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歩兵戦車MkI/MkIIマチルダ

【第94回】歩兵戦車MkI/MkIIマチルダ  <戦車>


 マチルダI歩兵戦車は、戦間期のイギリスで開発された初の歩兵戦車(10トン級)で、マチルダII歩兵戦車(MkII マチルダII)は、第二次世界大戦前期にイギリス軍で使用された30トン級の歩兵戦車である。マチルダIIは、1938年6月に最初の量産発注が出され、2,890両が生産されている。

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マチルダIからマチルダIIへ

▲ハッチを開けた状態マチルダI。

イギリス陸軍の「歩兵戦車」に関する要求は1934年に初めて策定され、その直接の産物として誕生したのがA11歩兵戦車MkI、後のマチルダIである。この戦車は、非常に単純な造りの小型の2人乗り戦車であったが、装甲は当時のいかなる対戦車砲にも耐えられるほどの十分な厚さを備えていた。小型の砲塔には12.7mmもしくは7.7mmヴィッカース機関銃1挺が装備され、エンジンには民生用のフォードV型8気筒ユニットが搭載された。

 マチルダIは1937年4月に140両が発注されたが、1940年のフランスにおける戦闘に投入したところ、さまざまな問題が発覚した。マチルダIは速度が非常に遅く、どんな形であれ機甲戦闘と呼ばれるものに使用するには火力不足であった。このため、ダンケルクの撤退後に残っていた車両は、その後は訓練に使用されるのみとなった。
 もっとも、マチルダIは当初から、A12歩兵戦車MkII、つまりマチルダIIが登場するまでのつなぎ役と考えられていたもので、実際、マチルダIIの計画は1936年に開始され、最初の車両が1938年に完成している。マチルダIIはマチルダIよりも大型で、乗員は4名に倍増した。砲塔には2lb(40mm)砲が搭載され、当時知られていたすべての対戦車砲弾にも耐えられる鋳造製の装甲(装甲厚20〜78mm)が使用された。速度は遅かったが、これは歩兵支援に重点を置いた結果であり、任務を考慮すれば、深刻な欠点ではなかった。全体的に見てマチルダIIは均整のとれた戦車であり、同時代の多くの戦車よりも信頼性に優れていた。火力はそれほど強力ではなかったが、マチルダIIは戦闘において良好な性能を示した。
 マチルダ(1940年にマチルダIが退役すると同時に、マチルダIIという名称は使われなくなった)がその戦歴の中で最も目立った活躍をしたのは、初期の北アフリカ作戦のときである。ここでは、マチルダの装甲は、ドイツ軍の88mm対戦車砲を除くすべての枢軸軍対戦車砲に対して有効性を発揮した。同戦車は、エル・アラメインの戦いまでイギリス軍の主力装甲車両の一角を担ったが、その後は、より重武装の高速戦車に取って代わられた。しかし、マチルダの有用性は完全に失われたわけではなく、今度は特殊用途戦車として利用されるようになった。

愛された戦車

▲1941年12月、ドイツ軍が使用したマチルダを捕らえたニュージーランド軍。

 マチルダの特殊用途型の中でも最も重要な車両が地雷除去用のフレール戦車で、マチルダ・バロン、マチルダ・スコーピオンなどの車両が地雷除去任務に広く使用された。また、マチルダにAMRA地雷除去ローラーを取り付けたものも作られている。その他の派生型としては、マチルダ大型サーチライト車両(CDL)が挙げられる。これは、特別製の砲塔に強力なライトを搭載して、夜間照明として使用するものである。また、マチルダにドーザー・ブレードを装着したマチルダ・ドーザーは戦闘工兵用に使用され、さらには多くの車両が、さまざまな火炎放射器を装着するマチルダ・フロッグに改造された。ほかにも、特殊装置や爆破装置を搭載したマチルダが数多くあった。
 マチルダはイギリス軍のみならず、オーストラリア軍にとっても重要な戦車となった。事実、オーストラリア軍はニューギニアなどでマチルダ砲戦車を終戦まで多用し、また数種の火炎放射型がオーストラリア軍で考案されてもいる。ドイツ軍も、捕獲したマチルダ数両に対戦車兵器を搭載して使用していた。
 マチルダ戦車には、「現場での改造」や記録に残っていない変更が数多く行われたため、マチルダのすべての派生型を網羅した系統図を作成するのは至難の業である。マチルダは各種用途に容易に適合できただけでなく、兵士たちからの人気も高かった。この戦車は速度が遅く、軽武装であったが、信頼性が非常に高く、強力な装甲を備えていた。マチルダが愛された最大の理由は、その極めて充実した装甲にあったと言ってもよいだろう。

諸 元

▲コンパス作戦でエジプトを行くマチルダII。

マチルダII
乗員:4名
寸法:全長5.61m、全幅2.59 m、全高2.51m
エンジン:出力95馬力のレイランド6気筒ガソリン・エンジン2基、または87馬力のAECディーゼル・エンジン2基
重量:26,926kg
性能:最大速度24km/h、最大路外速度12.9km/h、最大路上航続距離257km、渡渉水深0.91m、越堤能力0.61m、越壕能力2.13m
(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2020/10/30


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