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ロッキードEP-3アリエス

【第103回】ロッキードEP-3アリエス  <偵察機>


 ロッキードEP-3は、アメリカのロッキード社(現・ロッキード・マーティン社)が開発したターボプロップ哨戒機P-3オライオンの派生型である。P-3は初飛行から60年以上が経過しているものの、アップデートを重ねつつ、アメリカ海軍や海上自衛隊などで使用されている。

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ブラック・オライオン

▲EP-3E アリエス電子戦偵察機。12機が改造。

 ロッキードP-3オライオンの派生型の中でおそらく最大の成功作は、EP-3と呼ばれる電子戦/監視型であろう。EP-3が開発されたのは1960年代半ばのことで、中国に対するCIA(アメリカ中央情報局)の秘密活動に使用するのが目的であった。2003年現在、アメリカ空軍はワシントン州ウィドビー・アイランド海軍航空基地のVQ-1とスペイン、ロタ基地のVQ-2の2個飛行隊に10機のEP-3EアリエスIIを配備し、リアルタイムの電子情報および信号情報収集を行っている。
 1963年、CIAは3機のP-3Aを隠密活動用の「ブラック・オライオン」に改造する作業に着手した。機体の生存能力を高めるために、この改造では、存在を悟られにくくする方策がいくつかとられた。まず機体は真っ黒に塗装され、排気管には熱拡散用覆いが取り付けられて、プロペラは騒音の低い短いブレードのものに変更された。また、一部のミッションでは、中国本土で撃墜された場合に備えて、機体に台湾のマーキングが施された。AIM-9空対空ミサイルの基本的な発射機能も付加されており、オライオンがMiG 1機を撃墜したとする情報もある。
 ブラック・オライオンは、1967年4月まで台湾の基地から夜間に活動していたが、その後は新型のSR-71が偵察任務を引き継ぐことになった。CIAのP-3の1機は、1966年9月にベトナム上空でも監視任務を行っている。

その他の電子情報収集機の後継機

▲テキサス州ウェイコから飛び立ったロッキードEP-3EアリエスII。

 その後、P-3はアメリカ海軍のEC-121電子情報収集機の後継機に選定された。このため、オライオンの1機が試験用に改造されてEP-3Aとなった。EP-3Aでは、爆弾倉の下に大きなレドームが装備されるとともに、胴体上下には多数のアンテナを収めたカヌー型フェアリングが取り付けられた。しかし、この型は結局、実際の任務よりも試験任務に使用されることのほうが多かった。
 試験用EP-3Aは、EP-3Bバット・ラック電子監視機の構想実証機としても使われた。バット・ラック用システムを完全装備したオライオンは2機製造され、これらがベトナムで使用された結果、電子情報収集オライオン構想の有効性は余すところなく証明された。
 バット・ラックが期待通りの成果を収めたことから、後継の電子情報収集機として、さらに10機のP-3AがEP-3Eオライオン仕様に改造された。2機のバット・ラックEP-3Bも、後にこの新しい仕様に改修されたが、内部がEP-3Eとは異なっていたため、EP-3Bという名称がそのまま使用された。
 アリエス(空中偵察総合電子システム)と呼ばれるシステムを装備したEP-3Eアリエスで、電子情報収集型オライオンは変貌を遂げることとなった。EP-3Eアリエスでは、もともと艦艇用に設計された装備品に代えて、中央処理装置経由でリンクされた新型センサーが導入され、さらに広範な電子支援および妨害装置も搭載された。10機のEP-3Eのうち7機は、1978年からこの仕様に改修され、1985年以降はさらなる能力向上改修が実施されている。
 EP-3Eは使用頻度が高いため、機体に疲労が生じ始めていた。このため、12機のP-3CをEP-3E仕様に改造するCILOP (「購入の代わり改造」の意味)プログラムが1986年に開始された。これらの機体には、さらにアリエスIIプログラムが適用されて、ワークステーション間の接続性の改善や、衛星通信装置の付加が行われた。しかし、資金不足によってプログラムは混乱を来たすようになり、その状況は、1991年の湾岸戦争で同機の存在価値が実証されるまで続いた。アリエスIIの納入が完了したのは、1997年のことである。
 アリエスIIに対する改良は現在も続けられていて、ストーリー・シリーズの通信機能向上策や、JSAF(統合信号情報電子機器ファミリー)プログラムに関連する、いわゆる「J改修システム」などが取り入れられている。

諸 元

ロッキードEP-3Eアリエス
タイプ:電子情報および信号情報収集機
寸法:全幅30.37m、全長35.61m、全高10.27m、主翼面積120.77m2エンジン:出力3,661kWのアリソンT56-A-14ターボプロップ4機
重量:自重27,890kg、最大離陸重量64,410kg
性能:最大水平速度703km/ h(高度15,000ft)、作戦行動半径4,076km

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp。

公開日 2021/07/26


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