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M2/M3ハーフトラック

【第53回】M2/M3ハーフトラック  <軍用車両>


 M2/M3ハーフトラックは、第二次世界大戦中のアメリカ軍の兵員輸送用装甲ハーフトラックである。M3ハーフトラックはアメリカ陸軍のみならず、ソ連赤軍を含む連合軍のトレードマークとなった。M2の派生型の一つであるM9A1はフランス機甲師団第1大隊で、1944年のパリ解放に大活躍した。

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ハーフトラックの登場

デアゴスティーニ編集部

▲105mm榴弾砲の牽引用に開発され、他の型より後部兵員室が短いM2ハーフトラック。

 ハーフトラック(半装軌車)が初めて登場したのは第一次世界大戦中で、イギリス軍が砲牽引車として使用したものである。しかし、イギリスはその後4輪駆動6輪車を指向して、ハーフトラックは使わなくなった。
 アメリカは、第一次世界大戦中より半装軌車に注目し、民間を中心に研究開発が行われていた。第二次世界大戦が始まり、アメリカの参戦と共に本格的な軍用ハーフトラックの開発が行われる事となった。
 アメリカにおけるハーフトラック開発の歴史は、シトロエン・ケグレスP17ハーフトラックを購入した1920年代に始まり、シトロエン車の評価試験に続き、多種多様な発展型が製作された。1931年には、陸軍工廠と複数の民間企業の共同でT14試作車が製作された。T14は、ホワイト・スカウトカーM2の車体にケグレスの装軌サスペンションを組み合わせたもので、これがアメリカン・ハーフトラックの原型となった。この車両はハーフトラック・カーM2と名づけられ、1941年初めに量産に入った。そして、最初の車体はこの年の5月に部隊に支給された。
 1941年以降、ハーフトラックは数千台規模で組み立てラインから送り出されていった。アメリカ国内の製造業者4社が1940~44年に生産した総数は、実に41,000両前後に上る。そのほとんどは、パーソネル・キャリア(兵員輸送車)であるが、上記の総数には迫撃砲運搬車や多連装自走機関砲、自走砲、トラック、さらには多種多様な試作車両が含まれていた。

シャシーを流用

デアゴスティーニ編集部

▲M3ハーフトラックの車体にM1897 75mm野砲をM2A2砲架を用いて搭載したM3 GMC 75mm自走対戦車砲。

 あらゆる種類の兵器は、一度はハーフトラックのシャシーに搭載されて試されたが、実際の戦闘に使用されたものとしては、57mm対戦車砲、75mm野戦砲、105mm榴弾砲などが代表的である。対空火器としては、各種の多連装12.7mm機関銃や、20mm機関砲、40mmボフォース機関砲などが挙げられる。戦闘工兵用機材の搭載例も、火砲同様に多様であった。各モデルは、側面に対戦車地雷を積載するためのラックを有していた。
 もちろん、最も広く用いられたのは兵員輸送車としてであり、そのタイプも多岐にわたっている。初期型のM2を補うように登場したハーフトラック・パーソネル・キャリアM3も、通信車両や砲牽引車、装甲救急車などとして活用された。さらに後期になって登場したハーフトラック・パーソネル・キャリアM5は、生産方法が異なり、このほかにもハーフトラック・カーM9が存在した。座席数は、モデルによって異なるが10~13席で、機関銃の搭載方法も多種多様であった。一般的な組み合わせは、12.7mmブローニング1挺を前方の大型リング・マウンティングに、7.62mmブローニングを後部のピントルに搭載した。これに乗車兵員の武器が加われば、ハーフトラックも立派な攻撃兵器となった。
 1944~45年のヨーロッパ戦域では、兵士は必ずハーフトラックに乗っていたというイメージがある。アメリカは、同盟国にありとあらゆるタイプのハーフトラックを供与した。イギリスは、北アフリカの戦闘が終わるより前から、アメリカ製のハーフトラックを使っていた。ソ連が1942年以降ハーフトラックの供与を受けて大量に使用したことも、忘れてはいけない事実である。
 ハーフトラックは、第二次世界大戦が終わった後もしぶとく生き続けた。アメリカ陸軍は朝鮮戦争にハーフトラックを投入し、イスラエル国防軍は機械化兵員輸送車や戦闘工兵車両、各種回収車両として現在も多数のハーフトラックを使用している。ただし、これらはあくまでも例外であり、信頼性では装輪車より劣り、クロスカントリー機動性では戦車におよばないハーフトラックの寿命は、事実上第二次世界大戦とともに終焉したと考えるべきだろう。ハーフトラックの機能はすべて、装輪車と装軌車によって引き継がれたのである。

諸 元

M3
乗員:13名
寸法:全長6.18m、全幅2.22 m、全高2.26m
エンジン:出力147馬力のホワイト160AX 6気筒ガソリン・エンジン1基
重量:9,299kg
性能:最大路上速度64.4km/ h、航続距離282km、登坂能力31°、渡渉水深0.81m
兵装:12.7mm機関銃1挺、7.62mm機関銃1挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2017/05/29


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