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M113ファミリー

【第59回】M113ファミリー  <輸送車>


 M113装甲兵員輸送車 は、アメリカで開発された装甲兵員輸送車である。履帯を装備し、不整地・荒地の走破能力が高くなっている。整地では高速走行も可能で、限定的ではあるものの、沼や小川などでの浮行能力を備えている。世界中でもっとも幅広く使用された装甲兵員輸送車だ。

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ガソリンからディーゼル・エンジンに

デアゴスティーニ編集部

▲ベトナム戦争時のM113 ACAV。

 1950年代の中頃、アメリカ陸軍は、輸送機に搭載して世界中に運搬可能な軽量車両に着目していた。その後、メカニズムの部分を他用途の車両にも転用できる、新型装甲兵員輸送車(APC)の試作車両を製作することが決定された。M113の初期型には、209馬力のクライスラー75M V型8気筒ガソリン・エンジンが搭載され、最大速度は64km/h、最大航続距離は322kmであった。その後、新たに生産されるすべての装甲車両に対し、ガソリン・エンジンに代えて、より燃費効率の高いディーゼル・エンジンを搭載することが決定された。これは、火災の危険性を減少させると同時に、作戦行動半径を拡大するためであった。ディーゼル・エンジンを搭載したT113E2の評価試験が好成績を収めたのに続いて、1964年から、ガソリン・エンジン搭載のM113に代わってディーゼル・エンジン搭載のM113A1が生産されるようになった。このタイプは、定評のあるゼネラル・モーターズ社デトロイト工場製の6V-53 6気筒ディーゼル・エンジン(215馬力)を搭載し、最大航続距離は483kmであった。
 1979年には、M113A2の生産が開始された。このタイプは、基本的にはM113A1を踏襲して、冷却システムの強化とサスペンションの改良を図ったものである。M113A2はM113A1と同等のエンジンを搭載していたが、重量が増加したため出力/重量比は若干低下した。この時期、アメリカ陸軍は5,000両以上のガソリン・エンジン搭載型M113と約13,000両のディーゼル・エンジン搭載型M113A1を実戦配備していたが、これらすべてを新型のM113A2仕様に改修することが決定された。M113A2の要求調達数は派生型も含めると20,000両以上に上ったため、追加の車両がFMC社からも納入された。この改修はアメリカ国内のみならず、西        ドイツ(当時)、韓国など国外でも実施された。
 次に製造されたM113A3は、M113A2により強力な275馬力の6V-53T過給機付きディーゼル・エンジンと、新型のトランスミッションおよび運転制御装置を搭載したものである。この改造によって、加速性能や不整地走破性能、燃料効率、全般的な信頼性などが向上した。

M113の派生型

デアゴスティーニ編集部

▲アメリカ陸軍のM113A3。2007年にイラク国内で撮影。バー・アーマーが追加装備された仕様。

 M113ファミリーほど多数の派生型が生み出された車両も珍しいが、それらの派生型は主に2つの系統に分けられる。一つはM113そのものの車体を使用したもので、さまざまな用途に向けたタイプが誕生している。もう一つは、やはりM113ファミリーの一員である非武装型M548装軌式貨物輸送車両のシャシーを利用したものである。そのほかにも、多くの国でそれぞれの要求を満たすための改造が幅広く実施されている。
 M113ファミリーの迫撃砲運搬型にはM106とM125の2種があり、ディーゼル・エンジン搭載型はそれぞれM106A1およびM125A1と呼ばれる。M106/M106A1は107mm迫撃砲を後部に搭載しており、一方のM125/M125A1では81mm迫撃砲がターンテーブルに載せられて360°旋回が可能である。両者とも迫撃砲の取り外しが可能で、必要に応じて、車両を離れた位置から発射することもできる。
 対航空機用の派生型としてはM163があり、動力作動の砲塔に6連装の20mmヴァルカン砲が装備されている。またベトナム戦争用に火炎放射型が開発されて配備されたが、現在は使用されていない。
指揮車両型のM557は1962年から生産が始まった。このタイプは、車長らが直立姿勢で動けるよう天井が高くしてあり、通常のM113とは容易に見分けがつく。また多量の通信機器が搭載され、作業スペースを確保するために、後方にテントを立てることも可能である。
 M113のさらなる発展型である装甲歩兵戦闘車両(AIFV)は、FMC社が開発したもので、バーレーン、ベルギー、エジプト、オランダ、フィリピン、トルコで運用されている。また、M113の基本シャシーは、数多くの自社開発兵器のベースとしても使用されている。カナダのM113対空対戦車ミサイル・システム(ADATS)はその一例で、この車両は8発のエリコン・ミサイルを発射可能な状態で運搬することができる。

諸 元

デアゴスティーニ編集部

▲アメリカ海兵隊のM113A3。2006年にイラク国内で撮影。新型機銃シールドなどが追加装備された仕様。

M113A2
乗員:2名+兵員11名
寸法:全長2.69m、全幅2.54 m、車体高1.85m、全高2.82m
エンジン:215馬力のGMCデトロイト6V-53 6気筒水冷ディーゼル・エンジン1基
重量:11,341kg
性能:最大路上速度67.59km/ h、最大水中速度5.8km/h、最大航続距離483km、渡渉水深/水陸両用、登坂能力60%、越堤能力0.61m、越壕能力1.68m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2017/11/28


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