模型を作ってシェアするホビーコミュニティ ホビコム by デアゴスティーニ

巡航戦車ラム

【第87回】巡航戦車ラム <戦車>


 ラム巡航戦車は第二次世界大戦中にカナダで製造された戦車。1939年当時、カナダには機甲部隊が存在しなかったが、拡大を続けるカナダ軍向けに戦車を国内生産することが決定され、アメリカのM3中戦車を元に1941年に開発された。

ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは


カナダ軍初の国産戦車

▲バレンタイン歩兵戦車の2ポンド砲を流用して50輌が生産された巡航戦車ラムMk.I。

 カナダが第二次世界大戦に参戦した1939年当時、同国には戦車部隊がなく、カナダ軍初の戦車訓練および慣熟部隊は、アメリカ軍払い下げの第一次世界大戦当時の古い戦車を装備しなければならなかった。まもなくカナダの鉄道産業がイギリスから、バレンタイン歩兵戦車の生産および供給が可能かどうか打診を受け、この作業に力を注ぐことになった。しかし、バレンタインは「歩兵」戦車であり、新たに創設されたカナダ軍戦車部隊が必要としていたのは、機甲戦闘用の「巡航」戦車であった。当時はイギリスから戦車を調達できる見込みはほとんどなく、アメリカもまだ参戦していなかったため、カナダは自力で戦車の設計と生産を行うしかなかった。

 まず最初に、アメリカのM3戦車を製造することが考えられた。後にリーまたはグラントとして知られるようになるこの戦車は、当時イギリス軍向けに生産に入ったところであった。しかし、M3には欠点があった。主砲は砲塔に搭載するのが最も効果的と考えられていたが、この戦車はスポンソンに搭載していたのである。そこでカナダは、M3の主機構と車体、トランスミッションに、75mm砲装備の新しい砲塔を組み合わせることにした。しかし、当時は75mm砲を入手する目処が立たなかったため、初期型には調達が容易な2lb(40mm)砲が選択され、その後6lb(57mm)砲が導入された。
 このような戦車を一から造り上げたことは、カナダにとって大きな成果であった。1941年6月に巡航戦車ラムMkIとしてロールアウトした試作車は、鋳造製装甲を多用する、極めて技術力の高い設計であった。その後まもなく、2lb砲を6lb砲に換装したラムMkIIが登場し、量産は1941年末に開始された。副砲は7.62mm機関銃2挺(1挺は主砲同軸、もう1挺は車体に搭載)で、装甲厚は25〜89mmであった。

派生型の活躍

 完成車両はすべて、新規に編成されたカナダ軍機甲連隊に配備され、この部隊の多くがイギリスに送られた。しかし、砲戦車として活躍する場が、ラムに与えられることはなかった。と言うのは、1943年半ばまでには大量のM4シャーマンがアメリカの生産ラインから送り出されていたからで、すでに75mm砲を搭載しているM4を全カナダ軍部隊の標準装備とすることが決定されたのである。
 そのためラムは訓練のみに使用され、この任務からの退役後、多くの車両が砲塔を撤去されてラム・カンガルーとなった。これは簡素ながら有用な装甲兵員輸送車で、1944年6月以降のヨーロッパ反攻において広く使用された。また、一部の車両からは主砲が撤去され、砲撃観測車両(ラム指揮/観測戦車)として使用された。より広範な改造が施されて、装甲回収車となったものもある。さらに、いくつかの車両は各種の実験および試験に用いられ、中には車体上面に94mm対空砲を搭載したものもあった。
 ラムの派生型の中で、第二次世界大戦中に最も活躍したのはセクストン自走砲である。25lb (87.6mm)砲を車体上部の簡素な開放型上部構造物に搭載したこの車両は、合計2,150両が連合軍向けに生産された。

諸 元

ラムMkII

乗員:5名
寸法:全長5.79m、全幅2.90 m、全高2.67m
エンジン:出力400馬力のコンチネンタルR-975空冷ガソリン・エンジン1基
重量:29,484kg
性能:最大路上速度40.2km/ h、最大路上航続距離232 km、登坂能力60%、越堤能力0.61m、越壕能力2.26m
兵装:6lb(57mm)砲1門、7.62mm機関銃2挺

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2020/03/25


ブラボー0 お気に入り登録0   ブラボーとは



コメント0件


コメントを書く1,000文字以内

Ms_noimage

コメントを投稿するにはログインが必要です。