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M3グラント/リー

【第33回】M3グラント/リー <戦車>


M3グラント/リーは、第二次世界大戦中にアメリカで製造された中戦車で、イギリス向けの仕様で生産されたものをグラント、アメリカ陸軍向けの仕様のままでイギリス軍に配備されたものをリーという。北アフリカの砂漠で巡航戦車として活躍した。

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M3のデビュー

デアゴスティーニ編集部

▲1942年、アメリカ国内で訓練中のM3。

1940年6月、ドイツにフランスが敗北すると、アメリカ陸軍はそれまで別々だった歩兵戦車隊と騎兵機械化部隊を統合。戦車部隊を発足させる計画が開始された。新型戦車にはM3中戦車の制式名称が与えられ、M2の量産を予定していた工場で急遽大量生産が開始された。アメリカ陸軍向けの量産が始まるのとほぼ同時期に、イギリスの武器調達使節団が訪米した。イギリスは、陸軍がフランスで失った戦車の補充として大量の戦車を必要としており、新型M3中戦車は調達リストの中でも上位を占めていた。イギリスは、自国の必要に合わせて数か所の設計変更を要求した。主な改良個所は、砲塔後部の外形が無線機器搭載のために変更されたことと、キューポラが廃止されたことで、このモデルはイギリス陸軍専用に生産された。イギリス軍部隊では、M3は南北戦争時の北軍将軍ユリシーズ・S・グラントの名をとってジェネラル・グラントI(または単にグラントI)と呼ばれた。
新戦車は、1942年5月に北アフリカのガザラで初めて実戦に投入。M3中戦車の予期せぬ出現に、ドイツ・アフリカ軍団はパニック状態に陥った。この戦闘で、M3の強力な武装と装甲(12〜50mm)の組み合わせは、多大な効果を発揮した。
また、イギリス陸軍は、グラント戦車に続いてアメリカ軍仕様そのままのM3も受領するようになり、こちらは南軍の将軍ロバート・E・リーの名をとってゼネラル・リーI(または単にリーI)と呼ばれた。その後、M3には改良が重ねられて、車体を溶接構造としたM3A1(リーII)、エンジンを出力375馬力のゼネラル・モーターズ6-71ディーゼル2基とした装甲強化型M3A3(リーIV)、出力370馬力のクライスラーA-57マルチバンク・エンジンを搭載したM3A4(リーV)、M3A3をベースにしたリベット車体型M3A5などが次々と登場した。

前線での評価

デアゴスティーニ編集部

▲1942年にエジプトに配備されたイギリス軍のM3グラントとリー。

M3は「信頼性が高く酷使に耐える戦車」という評価を獲得した。車体搭載主砲の旋回範囲の狭さが、しばしば戦術上の問題点として露呈したものの、この戦車が、当時の連合軍戦車兵が何よりも欲していた打撃力を十分に提供できたことは間違いない。M3のもう一つの欠点として、車体の曝露高が大きすぎた点が挙げられるが、この戦車が誕生した背景や経緯を考えれば、それも仕方のないところである。即席で基本設計が作られ、大急ぎで量産に移されたことや、さまざまな戦術上の要求を盛り込む必要があったことなどを鑑みれば、M3はむしろよくできた戦車だったと言うべきであろう。
M3のサスペンションと駆動機構の多くは、その後の設計にも流用され、長期にわたって使用されることになるが、おそらくM3から学ぶべき最も重要な事実は、これだけの戦闘車両を短期間に一から設計して生産に移すアメリカ産業の底力であったと思われる。
M3は1942年12月の生産終了までに合計6,258両が生産され、世界のほとんどすべての戦場で何らかの形で使用された。また、武器貸与法に基づいて、多数がソ連赤軍に供与されている。次期戦車のM4の実戦配備が始まると、M3は第一線を退いて戦車回収車などに転用されるようになった。ただし極東の戦場では、グラント、リーともに、1945年まで戦闘戦車として使用された。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲アメリカ・メリーランド州にあるアメリカ陸軍の軍事施設、アバディーン性能試験場のM3。

M3A2中戦車
乗員:6名
寸法:全長5.64m、全幅2.72 m、全高3.12m
エンジン:出力340馬力のコンチネンタルR-975-EC2星形ガソリン・エンジン1基
戦闘重量:27.2t
性能:最大路上速度42km/h、最大路上航続距離193km、渡渉水深1.02m、登坂能力60%、越堤能力0.61m、越壕能力1.91m
兵装:75mm主砲1門、35mm砲1門、7.62mm機関銃4挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2015/09/25


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