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フェアチャイルド・リパブリックA-10サンダーボルトII

【第99回】フェアチャイルド・リパブリックA-10サンダーボルトII<攻撃機>


 A-10は、フェアチャイルド・リパブリック社が開発した単座、双発、直線翼を持つアメリカ空軍初の近接航空支援(CAS)専用機。戦車、装甲車その他の地上目標の攻撃と若干の航空阻止により地上軍を支援する任務を担う。

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対ゲリラ戦機

▲サメ(シャークマウス)のノーズアートをペイントしたA-10。

 1950年代から1960年代にかけてのアメリカ空軍の戦略ドクトリンは核兵器による大規模破壊相互報復であった。この期間の爆撃機は核兵器搭載のために設計され、戦闘機の大半も核兵器搭載可能になったことで近接航空支援や地上攻撃は戦闘機の副次的任務と考えられていた。このため、戦闘機として第一線を退いたF-100 スーパーセイバーをこの任務に充てていた。しかし、ベトナム戦争においては核兵器を使うような事態は発生せず、軽視していた近接航空支援が主任務となった。
 ベトナム戦争用の対ゲリラ戦機として構想されたA-10AサンダーボルトIIは、敵装甲車両の破壊を主任務とする近接航空支援専用機として開発された。フェアチャイルド・リパブリック社は、アメリカ空軍によるAX(次期攻撃機)競争の評価用として2機のYA-10Aを製作し、ノースロップYA-9Aとの競争の結果、1973年1月18日に選定された。最初の開発機は、後に夜間/悪天候時専用の複座型YA-10B(別名N/AW A-10)に改造されたが、この計画はキャンセルされた。

独特のエンジン配置

▲翼下のハードポイント。

 不格好な機体形状ゆえに「ウォートホグ(イボイノシシ)」のニックネームで呼ばれるA-10だが、同機が過酷な戦場環境下で真価を発揮できるのは、この設計があったからこそである。A-10は卓越した運動性を備えており、超低高度で急激に姿勢を変えたり、機体を左右に振ったりすることができる。また、生存性を最大限に高めるため、2基のエンジンは後部胴体両側の高い位置に取り付けられている。この絶妙の配置のおかげで、地上からA-10を撃とうとしても、エンジンが主翼や尾翼の陰になってしまうのである。機体構造は頑丈に作られ、搭載システムには冗長性が持たされているため、A-10は片方のエンジンや垂直尾翼が吹き飛ばされても飛行を続けることができる。パイロットと弾薬搭載区画は、チタニウム製の装甲「バスタブ」によって防護されている。
 A-10の主要兵器はTVまたは赤外線誘導のAGM-65マヴェリック空対地ミサイルで、さらに世界最強クラスの航空機搭載火器であるGAU-8/A機関砲が装備されている。基本的な電子機器は、ヘッド・アップ・ディスプレイ(HUD)、マヴェリック表示画面、ペイヴペニー・レーザー・スポット・シーカーなどである。ほとんどの現用機にはLASTE(低高度安全および目標強化)改修が適用されており、これによって自動操縦装置が装備され、射撃精度が向上している。
 地上砲火に対する脆弱性が懸念されたことから、A-10はF-16に後を譲って徐々に第一線部隊から退き、余剰となったA-10はOA-10A FAC(前線航空統制)機として使用されることになった。ところが、1991年の湾岸戦争でA-10が目覚ましい活躍を見せたことから、その有効性が再認識され、当分の間は重要な作戦機の地位を保ち続けることになりそうである。

諸 元

フェアチャイルド・リパブリックA-10AサンダーボルトII

タイプ:単座近接航空支援および対戦車攻撃機
寸法:全幅17.53m、全長16.26m、全高4.47m、主翼面積47.01m2
エンジン:推力40.32kNのゼネラル・エレクトリックTF34-GE-100ターボファン2基
重量:自重11,321kg、最大離陸重量22,680kg
性能:最大速度706km/h(海面高度)、初期上昇率1,829m/ min、行動半径1,000km(深侵入攻撃時)
兵装:ゼネラル・エレクトリック30mm GAU-8/Aアヴェンジャー固定前方射撃用7砲身回転機関砲1基、加えて最大7,257kgの投下兵装品を携行

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp。

公開日 2021/03/26


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