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AMX-30

【第80回】AMX-30 <戦車>


 AMX-30は、フランスで開発された戦後第二世代の主力戦車である。 1959年から試作車の製作が始まり、フランス陸軍は1963年に正式採用を決定。現在も改良を重ねられながら使用が続けられ、後継車であるルクレールと共に配備されている。

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AMX-30の誕生

▲湾岸戦争に派遣されたAMX-30 B2。1991年。

 第二次世界大戦後にフランス陸軍が再編された当時、戦車部隊は主として、アメリカから供与されたM4シャーマン戦車とフランスで設計された少数のARL-44で構成されていた。これらの戦車は1950年代半ばに、相互防衛援助計画(MDAP)に基づいてフランスに大量供与されたアメリカ製のM47戦車に更新された。
 その後1956年に、フランス、西ドイツ、イタリアの3か国は、共同で新型主力戦車の仕様書を作成した。この戦車の狙いは、当時各国の陸軍に配備されていたM47よりも軽量かつ強力な武装を備えることにあった。この仕様書に基づいて、フランスと西ドイツはそれぞれ試作型戦車を製作した。フランスの案はAMX-30、西ドイツの案はレオパルト(後のレオパルト1)で、どちらか一方の戦車が両国に採用されるはずであったが、最終的には各国がそれぞれの戦車を独自に採用することとなった。
 AMX-30はイシ・レ・ムリノー国立兵器廠(AMX)で設計が行われた。AMXは第二次世界大戦後、フランスの重装甲戦闘車両の大半を生み出してきたメーカーである。AMX-30の試作初号車は1960年に完成し、最初の量産型車両は1966年にロアンヌ砲兵工廠で製造された。その後AMX-30シリーズの多くは輸出向けで、アブ・ダビ(アラブ首長国連邦)、チリ、キプロス、ギリシャ、イラク、クウェート、ナイジェリア、カタール、サウジアラビア、スペイン(ライセンス生産)、ベネズエラの各国に輸出された。
 AMX-30は第1世代のNATO軍戦車の中で最軽量であり、車体は圧延鋼材板に溶接加工が施されているが、3名が搭乗する砲塔は鋳造構造となっている。主砲は105mm旋条砲で、主砲同軸に20mm砲、車長用キューポラに7.62mm機関銃が装備されている。同軸砲は、主砲から独立して最大+40°の仰角を取れる珍しいもので、低空飛行する航空機やヘリコプターなどに対して射撃が可能である。搭載弾薬数は、105mm砲弾47発(うち19発を砲塔内、28発を車体に格納)、20mm砲弾1,050発、7.62mm弾2,050発となっている。105mm砲が発射可能な砲弾には、対戦車榴弾(HEAT)、榴弾(HE)、煙幕弾および照明弾のほか、後期のモデルでは近代的な翼安定式離脱装弾筒付徹甲弾(APFSDS)も発射できるようになった。APFSDSの初速は1,525m/secで、5,000mの距離から60°の入射角で150mmの装甲を貫通することが可能である。

多様な派生型

▲戦車運搬車に載せられたAMX-32。

 AMX-30の基本シャシーからは一連の派生型ファミリーが誕生している。AMX-30D装甲回収車は、車体前方にドーザー/スタビライザー・ブレードを装着し、野外でのエンジン等の交換用として2基のウィンチと油圧クレーンを車体右側に装備している。AMX-30架橋車は20mまでの溝に橋を渡すことが可能である。またAMX-30のシャシーは、プルトン対地戦術核ミサイル発射機の運搬にも使用されている。戦闘工兵トラクターのAMX-30EBGと、地雷除去戦車のAMX-30B DT(AMX-30B2のシャシーを用いた車両はAMX-30B2 DT)は、いずれもフランス陸軍で運用されている。さらにAMX-30のシャシーは、ユーロミサイル・ローランド対空ミサイル(SAM)システムのフランス版や、SA-10シャヒーンSAMシステムにも使用されている。シャヒーンは、サウジアラビアの要求に応じてトムソン-CSF社が開発したものである。AMX-30-S401A連装30mm自走対空砲システムもサウジアラビア向けに開発されたもので、SA-10 SAM部隊の近接防御を担当する。
 GCTは、改良型のAMX-30のシャシーに、155mm榴弾砲を装備した新型の砲塔を組み合わせたものである。この榴弾砲には自動装填システムが採用されており、砲弾を打ち尽くすまで、毎分8発の榴弾発射が可能である。GCTはフランス陸軍で使用されており、そのほかにイラク、クウェート、サウジアラビアなどの中東諸国からも発注を受けている。
 カタールおよびサウジアラビア軍は砂漠運用型のAMX-30Sを使用しており、フランス軍は発展型のAMX-30B2を導入している。AMX-30B2には数多くの改良が加えられており、レーザー測距装置および低光量TVシステムからなる統合火器管制システムや、新型トランスミッションを含む改良型駆動システムなどが採用されている。

諸 元

AMX-30B2

乗員:4名
寸法:全長9.48m(主砲含む)、車体長6.59m、全幅3.10m、全高2.86m
エンジン:出力720馬力のイスパノ・スイザ12気筒ディーゼル・エンジン1基
重量:36t
性能:最大路上速度65km/h、最大航続距離600km、登坂能力60%、越堤能力0.93m、越壕能力2.90m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2019/08/28


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