模型を作ってシェアするホビーコミュニティ ホビコム by デアゴスティーニ

M103

【第57回】M103  <戦車>


 M103重戦車はアメリカが開発した重戦車である。1948年2月にはT43重戦車(Heavy Tank T43)として開発されたが、最終的には指摘された問題点を改修して制式化されることとなり、120mm砲戦車 M103(120mmGun Tank M103)として1956年4月に制式化された。正式な愛称はないが、日本では「ファイティングモンスター」の名称でも呼ばれる。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


改修に次ぐ改修

デアゴスティーニ編集部

▲イギリスのタンク美術館でのM103A2。

 第二次世界大戦終了時のアメリカ軍標準重戦車はM26パーシングで、この戦車はヨーロッパ戦線末期の数か月間、実戦に参加した。戦後、M26は中戦車に再分類され、朝鮮戦争にも参加した。アメリカ国内における重戦車の開発はその後も続き、T29、T30、T34、T32を含む数多くの試作車両が製作された。冷戦の始まりとともに、M41として制式化されたT41軽戦車、M47誕生のきっかけとなったT42中戦車、そしてT43の3種類の戦車の設計が開始された。朝鮮戦争への投入を最優先としてまず80両が発注された。T43の試作車両を用いた評価の結果、数多くの欠点が指摘された。特に、砲塔の作動範囲と主砲制御装置、照準システムは、いずれも軍による要求基準を満たしていなかった。T43E1と名づけられた改良型車両の評価では、さらに100以上の改良点が要求されたが、最終的に、120mm砲を搭載した戦車がM103として制式化されることになった。
 1952年から1954年にかけて、200両のM103がクライスラー社のデトロイト戦車工場で生産され、ヨーロッパ駐留のアメリカ第7陸軍に配備された。しかし、部隊に配備されてみると、その重量と行動距離の短さのせいで同戦車は運用が困難なことが明らかになった。さらに、信頼性の問題にも常に悩まされ、M103は1960年代にはアメリカ陸軍から順次退役していった。
 M103の多くはアメリカ海兵隊に引き渡され、1960年代には153両が新型エンジンに換装されて、これにより行動距離が130kmから480kmへと増大した。これらの車両はM103A2と呼ばれた。その後、M103は海兵隊からも退役し、軍事援助計画によって諸外国に供与されることもなかった。M103の主な任務は、直接攻撃と、M47および後のM48に対する長距離対戦車支援(イギリスのコンカラー重戦車と類似した運用方法)であった。

M48の大型版

デアゴスティーニ編集部

▲M103の車体を利用して開発された戦車回収車であるM51戦車回収車。上部支持輪は6個から4個に減少している。

 多くの点で、M103はM48をスケールアップした戦車と言うことができる。操縦席は車体前部、砲塔と戦闘区域は中央、エンジンとトランスミッションは後部に配置されている。砲塔中央後方に車長用キューポラが設置され、ここには対空防御用に12.7mm M2HB機関銃1挺が装備されている。機関銃手と1人目の装填手は前部右側、2人目の装填手は左側に位置している。トーションバー・サスペンションは、二重ゴムタイヤによる転輪7個(その後部にドライブ・スプロケット、前部にアイドラーを装備)と6個の上部転輪を支持している。
 主兵装は120mm旋条砲で、仰俯角は+15°から−8°、砲塔は360°旋回可能である。分離装填タイプの砲弾は38発(38発の弾頭と同数の薬莢)を搭載可能で、曳光徹甲弾(AP-T)、榴弾(HE)、曳光榴弾(HE-T)、白燐煙幕弾(WP)、曳光白燐煙幕弾(WP-T)、曳光訓練弾(TP-T)の各弾頭を発射することができる。7.62mm機関銃は主砲同軸に装備されており、5,250発の装弾を携行する。12.7mm弾は1,000発の収納が可能である。標準装備としては、乗員区画のヒーター、渡渉用装備、歩兵用電話、消火装置などがある。
 派生型として、M103戦車を支援する目的で、M51ARV(回収戦車)が同じシャシーから製造されている。この車両には後部スペード(鋤)、ウィンチ、重作業用クレーンなどが装備されていて、戦場で戦車の主要コンポーネントの交換を行える。

諸 元

M103
乗員:5名
寸法:全長11.32m(主砲含む)、車体長6.98m、全幅3.76m、全高2.88m
エンジン:出力810馬力のコンチネンタルAV-1790-5Bまたは-7C空冷V型12気筒ガソリン・エンジン1基
全備重量:56.7t
性能:最大路上速度34km/h、最大路上航続距離130km、登坂能力60%、越堤能力0.91m、越壕能力2.29m
兵装:120mm旋条砲1門、7.62mm機関銃1挺(主砲同軸)、12.7mm M2対空機関銃1挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2017/09/27


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。