【第108回】カビルド級、トーマストン級、アンカレジ級 <ドック型揚陸艦>
「カビルド級」ドック型揚陸艦はアメリカ海軍が運用していたドック型揚陸艦の艦級。「カサ・グランデ級」とも呼ばれることもある。「トーマストン級」ドック型揚陸艦の同型艦は8隻。アンカレッジ級ドック型揚陸艦はトーマストン級の拡大型である。
カビルド級
ドック型揚陸艦(LSD)は、揚陸艇や戦車のような重車両の積載を目的として第二次世界大戦時に考案された。アメリカ海軍の「カビルド」級LSDは、基本設計は「アシュランド」級のものが踏襲されている。同海軍からはすでに退役したが、ギアード・タービン主機関は、1〜9番艦および13〜15番艦では出力7,000馬力、10〜12番艦では9,000馬力であった。ボイラーの蒸気性状は圧力30.6 kgf/cm2 (435 lbf/in2)、温度393℃であった。台湾やギリシャ、スペインでも各1隻が使用されていた。
満載時排水量9,375tの「カビルド」級は、汎用揚陸艇(LCU)3隻、機動揚陸艇LCM618隻、水陸両用車両LVTP-5/7 32両を全長103m、全幅13.3mのウェル・ドックに収容する。さらに、貨物1,347tならびに2.5tトラック100両、M48主力戦車(MBT)27両、ヘリコプター11機を運ぶことも可能である。兵員収容数は、長期任務の場合なら137名、宿泊を伴わない近距離展開であれば500名とされている。乗員は士官18名および下士官283名である。最大速力は15.4kt(29km/h)で、当初の兵装は40mm対空砲(艦により数が異なる)であった。ウェル・ドックの上方にはヘリコプター甲板が設けられているが、格納庫や整備施設は備えていない。
トーマストン級とアンカレジ級
「トーマストン」級は、朝鮮戦争での経験を取り入れた大戦後初のLSD設計である。ウェル・ドックは全長119.2m、全幅14.6mで、LCU 3隻、LCM6またはLCM8 9隻、水陸両用強襲車両 AAV7 50両のいずれかを収容可能である。ウェル・
ドック前方の車両駐車区域には、必要に応じてさらに30両のAAV7を収容できる。ダビット(鈎柱)に車両人員揚陸艇(LCVP)2隻および大型人員揚陸艇(LCPL)2隻を搭載するが、パレット型貨物を積載することはできない。「トーマストン」級の艦は新型の「ホイッドビー・アイランド」級と交代した。
「アンカレジ」級は「トーマストン」級とよく似ているが、三脚マストを有している点で見分けることができる。ウェル・ドック上方には、その大部分を覆う取り外し可能なヘリコプター発着甲板が装備されている。ウェル・ドックの寸法は、全長131.1m、全幅15.2mに広げられており、LCUまたはLCAC 3隻、LCM6 21隻、LCM8 8隻、AAV7 50両のいずれかを収容できる。さらに、1〜2隻のLCM6を甲板に、LCPLとLCVP各1隻をダビットにそれぞれ搭載する。また兵員収容数も増加している。
2003年現在、3隻の「アンカレジ」級(「アンカレジ」、「ポートランド」、「マウント・ヴァーノン」)がアメリカ海軍で現役であり、うち2隻が太平洋艦隊、1隻が大西洋艦隊に所属している。
2000年に「ペンサコラ」が台湾に売却され「旭海」(LSD-193)として実戦配備された。
ドック前方の車両駐車区域には、必要に応じてさらに30両のAAV7を収容できる。ダビット(鈎柱)に車両人員揚陸艇(LCVP)2隻および大型人員揚陸艇(LCPL)2隻を搭載するが、パレット型貨物を積載することはできない。「トーマストン」級の艦は新型の「ホイッドビー・アイランド」級と交代した。
「アンカレジ」級は「トーマストン」級とよく似ているが、三脚マストを有している点で見分けることができる。ウェル・ドック上方には、その大部分を覆う取り外し可能なヘリコプター発着甲板が装備されている。ウェル・ドックの寸法は、全長131.1m、全幅15.2mに広げられており、LCUまたはLCAC 3隻、LCM6 21隻、LCM8 8隻、AAV7 50両のいずれかを収容できる。さらに、1〜2隻のLCM6を甲板に、LCPLとLCVP各1隻をダビットにそれぞれ搭載する。また兵員収容数も増加している。
2003年現在、3隻の「アンカレジ」級(「アンカレジ」、「ポートランド」、「マウント・ヴァーノン」)がアメリカ海軍で現役であり、うち2隻が太平洋艦隊、1隻が大西洋艦隊に所属している。
2000年に「ペンサコラ」が台湾に売却され「旭海」(LSD-193)として実戦配備された。
諸 元
トーマストン級、アンカレジ級
艦名:(トーマストン級)トーマストン(LSD-28)、プリマス・ロック(LSD-29)、フォート・スネリング(LSD-30)、ポイント・デファイアンス(LSD-31)、スピーゲル・グローヴ(LSD-32)、アラモ(LSD-33)、ハーミティッジ(LSD-34)、モンティセロ(LSD-35)(アンカレジ級)アンカレジ(LSD-36)、ポートランド(LSD-37)、ペンサコラ(LSD-38)、マウント・ヴァーノン(LSD-39)、フォート・フィッシャー(LSD-40)
就役:1954〜72年
排水量(満載):(LSD-28〜31、LSD-35)11,270t (LSD-32〜34)12,150t (LSD-36〜40)13,700t
寸法:(LSD-28〜35)全長155.5m、全幅25.6m、吃水5.8m (LSD-36〜40)全長168.6m、全幅25.6m、吃水6m
推進器:ギアード蒸気タービン2基で出力24,000馬力を供給し、2軸を駆動
速力:最大22.5kt(42km/h)、巡航20kt(37km/h)
貨物:車両駐車区域面積合計975㎡(LSD-28〜35)、1,115㎡(LSD-36〜40)。LCU 3隻(LSD-36〜40はLCUまたはLCAC 3隻)、LCM6またはLCM8 9隻(LSD-36〜40はLCM6 21隻またはLCM8 8隻)、AAV
7 50両のいずれか、弾薬85.0
m3、AVGAS(航空用ガソリン)またはMOGAS(車両用ガソリン)4,540r、ディーゼル燃料147,650r
兵装:連装Mk33 76mm対空砲3基(後に20mm CIWSファランクスMk15 2基および25mm Mk38ブッシュマスター機関砲2門に換装)
電子機器:AN/SPS-10水上捜索レーダー1基、AN/SPS-6(LSD-36〜40ではAN/SPS-40)対空捜索レーダー1基、Mk36 SRBOCおよび関連ESM装置1基
乗員:(LSD-28〜35)331〜341名(士官18名+下士官313〜323名) (LSD-36〜40)341〜346名(士官18名+下士官323〜328名)
兵員:(LSD-28〜35)340名 (LSD-36〜40)376名
(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp
公開日 2021/12/22
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