、PAZシステムで保護されている。一連のT-72の後期型では装甲が強化され、1988年からは爆発反応装甲(ERA)が取り入れられた。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲イラク軍が運用したT-72戦車は、その全高の低さと強力な砲によって大きな脅威となるはずだったが、多国籍軍の装甲車両にまるで歯が立たなかった。(写真/U. S. Army)

T-72
タイプ:主力戦車
乗員:3名
寸法:全長(主砲前向き)9.53 m、全長(車体長)6.86m、全幅3.59m、全高(砲塔天井上面まで)2.19m
エンジン:出力840馬力のV-84 12気筒液冷4ストローク多燃料ディーゼル・エンジン 1基
戦闘重量:44.5t
性能:最大路上速度60km/h、最大路上航続距離500km(車内搭載燃料のみ)または900 km(車外燃料搭載時)、登坂能力60%、渡渉水深1.20m (事前準備なし)または5.00m (シュノーケル使用時)、越堤能力0.85m、越壕能力2.90m
装甲:積層装甲+爆発反応性装甲によりHEAT弾に対し950mm相当、APFSDS弾に対し520mm相当
兵装:125mm 2A46M滑腔砲1門(装弾携行数45発)、主砲同軸PKT 7.62mm機関銃1挺、砲塔上面に12.7mm対空機関銃1挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2013/12/25


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