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マルダー

【第97回】マルダー  <戦車>


 マルダー歩兵戦闘車は、ドイツ陸軍が装備する歩兵戦闘車で、西側諸国で初めて配備された歩兵戦闘車である。1971年よりドイツ陸軍での運用を開始し、この2年後から就役し始めたフランス陸軍のAMX-10Pとともに、中口径の機関砲を主武装とする最初の歩兵戦闘車となった。

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高速車両

▲マルダー歩兵戦闘車は、西側で最初に就役したが、輸出注文を獲得することはなかった。

1950年代に再編成された西ドイツ陸軍が、最初に装備した機械化歩兵戦闘車(MICV)はSPz12-3であった。SPz12-3はスイス製のシャシーをベースにしており、後にイギリスと西ドイツで生産された。これと同じ基本シャシーを利用する完全な車両ファミリーの開発計画がかなり早い段階で決定され、ファミリーの先陣を切って、90mm砲搭載のヤークトパンツァー・カノーネと、SS.12対戦車ミサイル(後にHOTミサイルに交換)搭載のヤークトパンツァー・ラケーテが就役した。

 さらに多種多様な試作車が製作され、広範な試験が実施された後、そのうちの一つがマルダー(動物の「テン」の意味)として西ドイツ軍に採用され、ラインシュタール社が主契約会社、キールのMaK社が第2契約会社に選択された。最初の量産車両は1970年後半に納入され、1975年の生産終了までに2,136両が作られた。マルダーは輸出はされなかった。
 西ドイツ軍に導入された当時、マルダーは西側で最も進んだ機械化歩兵戦闘車であり、コストと維持整備に問題があるものの、今日でも十分に効果的な兵器である。マルダーは良好な装甲防御力と高い路外速度を持ち、ドイツ陸軍の諸兵科混合部隊の中で、レオパルト1やレオパルト2といった主力戦車とともに行動することができる。
 操縦手は車体前部左側、歩兵1名がその後ろに着座し、操縦手の右側にエンジンが位置する。車長と砲手が乗り込む動力式の砲塔は車体中央部に位置し、兵員室は車体後部にあって、歩兵の乗降には後部の動力式ランプが使用される。兵員室両側には球状の射撃ポート各2個が設けられ、それぞれに天井装備のペリスコープが備えられているため、歩兵は車内からライフルの照準および射撃を行える。
 砲塔には、20mm MK20 Rh 202 2重装弾機関砲と7.62mm MG3同軸機関銃が装備されている。これらの俯仰角は−17°〜+65°、砲塔は360°の旋回が可能である。
 マルダーをアップグレードする構想は、20世紀後半からさまざまに議論されてきた(MK 20 Rh202機関砲をより大型で近代的な砲に交換する案もあった)が、結局ドイツ軍は歩兵戦闘車を新規開発する道を選んだ。大半のマルダーには、ユーロミサイル・ミラン対戦車ミサイル発射機が砲塔に後付けされ、2,000mの射程で主力戦車を攻撃することが可能になっている。また、兵員室後部上側には遠隔操作式の7.62mm機関銃が搭載されている。

マルダーの派生型

▲マルダー1A5。 重量の増加により、ドライブとチェーンの修正が必要になった。

 ドイツ陸軍で就役しているマルダーの派生型には、ローランド地対空ミサイル(SAM)システムと観測レーダー搭載型がある。前者は即時発射可能位置に2発のミサイルを搭載し、そのほかに予備として8発を携行する。後者はレーダーを油圧式アームに取り付けており、アームを車両上部に起立させることでレーダー覆域を拡大することができる。
 マルダーはドイツ軍向けにマルダー1A1として生産され、その後、感熱画像照準装置を搭載するマルダー1A2、防御力を強化したマルダー1A3へとアップグレードされた。その過程で、車体後部の遠隔操作式機関銃が取り外されたほか、側面のガンポートも廃止されて大型収納箱が取り付けられた(3枚の写真はすべて後期型)。いくつかの中間的アップグレード仕様のものもあり、これらは主として無線機器が異なっている。マルダー1A5は、マルダー1A3を改良して地雷に対する防御力を強化したものである。現在配備されているのは更に改良が施されたマルダー1A3とマルダー1A5であり、2011年時点での最新型はマルダー1A5A1である。
 派生型として、操縦士訓練用車両や、マルダーの車体にローランド対空ミサイル発射機を装備する砲塔を搭載した対空車両がある。マルダーの車体に自動装填装置付きの無人オーバーヘッド砲塔を搭載したVTS-1という車両も存在し、スウェーデンにもUDES 19という同様の研究車両が存在した。

諸 元

マルダー

乗員:4名+兵員6名
寸法:全長6.79m、全幅3.24 m、全高2.95m
エンジン:出力600馬力のMTU MB833 6気筒ディーゼル・エンジン1基
重量:28,200kg
性能:最大路上速度75km/h、最大路上航続距離520km、渡渉水深1.5m、登坂能力60 %、越堤能力1m、越壕能力2.5m

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2021/01/27


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