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インディペンデンシア

【第117回】インディペンデンシア  <軽空母>


 「インディペンデンシア」は、アルゼンチン海軍の航空母艦。1959年から1969年にかけて運用された、アルゼンチン初の航空母艦である。元は、ハーランド&ヴォルフ社(ベルファスト)にて建造されたイギリス海軍の「コロッサス」級航空母艦の10番艦「ウォリア」であった。

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イギリス生まれでカナダに貸与

▲スペイン語で「独立」を意味する「インディペンデンシア」。

 「インディペンデンシア」はイギリスの「コロッサス」級空母「ウォリア」として、ベルファストのハーランド&ウォルフ造船所で1944年5月20日に進水した。同艦は完成後1946年から、カナダ海軍に空母「マグニフィセント」が就役するまでの2年間にわたり、同海軍に貸与された。
 1948年3月にカナダから返還された後、「ウォリア」はイギリス海軍で着艦評価試験に使用され、1948年から1949年にかけては、「フレキシブル・デッキ」が装備されて、軟着陸用のスキッド式降着装置を装着したジェット戦闘機の運用を行った。また、1952年から1953年にかけては、新たに大型の艦橋と格子状のフォアマストが取り付けられ、1955年には5°のアングルド・デッキとより頑丈な着艦拘束装置が装備された。
 この新しい形態でさらなる着艦評価試験が行われた後、「ウォリア」は1957年に太平洋のクリスマス島で実施された「グラップル」作戦(イギリスの水素爆弾実験プログラム)に司令艦として参加している。

グラップル作戦

▲イギリスの「コロッサス」級航空母艦。

 この作戦から戻ると、同艦にアルゼンチンへの売却の話が持ち込まれ、1958年夏に交渉がまとまった。1958年11月11日、同艦は正式にアルゼンチン海軍に引き渡され、ポーツマスでの式典で初めてアルゼンチン国旗が艦に掲揚された。12月に同艦は「インディペンデンシア」と新たに命名され、アルゼンチン初の空母としてアルゼンチンに向け航海を行った。売却時、同艦には40mm対空砲12門のみが装備されており、その後すぐに8門にまで削減された。しかし1962年5月には、新たに4連装40mm砲1基および連装40mm砲9基が装備されているのが目撃されている。また1963年には、F4U-4コルセア(主力装備として配備)およびTF-9Jクーガー練習機が配備され、フェネク武装練習機が展開しているのもよく見かけられた。同艦には、理論的にはジェット戦闘機を配備することも可能だったが、「インディペンデンシア」に実働態勢でF9Fパンサーが搭載されたことはない。就役期間も終わりに近づいた1960年代末には、6機のS-2Aトラッカー(1962年に同艦に配備)と14機のフェネクから成る航空群が配備されていた。
 1970年にアルゼンチンは、やはり「コロッサス」級空母で元「ヴェネラブル」の「ベインテシンコ・デ・マヨ」を取得したため、「インディペンデンシア」は予備役に回された。同艦は退役後、1971年3月にスクラップとして売却された。

諸 元

インディペンデンシア

排水量:基準14,000t、満載19,540t
寸法:全長211.8m、全幅24.4m、吃水7.2m、飛行甲板幅22.9m
推進器:ギアード蒸気タービンで出力40,000馬力を供給し、2軸を駆動
速力:24kt(44km/h)
兵装:4連装40mm対空砲1基(4門)、連装40mm対空砲9基(18門。1970年撤去)
搭載機:24機
乗員:1,575名

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp。

公開日 2022/09/26


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