模型を作ってシェアするホビーコミュニティ ホビコム by デアゴスティーニ

歩兵戦車MkIVチャーチル

【第85回】歩兵戦車MkIVチャーチル <戦車>


 チャーチル歩兵戦車は、第二次世界大戦期のイギリスの歩兵戦車(40トン級)である。多砲塔戦車A20を元にA22として小型化したもので、国威発揚のために首相ウィンストン・チャーチルの名を付けた。 チャーチルの生産量はヴァレンタインに次いでイギリスで2番目であったが、派生型の多さでは群を抜いていた。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


急な製造そして改修

▲クルスクの戦いで撃破されたソ連軍親衛重戦車連隊のチャーチルMk.IV。

イギリス陸軍の歩兵戦車MkIVチャーチルは第二次世界大戦における最も重要な戦車の一つであり、きわめて多くの発展型や派生型が製作された。

 チャーチルは、1939年9月に公表されたA20という仕様書から誕生した戦車で、この仕様書では第一次世界大戦の塹壕戦に立ち返ることが考慮されていた。したがって、A20戦車は第一次世界大戦におけるイギリスの「菱形」戦車を焼き直したものと言えた。しかしA20試作車による試験の結果、より軽量なモデルが必要なことがまもなく判明したため、ヴォックスホール・モーターズ社がA22と呼ばれる改訂版の仕様書に従って歩兵戦車MkIVを設計した。この戦車は後に「チャーチル」と命名された。
 ヴォックスホール社はゼロから設計作業を始めなければならなかったにも関わらず、防御力の高い戦車を生み出した。そして、車体全体を覆う大型のキャタピラは、第一次世界大戦当時の戦車を彷彿とさせた。しかし、チャーチルの最初の1,000両は実戦配備前に広範囲にわたる改修が必要であった。これは、あまりにも製造を急がされたためであり、ドイツ軍の侵略が間近に迫った当時の状況では、信頼性の低い戦車でも「ないよりはまし」と考えられたのである。後期型では、これら初期に起きた問題は排除されている。
 当時の一般的な流れに違わず、チャーチルの兵装も大口径化の一途をたどり、チャーチルI〜IIの2lb(40mm)砲はチャーチルIII〜IVでは6lb(57mm)砲になり、最終的には75mm砲がチャーチルIV(NA75)とチャーチルVI〜VIIに搭載された。また、チャーチルCS(近接支援)には76.2mm榴弾砲が装備され、最終的には95mm(正確には94mm)榴弾砲がチャーチルVとチャーチルVIIIに搭載された。チャーチルIには、76.2mm榴弾砲が車体に装着されていた。砲塔も鋳造製のものからリベットまたは複合構造のものに変更され、さらにキャタピラ・カバーの改良やエンジン冷却の見直しなどが漸次行われた。チャーチルのモデルは全部で11種類におよび、最後の3種類は、前期型を75mm砲搭載のチャーチルVII仕様に更新するための改修型であった。

実戦運用と特殊派生型

▲チャーチル・クロコダイルによる火炎放射。

 チャーチルの重装甲(IからVIで16〜102mm、VIからVIIIで25〜152mm)は戦闘において大きな利点となった。しかし、同戦車初の実戦となった1942年のディエップ上陸作戦では、多くのチャーチルが海岸を越えることはおろか、海岸に到達することさえできなかった。しかしチュニジアでは、チャーチルは山越えの能力を発揮し、機甲部隊および歩兵部隊の支援に目覚ましい活躍を見せた。ただし、地の利を生かすにはあまりにも車速が遅かった。
 チャーチルからは数多くの特殊目的戦車が生み出され、それぞれが重要な車両として確立されていった。そのうち主なところでは、チャーチルAVRE(工兵用装甲車)、チャーチル・クロコダイル火炎放射戦車、チャーチル・アークなどの各種架橋戦車などがある。また、チャーチル・プラウ型から、導爆筒を装備したチャーチル・スネークまで、多種にわたるチャーチル地雷戦型も作られた。さらにチャーチルは、改良によってさまざまな特殊装備を運搬できるようになった。その中には防壁破壊突撃車両(チャーチル・ライト・キャロット、チャーチル・オニオン、チャーチル・ゴート)、地雷掃討輪付き車両(チャーチルAVRE/CIRD)、ぬかるんだ地面にカーペットを敷設する装置付き車両(チャーチルAVREカーペット敷設車)、装甲回収車(チャーチルARV)などがある。
 同時代の戦車と比較すると古臭く見えるチャーチルであるが、非常によく任務をこなし、さまざまなタイプが1950年代半ばまで多数就役していた。最後のチャーチルAVREが退役したのは、1965年のことであった。

諸 元

チャーチルVII

乗員:5名
寸法:全長7.44m、全幅2.44 m、全高3.45m
エンジン:出力350馬力のベドフォード・ツイン・シックス・ガソリン・エンジン1基
重量:40,642kg
性能:最大路上速度20km/h、最大路外速度12.8km/h、最大路上航続距離145km、渡渉水深1.02m、越堤能力0.76m、越壕能力3.05m
兵装:75mm砲1門、7.92mmベサ機関銃2挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2020/01/29


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。