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デ・ロイテル級

【第85回】デ・ロイテル級  <巡洋艦>


 「デ・ロイテル」級巡洋艦はオランダ海軍巡洋艦の艦級である。デ・ロイテルとは、英蘭戦争の英雄で17世紀オランダの海軍軍人、ミヒール・デ・ロイテル提督に因み、先代の巡洋艦デ・ロイテルの名を受け継いだものである。

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先代の名前を受け継いだ巡洋艦

▲1967年、アメリカ海軍と共同演習中の姉妹艦「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」(手前の艦)。

 「デ・ロイテル」級は、オランダ海軍建艦計画の一部として1939年9月5日に起工された。当時のオランダは、太平洋に持っている植民地が台頭する日本軍によって脅かされる危険を感じており、「デ・ロイテル」級は、翌年に建造が予定されていた「シャルンホルスト」型巡洋戦艦に随伴する通常型巡洋艦として設計された。しかし、オランダはドイツ軍の攻撃を受けて1940年5月に占領され、建造作業は一時中断された。当時、「デ・ロイテル」と命名された巡洋艦がすでに就役中であったが、この艦は1942年初頭のスラバヤ沖海戦で日本軍に沈められた。その名前を受け継いだ新「デ・ロイテル」は、1944年12月に進水した。計画・起工時の艦名から「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」級もしくは「エーンドラハト」級とも呼ばれる。
 一方、「デ・ロイテル」より早く1939年5月に起工された姉妹艦「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」は、1950年まで進水が延期された。植民地防衛用の巡洋艦は、終戦直後にはほとんど使い道がなかったのである。それでも2隻の巡洋艦は完成され、1953年末に就役して、オランダ海軍で20年間にわたって使用された。

ペルー海軍への配備

▲「デ・ロイテル」は高角砲を持たず、対空をボフォース4cm連装機関砲が担っていた。

 対艦ミサイル(SSM)の登場により、1960年代には152mm砲を搭載した巡洋艦は時代遅れのものとなっていた。しかし、たとえ戦力としての期待は持てなくても、第二次世界大戦の名残である大型巡洋艦には象徴的な意味があると考え、大いに関心を寄せた国が南米にあった。
 オランダの巡洋艦に関心を持ったのはペルーで、「デ・ロイテル」は1973年に「アルミランテ・グラウ」として同国海軍に配備された。この艦名は南米の太平洋戦争で活躍しアンガモスの海戦で戦死したペルーの提督ミゲル・グラウにちなんだものである。時代は少し下るが、フォークランド紛争の際、アルゼンチン軍が巡洋艦「ヘネラル・ベルグラーノ」を出撃させた背景にも、同様の考えがあったと見られる。
 1985〜88年に同艦は、オランダでオトマット・テセオMk2 SSMの取り付けを含む全面的な近代化を受けた(その間の呼称は、「プロジェクト01」であった)。210kgの弾頭を搭載したこのアクティブ・レーダー・ホーミング・シースキミング・ミサイルは、約160kmの射程を持っている。後にはオトマットの代わりに旧式の「デアリング」級フリゲートに装備されていたエグゾセ・ミサイルを装備する計画が持ち上がったが、実行に移されることはなかった。「アルミランテ・グラウ」には、8連装セレニア・エルサグ・アルバトロス発射機から発射されるアスピデ・セミアクティブ・レーダー・ホーミング艦対空ミサイル(SAM)も装備されて新たな防御能力が加えられた。
 1976年8月、ペルーは「デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン」を取得し、翌年、ヘリコプター巡洋艦に転換した。「アギーレ」と改名された同艦は、1992年まで現役に留まり、その後予備艦とされた。
 ヘリコプター巡洋艦としての「アギーレ」は、もとからあったテリアSAMシステムと後部砲塔を撤去して、艦中央部から艦尾の間に長さ20.4m、幅16.5mの格納庫および飛行甲板を設け、さらに格納庫の天井にも第2の着艦スポットが作られた。この新しい形態では、AM39エグゾセ・ミサイル装備のSH-3Dシー・キング・ヘリコプター3機を運用することができた。同艦は1994年に一度現役復帰したが、1999年に最終的に退役した。
「アルミランテ・グラウ」は、2017年9月26日に退役した。艦名と艦隊旗艦の地位は、改ルポ級フリゲートの「モンテロ」に引き継がれた。

諸 元

デ・ロイテル級

排水量:満載12,165t
寸法:全長190.3m、全幅17.3m、吃水6.7m
推進器:タービン2基で出力85,000馬力を供給し、2軸を駆動
速力:32kt(59km/h)
兵装:オトマット・テセオMk2 SSM 8基(「グラウ」)、8連装アルバトロス発射機(アスピデSAM用、「グラウ」)1基、ボフォース152mm砲8門(「アギーレ」は4門)、ボフォース57mm砲6門(「グラウ」からは撤去)、ボフォース40mm砲6門(「アギーレ」は4門)、機雷ラック2基、CSEEダゲ・チャフ発射機2基、サゲ・チャフ発射機1基(「グラウ」、改装後)
電子機器:シグナールSEWACO SATCOM、シグナールLW08対空捜索レーダー、シグナールDA08対水上/目標指示レーダー、シグナールWM25 152mm砲射撃指揮レーダー、シグナールSTIR発射管制レーダー
乗員:953名(士官49名)

(この記事はワールド・ウェポン<デアゴスティーニ・ジャパン刊>をもとに構成したものです。)
[タイトル写真]U. S. Army/U.S. Marine Corp

公開日 2020/01/29


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