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コンヴェアB-58ハスラー

【第76回】コンヴェアB-58ハスラー  <爆撃機>


 コンヴェアB-58ハスラーは、東西冷戦下におけるアメリカの大量報復戦略に基づいて製造された、マッハ2のデルタ翼爆撃機である。冷戦下で対立を続けていたソビエトおよびワルシャワ条約機構の防空網を、高高度から高速で突破して核攻撃できる能力を目指して開発された。ハスラーは「博打打ち」の意味。

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世界初の超音速爆撃機

 B-58は、コンヴェア社が開発しアメリカ空軍に制式採用された世界初の超音速爆撃機で、航空史上最も大胆な挑戦の一つと言える。B-58の試作機は1956年11月に初飛行し、アメリカ空軍戦略航空軍団への納入はその3年後に開始された。 1960年8月に部隊への配属が開始、1962年10月までに合計86機のB-58Aが生産され、実戦配備された。コンヴェア社は86機の標準型B-58A爆撃機を製造したほか、11機の開発機を量産仕様に改修し、17機のYB-58A前量産機をRB-58A偵察機に改修した。また8機が、二重操縦装置を前後式に設けたTB-58A練習機に改造された。
 だが、B-58は実戦とは縁遠い存在となっていく。アメリカ軍の大量報復戦略の大陸間弾道ミサイルへのシフトや運用コストの高騰、トラブルの多発や整備性の悪さ、さらには航続距離の短さや、通常爆弾の搭載量が少なく、ボーイングB-52ほどの汎用性がなかったことから、B-58は急速にその価値を低下させていった。
 アメリカ空軍内では、1965年から本格化したベトナム戦争への投入も検討された。具体的にはB-58を戦闘爆撃機のパスファインダー(先導機)として使用する案が検討され、アメリカ本土でのテストの他、下面を黒、上面をタンとグリーンの2色で塗り分けた迷彩も制定された。しかし、パスファインダーとしての能力は認められたものの、後述するインテグラルタンクへの被弾の懸念から実施は断念された。
 戦略航空軍団でB-58を最初に受領したカーズウェル空軍基地の第43爆撃航空団は、アメリカからロンドン、東京、パリ間の超音速飛行を含めて、19種の世界記録を樹立した。ほかにも、1,000マイル(1,609km)の完全な円周上を1時間以内で飛びきるという、SF小説顔負けの偉業によってトロフィを獲得している。しかし1970年、B-58を装備した第43爆撃航空団とグリソム空軍基地の第305爆撃航空団は、運用経費が高すぎるとの理由から廃止された。

装備と特徴

▲空中給油を受けるB-58。

 通常の爆撃機型では、操縦士、航法/爆撃照準手、防御システム操作官が縦列式コックピット内に搭乗した。B-58の基本機体構成は、極端に薄い主翼を採用し、主翼はコンヴェア社が得意としていたデルタ翼で、前縁後退角はマッハ2での巡航に最適とされている60度である。胴体は同じくコンヴェア社のF-102でも採り入れられたエリアルールを適用し、主翼との結合部は大きくくびれた「コークボトル」状となっている。
 当初は他の機体同様、射出座席型の脱出装置を装備していたが、超音速飛行中の脱出で1名死亡、2名重傷の重大な結果を招き、カプセル式の脱出装置が新たに開発・装備された。コックピット内部に上から3分割式のクラムシェル型ブラインドが降りてカプセルが密閉、緊急時には、搭乗者と座席、制御装置を一体に包み込んだ密閉パッケージとして射出するようになっていた。
 機内爆弾倉は設けられていなかった。代わりに胴体中心線下に巨大なポッドを吊し、核爆弾またはその他の大型兵器1発、あるいは兵器と燃料を合わせて積むようになっていた。TCP(2コンポーネント・ポッド)と呼ばれる機外搭載ポッドは2つの部分から構成されていて、外側にある燃料搭載用の大型ポッドは燃料を使い切ると投棄され、その後に爆弾や偵察センサー、電子戦装置などが入った小型のポッドが外側に出る仕組みになっていた。この爆撃機は非常に騒音が大きく、複雑な装置を大量に積んでいたため、搭乗員の作業負荷は大きかったが、性能的には非常に優れていた。

諸 元

コンヴェアB-58Aハスラー

タイプ:超音速中爆撃機
寸法:全幅17.30m、全長29.50 m、全高9.58m、主翼面積143.30m2
エンジン:静止推力69.37kNのゼネラル・エレクトリックJ79-GE-5A/-5B/-5Cアフターバーナー付きターボジェット4基
重量:自重25,202kg、最大離陸重量73,937kg
性能:最大速度2,290km/hまたはマッハ2.1(高高度)、実用上昇限度18,290m、航続距離8,248km(空中給油なし)
兵装:尾部に20mm 6砲身機関砲1門を装備、爆弾またはその他のミッション機器を収めたポッドを携行

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)

[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp。

公開日 2019/04/26


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