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TAM

【第78回】TAM <中戦車>


 TAMは、アルゼンチンの中戦車シリーズで、西ドイツのティッセン・ヘンシェル社がアルゼンチン陸軍の要求に沿って同社のマルダーMICVをベースに設計した。1976年に試作車が完成し、1979年に就役した。

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特別設計した戦車

▲2008年5月に開催されたアルゼンチン陸軍展覧会中に設置されたシュノーケル付きTAM。

アルゼンチン軍では、長期にわたってアメリカ製のM4シャーマン戦車が機甲部隊の中枢を担っていたが、1970年代初頭には、この戦車の維持が次第に困難となってきた。しかし、当時入手可能な戦車のほとんどは40t以上で、アルゼンチン国内の橋を安全に渡るには重すぎたため、新型戦車はアルゼンチン陸軍の要求に沿って特別設計したものを取得することが決定された。新型戦車TAM(「アルゼンチンの中戦車」の意)の製造にあたっては、当時西ドイツ軍向けにマルダー機械化歩兵戦闘車両(MICV)を生産していた西ドイツのティッセン・ヘンシェル社(現ヘンシェル・ヴェアテクニク社)と契約が結ばれた。

TAMの試作1号車は1976年に完成し、さらに2両が翌年に完成した。アルゼンチン軍での就役が承認されると、ブエノス・アイレス近郊に生産工場が建設された。しかし、1982年のフォークランド紛争時に配備されていた完成車両は皆無で、アルゼンチン陸軍が発注したTAMシリーズ512両の納入はいまだに完了していない。一方、TAM戦車と並行してVCTP歩兵戦闘車両がティッセン・ヘンシェル社で開発され、こちらは最大250両がアルゼンチン国内で生産されている。
 TAM中戦車の車体は、操縦席が車体前方左側に、パワーパック(エンジンとトランスミッションを一体化したもの)が右側に配置されている。また、限られた重量内で最大限の防御力を得るために、装甲板には緩やかな傾斜が付けられている。しかし装甲は、より新しい重主力戦車とは比べものにならないくらい貧弱である。車体後部に配置された砲塔は全溶接構造で、電気油圧装置により作動する。砲塔定員は3名で、車長および砲手が右側に、装填手が左側に座る。主砲は105mm砲で、2軸安定化装置と、発射時の煙を除去する排煙装置が取り付けられている。主砲の俯仰角は25°(−7°〜+18°)である。主砲同軸には7.62mm機関銃が装備され、さらに同種の機関銃を対空防御用として砲塔頂部に装着することも可能である。砲塔両側には煙幕弾発射装置を各4基装備できる。携行弾薬数は105mm弾が合計50発、7.62mm弾が合計6,000発で、NBC (核/生物/化学)システムも搭載されている。

TAM/VCTPの派生型

▲20mm機関砲Rh202を装備した歩兵戦闘車型のTAM VCTP。

 TAM/VCTPの主な派生型には、VCA155、VCRT、VCLCがある。VCA155は、イタリアのOTOブレダ社がパルマリア自走榴弾砲用に開発した砲塔と155mm砲/榴弾砲をTAMの車体に組み合わせたもので、現在アルゼンチン軍への配備が進んでいる。VCRTはVCTPをベースとした装甲回収車で、新型の上部構造物と、MaK社(現ラインメタル・ランドシステム社)により開発された特殊装備が特徴である。この特殊装備には、後部に装着するドーザー・ブレード、前部に装着する30t牽引ウィンチ、上部構造物右側に装着する22tクレーン・ジブなどがある。VCRTは、少数が配備されたと見られている。VCLCは現在配備中の多連装ロケット・システムで、TAMのシャシーから砲塔を取り外し、イスラエル製のLAR160ロケット・システムの18連装発射機2基を搭載している。
 なお、ティッセン・ヘンシェル社はTAM中戦車のシャシーを使用した一連の戦闘車両ファミリーを自社開発で完成させたが、現在のところどれも生産には至っていない。

諸 元

TAM

乗員:4名
寸法:全長8.23m(主砲含む)、車体長6.77m、全幅3.25m、全高2.42m(砲塔頂部まで)
エンジン:出力720馬力のMTU 6気筒ディーゼル・エンジン1基
重量:30.5t(全備重量)
性能:最大路上速度75km/h、最大航続距離550km、渡渉水深1.40m、登坂能力65%、越堤能力1m、越壕能力2.5m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2019/06/26


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